メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

残業抑制へ 月65時間上限、実効性に疑問も

新入社員が過労自殺し労災と認定された問題で電通本社に強制調査に入る東京労働局と三田労働基準監督署の職員=東京都港区で2016年10月14日午後1時1分、内藤絵美撮影

 電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24歳)の過労自殺問題で同社は18日、労使協定で最長70時間としていた月間の時間外労働時間の上限を5時間引き下げ65時間にすると発表した。そもそも上限はこれまで守られておらず、厚生労働省幹部は「実効性ある改正となるか、注視したい」としている。

     電通広報部によると石井直社長が17日、全社員へのメッセージの中で「労務管理の方針を刷新する」と宣言した。上限引き下げのほか、繁忙期に時間外労働を特別に延長できる「特別条項」の上限も月間で最長50時間から30時間にするなどとした。労組と合意の上で11月1日から正式に変更するが、各管理職に可能な範囲で今月中の実施を求めた。

     さらに、昨年春に入社した高橋さんが11、12月の繁忙期に長時間労働を重ね12月25日に亡くなった反省を踏まえ、1年後輩の今年の新入社員には11、12月に特別条項を適用せず、残業を月65時間以内に抑えることにした。また、残業抑制で10月24日から全本支社で「全館午後10時消灯」と決めた。

     高橋さんの遺族の代理人によると、電通は高橋さんら社員に月70時間を超える時間外労働を「勤務状況報告表」に記載しないよう指導したとされ、高橋さんは昨年10月の時間外労働を「69・9時間」、同11月は「69・5時間」と過少申告した。厚労省幹部は「現時点では、元々守っていなかった時間外労働の上限を5時間減らすと決めただけ。本当に守るような社内改革を期待したい」と話した。

     また、東京労働局は18日午後、地域主要子会社の電通東日本(東京都)に労働基準法に基づく「臨検」と呼ばれる抜き打ちの立ち入り調査に入った。各地の労働局は14日以降、電通西日本(大阪市)など全国の地域主要子会社4社を臨検し、これで計5社目。【早川健人】

    関連記事

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 電通 残業抑制へ 月65時間上限、実効性に疑問も
    2. 兵庫の切断遺体 中国人の男が関与か 既に帰国
    3. 将棋 三浦九段がソフト使用疑惑否定 反論文書全文
    4. 被写体に自殺中2・賞撤回 遺族が写真公開「娘誇らしく」
    5. 徳島・阿波市議 副議長がネパール旅行 本会議を欠席して

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

    [PR]