東京都板橋区の東武東上線で5月に発生した脱線事故で、東武鉄道は18日、脱線した車両の台車に3年以上前から亀裂が入っていた可能性があるとの社内調査の中間報告を公表した。亀裂で車輪にかかる車体重量のバランスが崩れ、負荷が小さくなった車輪がレールに乗り上げ脱線したとみられるという。亀裂部分は定期点検の対象外だったが同社は対象に追加した。
東武鉄道によると、亀裂は「側ばり」と呼ばれる重量を分散させる台車の部品にあり、長さ約18センチ、幅は最大1.2センチだった。形状などから亀裂が入ってから約80万キロ走行したと推測。同社は「少なくとも3年以上前に生じ、走行距離に比例し徐々に拡大した」とみている。
台車1つには車輪が4つあり、社内の再現実験では亀裂の長さが9センチを超えると、車輪にかかる車体重量のバランスが崩れ始めたという。
同社は国土交通省令に基づき4年ごとに車両の重要部分に電流を流して亀裂の有無を調べているが、側ばりは過去に亀裂発生がなく対象外だった。
同一の台車と構造が類似の台車が使われている1036両を検査したところ亀裂はなかった。同社は亀裂が生じた原因や詳しい時期などを引き続き調べる。
事故は5月18日午後0時10分ごろ、東武東上線中板橋―大山間で発生。池袋行き10両編成電車の前から5両目で車輪の一部が脱線した。池袋―上板橋間で終日運転を見合わせ約18万人に影響が出た。けが人はなかった。