京都の秋を彩る紅葉絶景シーン10選

2016.10.18

朝夕の空気に少しずつ冬の匂いが混じるころ、最盛期を迎える京都の紅葉。歴史ある寺社の見事な紅葉、苔むす庭の落ちもみじ、山肌を染めあげる山もみじ……千年の時を超え、みやこびと達を魅了してきた美しい景色から、10のシーンを選んでご紹介します。今年の秋は、どのシーンを見にいきますか?

1.京都の紅葉の代名詞的存在
永観堂(禅林寺)

いにしえより「秋はもみじの永観堂(えいかんどう)」とみやこびとたちに愛されてきた永観堂。その美しい紅葉風景は京都でも1、2を争う人気で、毎年多くの人たちが訪れます。

境内には約3,000本もの木々が色づき、まるで錦の織物ような美しい景色を作り出しています。
「おく山の岩がき紅葉散りぬべし、照る日の光、見る時なくて(詠み人:藤原関雄)」という古今和歌集の歌にも詠まれた岩垣紅葉は、境内の裏の急斜面から生えている姿がとても趣き深く、今でもその様子を観ることができます。

永観堂は正式名称を「禅林寺」といい、853(仁寿3)年に空海の弟子真紹が藤原関雄の山荘を譲り受け、真言宗の道場としたのが始まりといわれています。
毎年11月に開かれる寺宝展にあわせ、夜間の特別拝観も始まります。ライトアップされた紅葉は幻想的の一言。心に深く刻まれるシーンになるでしょう。

2.高さ22mの三門から見下ろす絶景
南禅寺

臨済宗南禅寺派大本山である南禅寺(なんぜんじ)。敷地に入るとまず目に飛び込んでくる迫力ある三門はあまりにも有名。別名「天下竜門」とも呼ばれ、日本三大門の一つに数えられています。
▲三門からの眺望

「絶景かな、絶景かな」。
これは、歌舞伎「楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」の中で石川五右衛門が南禅寺の三門からの景色を眺めて言った名台詞。

高さ22mもある南禅寺三門から見下ろす紅葉は、まさに時代を超えた絶景です。
また、南禅寺といえば琵琶湖から京都市内に向けて引かれた「琵琶湖疏水」も有名。赤煉瓦のアーチ「水路閣」と紅葉のコントラストもまた見所のひとつです。

3.千年の時を越える山もみじの絶景
嵐山・渡月橋

いにしえのみやこびと達にも愛された京都随一の名勝地、嵐山。その美しき山もみじを愛でる絶好の位置にある橋が渡月橋です。

渡月橋の歴史は古く、始まりは承和年間(834~848年)に遡ります。

亀山天皇の詠んだ句よりその名がついたといわれる橋と嵐山の景色は、永い時を越えて愛され続ける京都の象徴的絶景といえるでしょう。

4.平家物語ゆかりの、苔むす草庵
祇王寺

嵐山から竹林を抜け、奥嵯峨へ向かう道行の細い路地の先にひっそりと佇む祇王寺(ぎおうじ)は、知る人ぞ知る紅葉の名刹です。

祇王寺の名は、平清盛の寵愛を受けた白拍子・祇王に由来します。平清盛の寵愛を受けた祇王が、清盛の心変わりにより都を追われ、母と妹とともに出家、入寺したのがこのお寺なのです。

苔むす庭園の変わらぬ青と散りゆく紅葉の朱……。繰り返される四季の移ろいと、祇王の悲恋のエピソードが、秋の終わりのせつなさとともに胸に迫ります。

5.一幅の絵画のような紅葉景色
宝筐院

宝筐院(ほうきょういん)は嵐山・嵯峨野にある臨済宗の寺院。見事な庭園の紅葉が各種メディアに取り上げられ、毎年多くの観光客が訪れます。その圧倒的とも言える庭園の紅葉はどこを切り取っても美しく、しばし時を忘れてしまうほど。

中でも、本堂から見た庭園の紅葉は絶品です。
まずはご本尊にお参りをして、そっと後ろを振り返れば、障子の枠に切り取られた紅葉の、絵画のような美しさに息を呑むことでしょう。

