ULTRA JAPAN 2017(ウルトラジャパン)が開催されない理由すでに日本のEDM産業は終わっている
高城剛が世界から遅れている日本のEDM産業について語る
高城)EDM(エレクトロニックダンスミュージック)はイビサの7~8年前くらいのトレンドです。
イビサでヒットすると、3年後くらいにグラミー賞を取ったり、世界的な流行になるんですよ。
その2~3年後に日本で流行る。ですので5~6年くらいイビサのほうが早い感じです。
チケット10万枚が1秒で売り切れる音楽フェス「Tomorrowland」なども欧州にはあり、あれはまだ華美というかユーロバブル時代の徒花ですよね。
最近の音楽はもっと単調で、ジャンルで言えばミニマルって呼ばれてますが、それは何が面白いんだっていうくらい単調。
それが2~3年くらい前のトレンドです。
―今のイビサの音楽のトレンドはどうなっているんですか?
高城)イビサには、世界各国からDJがやって来ます。
その地元の曲をミニマルの上に混ぜるのが2~3年前くらいから流行ってて、僕だと和太鼓とかを混ぜるというかミックスします。
南米から来たDJは南米の民謡とかを混ぜてますね。
音楽そのものがどんどん「刷新された地域化」しているんですよ。
EDMっていうのは、今やグローバリゼーションのダサさの象徴かな。
―日本では最先端ですけどね(笑)
出典http://www.mag2.com/p/news/13593
世界を闊歩する高城剛が見る世界のクラブシーンの動向
世界を端から端まで横断し、世界中のクライアントを相手に映像作家として仕事をする高城剛。
数年前まで、ロンドンやバルセロナに居住し、世界のクラブカルチャーの発信地イビサ島などでクラブDJとしても活躍しています。
著書『黒本』では、非常に興味深い世界のナイトクラブの動向と
日本のダンスミュージック産業の未来について記述されています。
世界的なトレンドは「朝」であり、今後、クラブは衰退するだろう。
現在、ロンドンやニューヨークの町中には、まともな大型クラブはありません。
夏のイビサ島も年々観光客は増えていますが、その多くは深夜営業のクラブ目的ではない。
世界最大のクラブPrivilege(プリヴィレッジ)はブランドライセンス先を海外に求め、
Space(スペース)は2015年いっぱいで一度閉店し、昼営業できる可能性を探っています。
一方、Tomorrowlandのような大型フェスは、毎年史上最大規模の人数を集めています。
すなわち深夜営業しかできない「移動不可能な通年劇場型装置」としてのクラブは、世界中でとっくに終焉を迎え、
「移動可能なサーカス型フェス」は、年々、人々を集めていることになると言えます。
その隙間が「移動不可能な通年劇場型装置」の昼営業になります。
また、過去数年日本で開催されていた「Big Beach」は
所詮ブランドネームの借り物イベントであり、継続は不可能で(反社会組織との関係もあり)、
今後は「ULTRA」に顧客は一時的に引き継がれるでしょうが、
これも資金的に回らなくなる可能性がとても高くあると思います。
大前提としてULTRA JAPANは、韓国のサブライセンスイベントでして、初年度は数億円規模の赤字です。
その理由は、覚醒剤の蔓延をさておいても、世界的DJギャラの高騰とイベントライセンスの支払い(米国と韓国へ)にあります。
既に日本は、ダンスミュージック後進国であり、世界的DJからしてみると、
日本でプレイするよりもブラジルやオーストラリアでプレイした方が遥かに稼げるのです。
世界がひとつに向かっている音楽産業のなかで、日本だけ孤立し、急行が止まらない各駅停車の小国になってしまったのは、
ヒットチャートを見ても、残念ながら明らかです。
いまや、世界的DJからは、日本からの2時間3000万円程度のギャラオファーでは、断ります。
2時間3000万円ですよ!それを断るのです。
なぜなら、日本に今後の市場の可能性がなく、国際的プロモーションにもまったく役立たない国になってしまったからです。
よって、世界のダンスミュージック産業の売り上げは、年々加速度的に増大し、
(先進国の深夜営業の劇場型クラブ産業は衰えています)
世界で活躍できるDJの人数も増えているのは、間違いありませんが、日本は縮小し、世界的流行から遅れています。
そして、世界で活躍できる日本のDJとは、日本の封建的システムと反社会組織に近しい日本のクラブと音楽産業では活躍できない人を指すのですが、
長期的に考えれば、ここを伸ばすのは良いビジネスになると僕は考えています。
これほど、レバレッジが大きい投資は見当たりませんので。
結果、日本のダンスミュージック産業の未来は大変暗いものですが、
世界ダンスミュージック産業は、今後不景気と反してますます明るくなると僕は思っています。
それは、世界恐慌の際に映画産業が繁栄したのと同じ理由です。
出典:黒本 高城剛著
ULTRA JAPAN 2017(ウルトラジャパン)は開催しないのか?
あまり知られていませんが、日本でやっている大きなダンスイベントは韓国が持ってるライセンスを借りて、韓国にお金を払ってるんです。
じつは、韓国がアジアのダンスミュージックの先頭なんですよ。
その大元のライセンスはアメリカ。
だから韓国とアメリカに日本のダンスフェスの収益は吸い上げられているわけで、儲けは全部海外に持って行かれちゃうんです。
もちろん、来場者はなにも知りませんが、これもグローバルシステムですよね。
産業が疲弊するはずです。
出典http://www.mag2.com/p/news/13593
先月9月に3回目の開催を終え、過去最高の12万人を動員したULTRA JAPAN 2016(ウルトラジャパン)
あいにくの天気でしたが、1席20万円以上もするVVIP席では、
500万円以上するシャンパンが注文されるなど、昨年にも増して大盛り上がり。
芸能人の方も多数目撃されていました。
しかし、過去最高に盛り上がったのにもかかわらず、
来年2017年は、ULTRA JAPAN 2017(ウルトラジャパン)は開催しないと言われています。
ULTRA JAPANの公式ホームページを見ても、通常なら「See you next year!!」と書かれるところが
ただ「Thank U」と書かれているだけ。
出典ultrajapan.jp
これはなぜなのか?
年々、動員数を増やし続け、
表層的には盛り上がっているように見えるULTRA JAPAN(ウルトラジャパン)、
そして、その他のEDMフェス。
しかし、実際は前述したように、
年々増え続けるDJのギャラと、韓国とアメリカへのイベントライセンス料
これから縮小していき、国際的なプロモーションに役に立たない日本のダンスミュージック産業から離れていく世界的なDJたち。
数億円規模の赤字を垂れ流し、
世界で活躍しているDJたちにも、日本でDJをやる価値がない、と見限られてしまっては、
金銭的にも、これ以上は開催できないという判断なのかもしれません。
アンダーグラウンドで反社会組織と近しく、
深夜営業の「移動不可能な通年劇場型装置」としてのクラブ・音楽産業から抜け出せないガラパゴスな日本に反して、
出典Rodgr.com
着々と、「移動可能なサーカス型フェス」へと移行していっている
世界のダンスミュージック産業は動員数を伸ばし続け、その未来は明るいです。
風営法改正により、朝まで遊べるようになった日本のクラブ・音楽産業。
移動できない街中の夜型ナイトクラブから、昼型のサーカス型移動フェスへと移行している世界のダンスミュージック産業。
今、日本のDJは岐路に立たされてるのではないか、
そのように感じます。
事実、日本よりも数年前にEDMで盛り上がっていた先進国の現状がこうなのだから。
「黒本」
「黒本弐」