菅官房長官は「電話で山本氏を厳重注意」を明らかに
山本有二農相が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)承認案・関連法案の強行採決を示唆した発言について、菅義偉官房長官は19日の記者会見で「非常に誤解を生じさせかねない発言だ」と述べ、電話で山本氏を厳重注意したと明らかにした。山本氏は同日TPPの衆院特別委員会理事会に出席し「国会が決めることに関し、行政から不適切な発言をした。撤回したい」と述べた。野党は反発しており、政府が目指す会期内の国会承認に影響する可能性が出ている。
菅氏は「政府としては強行採決は全く考えていない」と釈明した。
これに先立ち、自民党の二階俊博、公明党の井上義久両幹事長は東京都内で会談。同席した公明党の大口善徳国対委員長は「激しい憤りを感じる」と早急な対応を要請し、二階氏は会談後、菅氏に「内閣は緊張感を持ってやるべきだ」と電話で申し入れた。
また公明党の山口那津男代表も党会合で、「円満な審議を妨げる。何のために厳しい日程をやりくりしているか。それが無になるような発言は厳に慎むべきだ」と厳しく非難した。
民進党の笠浩史国対委員長代理は、記者会見で「巨大与党をバックにした政府のおごりだ。強行ありきという対応は絶対許すことができない」と批判。政府・与党は衆院特別委での採決の前提となる地方公聴会の日程を探っているが、笠氏は「よもや(地方公聴会の日程に関する)提案はないだろう」とけん制した。【高橋恵子】