モスル進攻を前に市民900人が避難
- 2016年10月19日
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は18日、イラク軍などによる進攻作戦が始まった北部の主要都市モスルから、住民約900人が脱出したと発表した。モスルを過激派勢力のいわゆる「イスラム国」(IS)から奪還するための作戦が17日に開始して以来、市民がこれだけまとまって脱出したのは初めて。
UNHCRによると、モスルを逃れた約900人はシリア国境を越えて難民キャンプに避難しているという。UNHCR報道官は、シリア領内の難民キャンプは一時的な避難先で、イラク国内の安全な場所に戻ることになると話した。
BBCのリチャード・ガルピン記者は、900人が脱出したことで、ISが全市民の動きを制止できているわけではなさそうだと指摘する。加えて、IS戦闘員も同じ経路をたどって脱出を試みる可能性が指摘されているという。
モスル市内には最大150万人がいるとみられており、ISが市民を「人間の盾」として使う事態が懸念されている。市内にはIS戦闘員5000人がいる模様。
米国防総省のジェフ・デイビス報道官は18日、ISが市民を人間の盾として使っていると非難した。
国際移住機関(IOM)は、ISが化学兵器を使うかもしれないと懸念している。
ロイター通信が電話取材した住民たちによると、ISは市民の脱出を食い止めている。空爆の標的になる可能性の高い建物に入るよう命じられた人たちもいるという。
バラク・オバマ米大統領はワシントンで記者団に対して、「ISIL(ISの別称)を逃れる一般市民を助けられないなら、ISILの復活に対して我々は弱い立場に立たされる」と述べた。
イラク担当の国連人道調整官リーズ・グランデ氏は、モスル奪還作戦の開始当初から数週間の間に、最大20万人が避難場所を必要とするだろうという前提で、国連は対応にあたっていると話した。
(英語記事 Mosul battle: 900 civilians flee city ahead of fighting)