「Winny」(ny) 利用でウィルス感染して情報漏えい…ウィニーは息子がつこうた
「つこうた」 とは、WinMX や Winny (ny)、Share などの ファイル共有ソフト (P2P ソフト) を使うこと、あるいは使ったことにより コンピュータウィルス の一種、暴露系ウィルス に感染して個人情報などを ネット にばら撒いてしまうことを指す言葉です。 言葉としては、「使った」 の方言 (滋賀弁、もしくは他地域から見た関西弁) となります。 「またつこうた」 とは、「また使ったのか」 という意味です。
| パソコンの使用者名とデスクトップを晒すワーム 暴露系ウイルス「キンタマ」 |
暴露系ウイルス「キンタマ」、その亜種 「仁義なきキンタマ」 とは、主に Winny 利用者が感染するワームウィルスです。 2004年3月12日にネット上で新種として発見され話題となりました。 通常は偽装した画像ファイルなどの Windows XP のアイコンの形でパソコン上に現れ、感染すると、そのパソコンに登録されたユーザー名と組織名、およびスクリーンキャプチャされたデスクトップ画像とデスクトップ上のファイルなどがまとめられて Winny ネットワーク上にアップロードされ拡散します。 たまたま個人情報を含むデータがデスクトップにあったり、メールソフトなどを起動している時にキャプチャされると、それらがまるまる外部流出することになります。 この手の暴露系と呼ばれるウイルスやワームには様々なタイプありますが、特定ファイル (JPEG 画像や EXCEL データ) などを HDD から探し出してまとめてアップロードするものなどもあります。 当然ながら、プライベートな写真や個人情報などを、ほぼ個人を特定できる状態でネット上に晒す場合が多く、感染したパソコンの持ち主に与えるダメージは深刻なものがあります。 |
「つこうた」 の 元ネタ ですが、2005年に滋賀県草津市の市議のパソコンが、Winny 利用によってコンピュータウイルスに感染。 保存されていた300件近くもの個人情報を住所録の形などでネット上に漏洩する事件が発生したことに始まります。
その漏洩の様子を目撃し報告した 2ちゃんねる ダウンロード板の 「Winnyを狙ったワーム・ニュイルス情報 Part40」 スレッドで2005年6月11日に話題となり、そのまま 「ニュース速報板」 などに情報が伝播。 16日にはネットニュースなどで事件が配信され、一気に お祭り (つこうた祭り) となりました。
その際、報道関係者に説明を求められたこの市議が、「息子に聞いたら 「ウィニーをつこうた」 といっていた」 と釈明。 この 「つこうた」 が語源となっています。
市議の釈明のセリフから…
報道によれば、どうやら家族で共有している自宅用のパソコンで18歳の息子が Winny を利用していたようで、その結果、いわゆる暴露系ウィルス (「キンタマ」 の亜種 「仁義なきキンタマ」) に感染してしまったようです。 情報漏えいはこの結果生じてしまったようです。
この事件では、市議の息子がファイル共有ソフトを使っていた点もさることながら (まさかポエムのやり取りをしていた訳ではないでしょうし)、市議の交友関係や、また漏洩した情報によって政治資金規正法で禁止されている労働組合からの不正な政治献金を疑わせる メール までが拡散。 議員が アンチ の多い民主党議員だったこともあり、ネットで大きな話題となってしまいました。
Winny やファイル交換ソフトを利用することの代名詞に
一種のお祭り騒ぎとなっている中、「つこうた」 という言葉の語感の面白さから、言葉として広まり定着。 この事件以降も、学生やら一般サラリーマンやら公務員やら、あるいは大企業やマスコミ関係者、さらには防衛庁やら各種官公庁のお役人、あろうことか警察関係者までもがウィルス感染して個人情報や業務情報などを漏洩させています。 そのたびにネット上では、「つこうた」「またつこうたか」 と呼ばれるようになってしまいました。
相次ぐ 「つこうた」 発覚
この種の 「情報漏えい」 事件はたくさんありますし、中には知り合いや恋人が 「ファイル共有ソフト」 を使ってウィルス感染、本人のあずかり知らない所で自分の個人情報や 「お宝画像」 などをネット上にばら撒かれ、巻き添えになってしまった気の毒な例もあります。
一方で、違法コピーソフトを取り締まったり、ウィルス感染を防止するのを仕事としているような人たち、例えばセキュリティ関係の企業や監督官庁、その外郭団体、さらには情報処理やソフトウェア開発支援を行う独立行政法人の職員までもが情報漏えいさせているのは、なんとも頭の痛い問題です。
またマスコミ関係者、中でもテレビ局の社員やプロデューサーなどの利用と情報漏えいが発覚すると、「YouTube などの 動画共有サイト に投稿されたテレビ番組の動画を権利者削除しまくってその行為を批判するくせに、自分たちは Winny で動画やソフトを不正にぶっこ抜きかよ」「年収1,000万超えてても、やってることは中学生の万引きと一緒」 などと、当たり前と云えば当たり前の批判を受けるケースもあるようです。
取り締まりの不公平感が 「やって何が悪い」 との開き直りを助長
| IPA職員の私物パソコンによる 情報流出について」 とのお詫び |
大きな流出事件はいくつもありますが、とりわけ 2009年1月6日に発覚した経済産業省所管の独立行政法人、「IPA」(情報処理推進機構) 職員による情報漏えい事件は、規模の点で過去類例を見ない流出となっていました。
またこの独法が税金を使い開発の支援をしていた民間の市販ソフトウェアをファイル共有ソフトで不正に入手していた痕跡があること、アニメ やパソコンゲーム、児童ポルノ の画像や動画、他の 「つこうた」 事件による流出画像 (ハメ撮りなどの、いわゆるお宝画像) を収集していた形跡があるなど、かなり悪質なものでした。
結果、「Winny 開発者は著作権侵害幇助の疑いで摘発されているのに (後に無罪判決)、そのものずばりの違法行為をやっている人が逮捕も起訴もされないのはなぜか」「この独立行政法人は、国民の税金で何をやる機構なのか」「アニメやパソコンゲームのクリエーターは過酷な環境で必死に作品を作っているのに、それを支援すべき事実上のお役人が、彼らの何倍もの給与手当てを税金で貰いながら、それを盗むとは何事だ」 と、辛辣な批判を浴びることとなりました。
と同時に、「こういう人たちは何をやっても逮捕も起訴もされないんだな」「法律を守るのが馬鹿馬鹿しくなる」 と、違法行為であるファイル共有ソフト利用のある意味で免罪符、開き直りにも繋がっています。 「他人がやってるから自分も…」 は、何の免罪符にもなりませんが、よりによってそれを取り締まる側、利用しないよう啓蒙する側が堂々とやっていてお咎めなしでは、「正直者はバカを見る」「やらなきゃ損だ」 との不健全な風潮を助長するだけでしょう。
警察も人手が余っている訳ではないんでしょうから、全ての 「つこうた」 を逮捕はできないとしても、余りに悪質でテレビ新聞沙汰になったケースで何の法的な摘発がないのは 「やっても捕まらなければいい」「捕まった奴は運が悪いだけ」 なんてことにもなってしまいます。 法治国家ならば、ぜひバランスを取った対応をしてもらいたいものです。
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