東京都による2020年東京五輪・パラリンピックのボート、カヌー・スプリント会場の見直し問題で、国際オリンピック委員会(IOC)が現計画の海の森水上競技場が建設されない場合には、代替開催地として韓国を検討していると、国内の大会関係者が18日、明らかにした。関係者によると、IOCは海の森水上競技場の整備費が高額であることから、過去にも韓国案を選択肢として示しており、再度持ち出す可能性があるという。
IOCのバッハ会長は18日午前に羽田空港着の航空機で来日した。午後2時から、都の小池百合子知事と会談する。IOC副会長で、大会準備を監督する調整委員会のコーツ委員長や日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長も同席する。
関係者によると、IOC側が想定するのは、13年世界選手権や14年仁川アジア大会で使われた韓国中部、忠州のボート場で、国際規格の2000メートルコース8レーンを備える。
IOCは14年12月に承認した中長期改革「五輪アジェンダ2020」で、コスト削減などの観点から例外的に五輪の一部競技を国外で実施することを容認している。
都は開催費などを検証するために設置した調査チームの提言を受け、宮城県登米市の長沼ボート場への変更を検討しており、15日には小池知事が現地を視察した。ただ、遠隔地であることなどから、競技団体や大会組織委員会は反発を強めている。
忠州弾琴湖国際ボート場
2013年の世界選手権開催のために韓国中部、忠州のダム湖に整備された国際規格のコース。水域の全長は4800メートルで、幅は287~366メートル。2千メートルの8レーンに加え、2レーンの回漕コースがある。常設の観客席は1100席。ゴール地点には艇庫棟や医務室などを備えた総合施設が常設されている。12年ロンドン、16年リオデジャネイロ両五輪のアジア予選のほか、14年の仁川アジア大会、15年ユニバーシアードでも会場となった