※こちらのお寺は三脚を立てての本格的な撮影を目的とした拝観は禁止です。あくまで記念撮影として、デジカメやハンディカメラ程度なら持込可とのことなのでご注意ください。

6.床に写りこむ幻想的な紅葉
実相院

実相院(じっそういん)は、元天台宗の寺門派の門跡寺院で、鎌倉時代の創建です。ご本尊は広く民の願いを聞き入れる不動明王で、祈願に訪れる人も多く寺宝も数多く遺されています。
▲「石庭」 写真提供:実相院

そんな実相院の紅葉の見所のひとつは、比叡山を借景にした枯山水の石庭。遠くに望む比叡山、静謐に整えられた石庭、そして赤く染まった楓の木々が見事な景色を織り成しています。
▲「床もみじ」 写真提供:実相院

そして、もうひとつの見所は、滝の間の床板に写りこむ真っ赤な紅葉が美しい「床もみじ」。黒く磨きこまれた床に映える紅葉は、見るものの心を捉える幻想的な美しさです。
※床もみじの撮影は禁止です。

7.苔の庭に佇むわらべ地蔵と落ち紅葉
三千院

天台宗五箇室門跡の一つで、国宝の阿弥陀三尊像をはじめ、多くの文化財が安置されている三千院(さんぜんいん)。紅葉の名所としてはあまりに有名で、広大な敷地に広がるその様は、数多くの観光客を魅了しています。
数多ある見所の中でも、おすすめは有清園(ゆうせいえん)。青々とした杉苔が広がる庭園には、杉村孝作のわらべ地蔵がいくつも置かれ、やさしい微笑みを見る人に投げかけています。落ち紅葉と苔、お地蔵様の組み合わせは、ここでしか見られない光景です。

8.池に映りこむ豪奢な紅葉景色
醍醐寺

▲「弁天堂」写真提供:醍醐寺

約200万坪の広大な境内に数多くの見所がある醍醐寺(だいごじ)。世界文化遺産にも登録され、豊臣秀吉が晩年に行った「醍醐の花見」でも有名です。

紅葉の見所は、七福神のひとつ、弁財天が祀られている「弁天堂」。

お堂の対岸から見ると、朱塗りの弁天堂と橋、そして色とりどりに染まった木々が池に映し出され、なんとも豪華絢爛な紅葉景色を作りだしています。

9.長い参道を真っ赤に染める散り紅葉
毘沙門堂

七福神のひとつ、毘沙門天を本尊とする天台宗の門跡寺院である毘沙門堂(びしゃもんどう)。木立に囲まれて趣のある池泉回遊式庭園「晩翠園(ばんすいえん)」をはじめ、紅葉の見所が多数ある人気の寺院です。

なかでも見所は勅使門(ちょくしもん)へ続く長い参道。秋も深まると、参道脇を染める木々から散り落ちた葉が、まるで赤い絨毯のように参道に敷き詰められます。

10.京都市民憩いの場の庭園紅葉
梅小路公園・朱雀の庭

京都駅から徒歩15分ほどの場所にある梅小路公園。広い芝生広場に、京都水族館や京都鉄道博物館などがある人気スポットです。観光客だけでなく、地元の人たちも多く集っています。

その公園内にある日本庭園「朱雀の庭」も実は穴場的な紅葉スポット。池泉回遊式庭園の中央にある「水鏡」と名付けられた浅池には、周辺の美しい紅葉が映し出されます。

例年11月中旬~下旬頃にはライトアップイベント「梅小路公園 紅葉まつり」も行われ、昼間とはまた違う美しい表情を愛でることができます。※2016年は11月18日(金)~27日(日)に開催
いかがでしたか?紅葉時期の京都は、どこへ行ってもすごい人出ですが、早朝などの時間帯によっては比較的スムーズに観ることができる場合もあります。時間や場所など、事前にしっかり計画を立ててめぐるのがおススメです。
妙加谷修久

妙加谷修久

京都市在住の旅行系ライター兼ディレクター。全国各地に足を運び、旨いモノを食べ、温泉に浸かる日々。ここ京都を中心に、知っているようで知らない「日本のイイトコロ」を紹介します。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。

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