1 pixel|サイバーエージェント公式クリエイターズブログ

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皆さま はじめまして。
ネイティブアプリゲーム『ウチの姫さまがいちばんカワイイ』にて、クリエイティブディレクターを務めております多田
と申します。イラストやシナリオ、キャラクターメイキングや世界観などの全体監修を手掛けております。

ウチ姫というゲームで、私たちが大切にしているものが大きくわけて2つあります。
「お姫さまの魅力」「ピンボールゲームとしての爽快さ」です。

今回はそのうちの前者「お姫さまの魅力」を伝えるために、ウチ姫の立ち上げから運用において一貫して大切にしてきた価値観「プリンセスファースト」に関して、触れてみたいと思います。

1. ウチ姫にとってのお姫さまとは

ウチ姫が「お姫さまの魅力」を伝えていくためには、まずは「ウチ姫にとってのお姫さま」を定義づけする必要がありました。それが、以下の2つです。

1. お姫さまとは、気高く儚い存在
たとえばあなたがお姫さまときいてまず思い浮かべるのは何でしょうか?
高潔さ、美しさ、はかなさ、かわいさ。あるいは、公正さや優しさ。
気高くもキラキラとした存在。お姫さまの魅力とは、やはりそういった部分でしょう。

2. お姫さまとは、王子にとって護るべき存在
そんなお姫さまを護るのは、王子の仕事です。ウチ姫では、決してお姫さまたちは戦闘の前面には立ちません。王子の背後から応援のエールを送ったり、王子をアシストするのが彼女達お姫さまのお役目です。

王子はお姫さまの力を借り、どんな攻撃もその身で受け止め、お姫さまたちには決して傷ひとつつけさせない。それが、王子でありナイトでもある彼の役目なのです。
なので、ウチ姫世界のお姫さまは直接的には自分では攻撃しません。
(中には自分で闘ったほうが強そうな武闘派のお姫さまもいますが…)

なにはともあれ、この2つがウチ姫世界のお姫様のすべての指針となりました。

2. 姫が姫であるために

そして、ここで決まった方針を具現化するために、キャラクターメイキングにおいても更に2つの決まりごとを用意しました。

ウチ姫世界には、正統派お姫様がいれば化け狸のお姫さまがいたり、カレーのお姫さまや男の娘なお姫さま?がいたりと、多種多様なお姫さまがいます。

お姫さまたち


そんな彼女たちをお姫さまたらせるために、決まりごとが必要だったのです。

1. ティアラをつける
「お姫さま」という記号の抽出として、ウチ姫世界のお姫さまたちには全員ティアラを身につけてもらっています。
正当派ティアラであったり、王冠風であったり、髪飾りであったり、なかにはかんざしであったり。お姫さま自身が多種多様であるのにあわせて、そのデザインも十人十色です。

お姫さまのティアラ


2. 武器は持たせない
「お姫さまは護るべき存在」それを体現してもらうため、極々一部の例外を除いてお姫さま達には武器を持たないでいただいております。

3. 合言葉はプリンセスファースト!

こうして明確にした"ウチ姫にとってのお姫さま"をユーザーさんへとお届けする際に、どうすれば最大限に魅力的なお姫さまとしてお届けできるか。そういった想いから作られた合言葉がプリンセスファースト(お姫さま第一主義)です。

何を決めるにしても、全てはお姫さまの魅力のために。
One for Princess, All for Princess. そのための、合言葉です。

たとえば、季節イベントのモチーフの選定も「お姫さまがどんな感じになったら、より魅力的か」を主軸に考えます。また、各スキルやパラメーター設計もお姫さまをより魅力的なものにできることを目指して組み立てられます。

「プリンセスファースト」こそ、ウチ姫の運用面での最も重要な方針なのです。

4. こんなところにも、プリンセスファースト

「プリンセスファースト」が適用されるのは、なにもイベントやパラメーター、運用面に限ったことではありません。お姫さまたちが登場する『ウチ姫』世界の受け皿である、ゲームとしてのUIデザインも「プリンセスファースト」の合言葉のもとに選定されました。

たとえば、開発初期はウチ姫のUIのバックは「羊皮紙をイメージしたクリーム色」だったのですが、カラーバリエーション選定を経て「暗めのブルーグレーのチェック柄」へと変わりました。これは、もともと背景にしかれていたクリーム色が、色相明度ともにお姫さまの肌の色と近しく、"肌色が埋もれてしまう"ためでした。それを防ぎ、むしろ肌色をキワ立たせられるよう、色相明度ともに肌色とは真逆の位置の「暗めのブルーグレー」へと調整されました。

UI面でのプリンセスファースト


そのコンテンツで何を伝えたいか。何を魅せたいか。そのコアが最初に決まっていれば、パズルの他のピースもおのずと答えが見えてくる、という好例かと思います。

5. コンセプティブである、ということ

個人的な持論ですが、スマホのような小柄なハードウェアで展開するコンテンツでは「何でもできる最高に自由なシステム」や「全銀河を救う壮大な物語」といった極端に大きなスケールのコンテンツよりも、テーマやコンセプトを先鋭化させた「小粒でもピリリと辛い」コンテンツの方が、小気味よく、かつ触れた瞬間に魅力が伝わるコンテンツに仕上がると考えています。

それがウチ姫では「お姫さまの魅力」であり「ピンボールゲームとしての爽快さ」でした。

6. 最後に

日々多くの新作ゲームが出るスマホゲーム市場。
そんなホットな現場で、もしあなたが企画を立てそれをカタチにしていくとしたら。

あなたが最初にユーザーさんに届けたいと思った感動を明確にするために、ひとつの"合言葉"と、ほんの少しの"決まりごと"を用意するのが、近道なのかもしれません。

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