セルティックに所属するスコットランド代表の19歳DFキーラン・ティアニーが、1888年に創立した欧州屈指の名門でレジェンドの一人として数えられる元日本代表MF中村俊輔(横浜F・マリノス)との出会いを、人生を変えた運命の瞬間と振り返っている。UEFA公式サイトが「キーラン・ティアニー、セルティックでの成長について」と特集している。
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かつてセルティックパークの外で、選手を待ち構えるサポーターの一人だったティアニーには、人生を変える瞬間があったという。
「シュンスケ・ナカムラは日本代表として、僕たちのクラブを代表して参加することになった。僕はU-12か13のチームに居たんだ。ナカムラが一緒に練習するなんて知らなかったんだ。ナカムラがトンネルから出てきたのが見えた。そして、僕たちと練習をしてくれて、パスとポゼッションの練習をしたんだ」
セルティックで不動の左サイドバックとなり、アーセナルら欧州の強豪も狙っていると地元メディアが報じる俊英は、自らのアイドルだった中村との出会いをこう振り返った。そして、プロ生活の原点となる家宝を手に入れることになる。
「練習の最後に、彼は自分のスパイクを脱いだんだ。みんな気づいていたね。そして、練習が終わると彼が歩み寄ってくれた。この日のベストプレーヤーは僕だと、通訳を通じて発表してくれたんだ。本当に嬉しかった。自分は11歳かそこらで、彼のプレーを毎週見ていたんだ。彼が僕を良い選手と認めたなんて、輝ける1日だったよ」
ティアニーはこう語った。地元紙ではかつて、中村からもらったセルティックカラーのグリーンの3本線のスパイクを、自宅2階のガラスケースに宝物として飾っていることが紹介されていた。セルティックをリーグ3連覇、そしてUEFAチャンピオンズリーグ(CL)で2度の決勝トーナメント進出に導き、スコットランドリーグMVPにも輝いた憧れのレフティーとの出会いは、ティアニーの人生を変える1日となった。
「ここまでは夢のような旅なんだ。今までの道程は目標としていたこと。セルティックパークでのチャンピオンズリーグの夜、ビッグマッチでプレーすることは最高なんだ」
ティアニーは9月29日のCLグループステージ第2節、本拠地でのマンチェスター・シティ戦でキャリア通算50試合目の出場を果たした。プレミア首位の強敵を相手に3-3のドローに持ち込み、勝ち点1を獲得することに貢献したが、それはまさに子どもの頃、中村がマンチェスター・ユナイテッドを相手に伝説のFKを決めた舞台に、自らが立った瞬間だった。
「ファンも昔の僕が、彼らの一人だったことを喜んでいると思う。毎週自分のお金で、セルティックの試合を見に行っていた。みんな成長して、ヘンリク・ラーションやボボ・バルデ、ジョン・ハートソンのようになりたかったんだ。彼らに会えて、サインをもらうことは最高だったよ。今、ファンは僕のサインをもらい始めている。それは素晴らしいことなんだ」
中村の魂を受け継ぎ、セルティックのレジェンドへの道を歩もうとしている若き逸材ティアニーの成長に、欧州中が注目している。
フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web
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