韓国の北朝鮮大学院大学総長でかつて外交通商部(省に相当、以下同じ)長官を務めた宋旻淳(ソン・ミンスン)氏の回顧録『氷河は動く』をめぐり与野党の対立が激化している。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権当時の2007年、国連が北朝鮮人権決議案の採決を行う直前、韓国政府は対応を決めかねていた。その後、韓国政府は採決に棄権したが、その理由が当時北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)政権の意向を確認し、これに北朝鮮が反対したためだったというのだ。回顧録によると、2007年11月18日に開催された会議において、北朝鮮への確認を提案したとされる人物は金万福(キム・マンボク)国家情報院長、李在禎(イ・ジェジョン)統一部長官、白鍾天(ペク・チョンチョン)大統領府統一外交安保政策室長(閣僚級)=職位はいずれも当時=などだが、彼らはいずれも回顧録の内容を否定している。また当時、大統領府演説企画秘書官を務めていたキム・ギョンス議員(共に民主党)も回顧録に書かれた内容を否定した上で「棄権を決めてから北朝鮮に伝えた」と説明している。これに対して宋氏は混乱の拡大に当惑しつつも、回顧録の内容が事実であることを改めて明言した。ちなみに宋氏も問題の会議に出席していた。
このように双方の主張が食い違うとなれば、当時大統領府秘書室長として実際に北朝鮮への確認を進めたとされる文在寅(ムン・ジェイン)元共に民主党代表の発言に注目せざるを得ない。文氏は一昨日からフェイスブックに自らのコメントを掲載しているが、問題の核心となる「自らが北朝鮮の意向を確認したかどうか」については直接の言及を避けている。これでは「文氏が北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記に確認した上で棄権したのが事実であり、それを自ら明らかにできないのでは」という疑念も当然膨らんでこざるを得ない。文氏はフェイスブックを通じ「盧武鉉大統領は多数の意見を聞いて(人権決議案採決の)棄権を決めた」と説明しており「そのような点は朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が学ぶべき点だ」などと的外れな主張をしているが、このようなごまかしのコメントで国民の間に広まる疑念を解消することなどできない。