【社説】文在寅氏は今後も韓国政府の対応を北朝鮮に尋ねるのか

 また文氏は与党セヌリ党に対し「北風(北朝鮮の影響)の強調やレッテル貼りばかりに力を入れ、南北関係についての明確な哲学がない人間たちだ」などとも批判している。しかし「北朝鮮の意向を確認した」と主張している宋氏は盧武鉉政権で外相を務めた人物でありセヌリ党員ではない。また文氏は北朝鮮人権決議案に棄権した当時のことを「南北関係における黄金時代」などと自画自賛しているが、その黄金時代に今この民族を破滅に追い込みかねない核兵器の開発が進められていた。文氏は「先制攻撃だとか核武装だとか、あるいは戦争とかいった言葉で平和を破壊し、国民を不安に陥れる低レベルの政治は中断しよう」などとも呼び掛けている。しかし政府が実際に先制攻撃、核武装、戦争などに言及あるいは発表したことなどない。「戦争か平和か」「本当に戦争する気か」など低レベルの言葉で国民に恐怖心を与え、問題解決から目をそらさせるのは太陽政策(北朝鮮への融和政策)論者たちがいつも使う言葉であり手段だ。今や国民もこのような虚像で北朝鮮への対応を誤った太陽政策論者たちの責任逃れや思い込みをある程度理解しているのだ。

 また文氏は北朝鮮の意向を確認したことを間違いとも考えていないようだ。これではもし今後文氏が再び権力を握れば、同じような行動を取るのは確実で、これは今後の選挙などで国民が投票を行う際の大きな判断材料になるだろう。宋氏の回顧録によると、盧武鉉政権は2007年8月に南北首脳会談の日程を決めたが、これを米国にすぐ知らせなかった。2006年に北朝鮮が最初に核実験を行った時も、米国は金剛山観光事業の中断を求めたが盧武鉉政権はこれを拒否した。文氏は当時の政府によるこれら一連の対応にどのような役割を果たしたのだろうか。文氏は今なお北朝鮮住民の悲惨な現状よりも、金正恩(キム・ジョンウン)政権の意向の方がより重要と考えているのだろうか。今後、核問題などをめぐり北朝鮮との関係で重要な決断を下さねばならなくなったとき、文氏は金正恩氏に「韓国政府はどうすべきか」を尋ねるのだろうか。このような疑問に対して文氏はごまかすことなく、自分の考えを自分の口で明確に国民に説明するべきだ。

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