高橋まつりさんの過重労働による自殺が電通の長時間労働の問題点を際立たせたが、私は、労働時間に対する考え方について、今こそ、労働基準法の原点に立ち返るべきだと強調したい。
■「残業=犯罪」が労働基準法の大原則
我が国に多くの会社において、残業は当たり前の風景になっている。しかし、労働基準法の下記の条文に目を通してみてほしい。
労働基準法 第32条
1 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
2 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。
労働基準法においては、1日8時間、1週間40時間を超えて労働をさせてはならないことが大原則であるということだ。
合わせて、次の条文もご覧いただきたい。
労働基準法 第109条
次の各号の一に該当する者は、これを6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
一 (前略)第32条(中略)の規定に違反した者
二 (以下省略)
労働者を1日8時間、1週間40時間を超えて労働させた場合には、「6か月以下の懲役、30万円未満の罰金」という罰則まで定められているのだ。
すなわち、労働基準法は、使用者が労働者を1日8時間、1週間40時間以上働かせることを「犯罪」とさえ定義しているということである。
■「サブロク協定」で犯罪が回避されている
それではなぜ、犯罪である「残業」が多くの会社で平然と行われているかというと、そのカラクリは労働基準法の次の条文にある。
労働基準法 第36条
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、(中略)労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
労働者代表と使用者の間で、通称「サブロク協定」という労使協定を結び、会社の所在地を管轄する労働基準監督署に届け出た場合は、その届出内容の範囲で残業は違法ではなくなるということである。
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