ひとりのセラピストのひとりごと

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ひとりのセラピストのひとりごと

未経験でも手に職をつけ、進学した鍼灸学生。いろいろな場所で、いろいろを想う。

視覚と幻覚

病院と鍼灸の医療

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幻覚ってみたことありますか?

私はあまりに眠すぎて、でも眠っちゃいけない時、

幻覚を見たことがあります(笑)

スノーボードの帰りで、助手席に乗った時、

後部座席の友達はみんなスヤスヤ眠っていたのですが、

運転手に

「お前・・・寝たら降ろすぞ」

と脅され(笑)

気合いと根性で起きて最後まで乗車したことがあります。

あまりの疲労と眠気から、目が開いているのに

前のトラックに変なものが乗っているのが見えたりして

ああ、人間って疲れすぎるとおかしくなるんだなあ

と思ったことがあります((((;゚Д゚)))))))

そんな幻覚と、目でものを見る視覚についてのお話です。

 

 

視覚って何?

視覚とは、目でものを見ることを言います。

人間は左右2つの目でものを見ていますね。

これは、目で見たものが、情報として、

目の神経を伝わり、脳で処理されます。

この神経の名前を、視神経と言います。

神経は、電線のようなもので、人の身体に張り巡らされ、

色々な情報を伝えています。

触られた感覚や、身体を動かす命令も、

神経を伝わって脳で処理されているのです。

 

目でものを見ると、その情報が脳へ伝わります。

そこで、

あ、これはコップだ、とか

あ、これはパソコンだ、とか

そういうことを脳が判断しています。

この脳の判断はちょっといろんなしくみが混ざっていて、複雑です。

実は科学を持ってしてもよくわからないこともたくさんあります。

脳のしくみは、とってもむずかしいものなのです。

 

 

目で見なくても、

脳のしくみによって、何かを見たような感覚が起きることがあります。

簡単な例では、夢です。

寝ている時、夢を見ますね。

全く見たことがない方はとても少ないのではないかと思います。

夢は、目は閉じていて、ものを見ていないのに、

脳のしくみがはたらいているので、見ることができます。

夢って、メチャクチャだったりしませんか?

できないことができたり、ありえないことが起きたり。

あれは、目が閉じていて、脳だけが動くから起きることです。

 

夢は健康な人が、寝ていて誰でも見るものですが、

一部のクスリや、病気でも、

脳のしくみのために、夢を見るような現象が起きることがあります。

これは、寝ていなくて、目が開いているのにもかかわらず起きます。

これが、幻覚です。

 

 

幻覚とは

幻覚は、一部のクスリを使った人や、

脳のしくみにトラブルが出る病気になった人が見ることがあります。

逆に言うと、

クスリや、病気がなくても、脳のしくみのトラブルで、幻覚を見ることがあります。

私が疲れすぎて見た変なものの幻覚は、

脳がきちんと動かなくなってしまった結果と言えます。

幻覚は目が開いているのに見えてしまうものです。

脳のトラブルの程度により、

幻覚を、幻覚だとわからなくなってしまい、

考えが混乱したり、慌ててしまうことがあります。

こういうことは、健康な人ではほとんど起きません。

クスリや、病気のために起きます。

 

 

クスリの幻覚

日本では手に入らない(はず)の、麻薬や覚せい剤には、

幻覚を見るものがあります。

もともとは、毒キノコや植物に含まれている成分でしたが、

それをクスリにしてしまった人がいて、

今も世界のどこかで売られていますね。

クスリとは、とても「濃く」してあって、作用が強いものです。

幻覚は脳のしくみがおかしくなって生じるものですから、

クスリで幻覚を見るということは、

脳をおかしくする、ということです。

これをたくさん使えば、当然、脳は壊れてしまいます。

だから、麻薬や覚せい剤はどの国も危ないものとして、

法律で規制しているというわけです。

 

ずうっと昔の医学が出来る前は、

占いや祈祷が医学の代わりでした。

「シャーマン」という職業の人がいて、

占いをしたり、神様のおつげを聞いたりしていましたが、

ある国のシャーマンは毒キノコの

「ベニテングタケ」というものを食べて、幻覚を見て、神様のおつげを知らせていました。

ベニテングタケには幻覚を見せる作用があります。

近代で問題になる薬物の、「LSD」というものがありますが、

これはベニテングタケを元に作られたものです。

薬物によって、見る幻覚に特徴が出ることがあるそうです。

LSDは、たくさんの色が次々に現れる、カラフルな幻覚が出現するそうです。

 

こうやって言うと、

「え!なにそれ、見てみたい」

と思われるかもしれませんが、

何しろ脳を壊して幻覚を見るわけですから

症例報告の文献にはその後の恐ろしい症状が書いてあります。

人間をやめてしまうくらいの、恐ろしいことが起きてしまいます。

やはり薬物はとんでもなく怖いものです。

 

 

医学生がクスリで幻覚を見た手記

私は精神科医や脳科学者の本を非常に好んで読んでいます。

今回こんな幻覚のおはなしを書いたのも、

ある医師の体験談を読んだのがきっかけになりました。 

 

見てしまう人びと:幻覚の脳科学

見てしまう人びと:幻覚の脳科学

 

 

この先生は医師であり、神経学の先生で、

 脳に関する様々な本を書いていますが、

医学生の時、幻覚を見てしまう患者さんの体験が気になり、

結局のところ自分でやってみるのが一番だ、と思われたそうです。

(すごいですね・・・)

それで、友達に勧められたクスリに始まり、

色々やってみて、最終的に鎮静剤の静脈注射をして、

怖くなってやめたそうです。

いっ時は非常に恐ろしい幻覚を見たこともあり、

自分が幻覚を見ていることにも気づかなくなってしまったとか。

患者さんのことを考えて危うく人間をやめそうになってしまうなんて

なんというか、レベルが違います(汗)

 

この本は、色々な幻覚を見る病気の、患者さんの症例報告が多いのですが、

途中、この先生自身の体験があり、

それが非常に鮮明で生々しく、

薬物によって現実とまぼろしがわからなくなっていくさまが

わかりやすいです。

 

この先生は、本物の「藍色」というものを見たことが無かったそうで、

クスリを飲んで、藍色を見たい!と強く願ったら、

目の前に鮮やかな藍色の幻覚が現れた、と書いてありました。

藍色を見てみたい、という感覚も、私は持っていない望みですし、

それにクスリを使うというのも、非常に突飛といいますか

後に偉大な先生になるほどの素質を、医学生の時から備えていたのだな、と

感動しました。

・・・マネは決して出来ませんが(汗)

 

 

 

 

幻覚については、クスリがなくとも生じる病気があります。

主に精神疾患が有名ですが、

精神に異常が無くとも、幻覚が出現することがあるそうです。

そういった病気のことについては、また機会を改めてお話しようかなと思います。

でわでわ(^ω^)