2016年10月18日22時44分
国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長と東京都の小池百合子知事の会談での主なやりとりは次の通り。
小池百合子・東京都知事 2020年東京大会を成功させるため、責任を持って準備を進めたい。
トーマス・バッハ・IOC会長 知事と私たちはすでに同じボートに乗っている。今後とも緊密な協力で大会を大成功させたい。
小池知事 バッハ会長就任後にIOCが採択した五輪改革策アジェンダ2020でバッハ会長が込めた思い、持続可能な五輪にするためにあらゆる努力をする。知事選での公約で、五輪の再点検を掲げた。最近の世論調査では、五輪費用などの見直しに80%以上が賛成だ。都の調査チームが(開催計画を)チェックし、その報告を受け取って現在は検討しているところ。10月中に答えを出し、様々な手続きを進めていきたい。
バッハ会長 私たちとしても、ぜひ都民にすばらしいレガシー(遺産)を残したい。IOCとしては五輪の成功のために、17億ドルを拠出している。「もったいない」の精神で今後とも密接に協力し、大会運営の最善の方法を模索したい。成功のためには、運営の中心にアスリートを置く必要がある。アスリートこそが五輪大会の心であり、魂だ。
必ず守らなくてはならない大原則は、公平な競争だ。3年前の大会招致で、他の2都市(イスタンブールとマドリード)に勝って東京が選ばれたのは、公平な競争をしたからこそだ。東京はあの時に、とても説得力ある持続可能かつ実行可能な案を出した。東京が開催都市として選ばれた後に競争のルールを変えないことこそ、日本にとっても、東京にとっても、そしてIOCにとっても、利益にかなっていると思う。この大原則を守ってこそ、東京大会の予算を見直して、どう実行可能にできるかということを私たちも一緒に考えていくことができる。
(調査チームの報告書を)一読した限りでは、五輪・パラリンピック調査チームの報告にある数字(額)をもとに、大幅にコスト削減していける潜在性があると感じている。そこで、4者による作業部会の発足を提案したい。都、組織委員会、日本政府、IOCの4者で作業部会を形成して、一緒にコストに関して数字を見直していく。
小池知事 具体的な提案をいただき、ありがとうございます。今日の会談をこのように全面的にメディア公開することに賛成してくれたことにも、改めて感謝申し上げたい。それぞれの会場経費がいくらかかるのか、都民の納得が必要。提案があった4者協議も、しっかりと国民や都民に見える形でやっていければ良い提案ではないかと思う。ぜひ、来月にでも会議が開けないか、逆に提案する。
バッハ会長 4者協議は、こちらとしては今月にでも始められる状態。ただ、私が聞いている説明だと、まだそちらの報告書が完成していない。もう少し検証が必要だと聞いている。十分に時間をとり、内部調査を充実して欲しい。この会談と同様に、透明性ある形で進めましょう。
まもなく開催される東京五輪の調整委員会でも、議論できれば非常に良い。「どこで」とか「何を」とかを先に決めるのではなく、結果に焦点を置かないといけない。先ほど言ったような大原則を守りつつ、お互いに利益になるような枠組みで東京側の準備ができ次第、対応したい。
小池知事 ぜひ、調査と精査を急がせる。
バッハ会長 繰り返すが、IOCとしては密接に都と組織委員会と協力することで大成功させたい。成功というのはそれぞれの関係組織が一緒になって初めて獲得できるものだ。
小池知事 バッハ会長はご多忙かと思うが、またご来日いただければと期待している。
バッハ会長 まず第1段階としては、事務レベルの人間がお金に関して詳細な議論をして技術的な評価をしたうえで、11月の調整委員会に臨むのが望ましい。私は日本食、日本の人が大好きなので、そちらの準備ができ次第、スケジュールを調整してすぐに東京に来ることをお約束する。
小池知事 リオでお伝えした日本の「もったいない」の精神。その言葉も正しく覚えて頂いていることに感動した。
バッハ会長 一言一句すべて覚えている。アリガト。
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