【コラム】ニューヨークで謝罪されたことへのとまどい

【コラム】ニューヨークで謝罪されたことへのとまどい

 「ちょっとそこの服を取って」

 つい先日、自宅近くにある地下街の店で買い物をしていたところ、知らない中年女性が近づいてきて、いきなり偉そうに命令してきた。「私は客だ」と言うと「何よ、店員のような格好をして」と吐き出すように言って背を向けた。

 次は下町のコンビニでの出来事だ。ある中学生くらいのグループが自分より一回り以上年上のアルバイト店員に「ラーメンを作れ」といきなり命令した。店員は何も言わず固まったが、一見すると笑っているようにも、あるいは怒ったようにも見えた。ショッピングモールの一件があった直後だったので、人ごととは思えなかった。

 2カ月前に所用でニューヨークにいたときのことも思い出される。地下鉄の駅で電車を待っていたところ、非常に汚い格好で悪臭をばらまく男性に後ろからいきなり肩をたたかれ「今何時か」と聞かれた。びっくりして何も言えなかったところ、ちょうど電車が来たので逃げるように乗り込んだ。男性はしばらくついてくるようなそぶりを見せたが、すぐ人種差別的な言葉を口にしながら立ち去った。男性は「チビのアジア女のくせに」と言っているようだった。

 もっと驚いた出来事がその直後に起こった。向かいの座席に座っていた30代前半くらいの女性が近づいてきてすぐ隣に座り「びっくりしたでしょう」と声を掛けてきた。女性は「わたしが代わりに謝ります。降りるまで横で守ってあげましょう」とも言ってくれた。この言葉に記者は心が一気に落ち着いた。

 同じようなことは他にもあった。友人とある飲食店で食事をしていると、近くのテーブルに座っていた男性グループが「おはよう、ありがとう」と言いながら日本語で話し掛けてきた。記者が「わたしたちは韓国人だ。あなたたちに関心はない」と言い返した。それを見ていた別のテーブルの男性が近づいてきて「あんなにマナーのない人間がいることが恥ずかしい。わたしが代わりに謝ります。どうか怒りを静めてください」と言ってくれた。

文化部=崔宝允(チェ・ボユン)記者
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