中国有人宇宙船打ち上げ 「宇宙強国」へ独自基地準備
【北京・相本康一】中国は17日午前、有人宇宙船「神舟11号」をロケット「長征2号F」で打ち上げ、予定の軌道に乗せることに成功したと発表した。飛行士は中国では最長となる約1カ月間、宇宙に滞在し、独自の宇宙ステーション建設に向けて準備する。李克強首相ら最高指導部メンバーも北京の指揮センターに駆け付け、「宇宙強国」への意欲を内外にアピールした。
国営通信、新華社によると、神舟11号は内モンゴル自治区の酒泉衛星発射センターから打ち上げられた。空軍出身の景海鵬少将ら2人が搭乗しており、9月に打ち上げられ、地球から393キロの軌道上を回る無人宇宙実験室「天宮2号」とドッキングし、室内で科学実験を行う。
中国の有人宇宙飛行は6回目。軍関与の下、中国は宇宙開発を加速させ、宇宙開発をリードしてきた米国との競争が激しさを増している。2020年ごろに火星に無人探査機を送るプロジェクトを今春スタートさせ、同じ20年ごろに独自の宇宙ステーション完成を目指す。日本や米ロなど15カ国が参加する国際宇宙ステーションは24年以降、運用が決まっておらず、中国はステーションを保有する唯一の国になる可能性がある。
酒泉のセンターで行われた出発式には、人民解放軍のナンバー2である范長竜・中央軍事委員会副主席も出席。インド訪問中の習近平国家主席は祝電を送り、「宇宙強国建設のために新たな貢献をするよう望む」と努力を促した。
=2016/10/18付 西日本新聞朝刊=