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【プロ野球】

<竹下記者のWHO ARE YOU?> 広島を愛し愛されるエルドレッド

2016年10月18日 紙面から

バットを手に笑顔を見せる広島のエルドレッド=マツダスタジアムで(北村雅宏撮影)

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 日本シリーズ進出を決めた広島の優良外国人選手が、ブラッド・エルドレッド内野手(36)。来日5年目のレギュラーシーズンを終えた男は、その愛すべき素朴なキャラでチームメートに「カントリー(田舎者)」と呼ばれ、今や、外国人選手の精神的支柱にもなっている。地元中国電力のCMに起用されたり、市内をママチャリで疾走する姿がカープファンに目撃されたり、広島生活を満喫。コイに恋した男が、コイの街で見つけたハッピーライフとは…。

 エルドさんの人となりについて知りたくやってきました、広島まで。

 「オーケー。バカ・ガイジンネ(笑)」

 アハハハ。いきなり、笑わさないでください。来日5年目、だいぶ、日本にもなじんでるご様子で…。

 「そうだね。3人の子どもも米国で過ごすより、日本で過ごした時間の方が長いから。日本でセカンドホームを作ったようなもんだ。3人とも娘。4月から日本の公立小学校に通ってるよ」

 3人とも娘さんですか? そりゃ、心配です。公立小学校なら、授業もオール日本語ですよね。

 「違った文化を学ぶ、またとないチャンス。日本語の勉強もできるし。アメリカじゃできない、得難い経験だから。新しいことにチャレンジするのは、人として成長するチャンスなんだ。トライしたいか?と娘に聞いたら、やりたいというから。グレイトだと思ったね。もちろん、大変な時もあったと思う。教室で何が起きてるのか分からない時だってあっただろうし。でも、10年後、この経験がきっと生きてくる。言葉だけじゃなく、日本で生活したことが記憶に残るはず。日本の大学に行きたいと言い出すかもしれないしね。来年から次女も通う予定だよ」

 ほぅ。それなら娘さんたちの日本語は相当なレベル?

 「全然。以前に比べると、リスニングは上達してるけど…」

 父親のエルドさんの日本語の上達度は?

 「コドモ。コトシ ヨンサイデス。ワタシハ ○○(記者聞き取れず)デス。娘とオレの日本語はどっこいどっこい。たぶん、オレの方がしゃべれる。でも、リスニングは娘が上かも」

 とにかく目指せ、バイリンガルですね?

 「そうだね。オレもね。オレは今、4歳だから、来年から5歳の子が行くプライマリースクール(小学校)に通う予定なんだ。ランドセルしょってね」

 えーと、ここは笑うところでしょうか?

 「そう。ジョーク」

 苦笑。ついでに、日米の教育の違いについて感じることは?

 「日本はなんでも一緒にやるよね。ハーモニー重視。でも、オレはそこが好きでね。子どもに助け合いの精神を学んでほしいから。アメリカは個人主義だから」

 文化については

 「人に対してだけでなく物にもリスペクトを払う文化が好きだね。平和的というか。一番良いと思うのは、人生経験豊富な年配の人を敬うところかな」

 ちなみに、私はあなたより年上ですよ!!

 「オー、センパーイ」

 アハハハ。話題変えますが、あなたは、かなりの食通だと聞きました。

 「なんでも食べるよ。広島焼き? いいねえ。でも、ソースは少なめがいいね。多すぎると甘すぎる。少しならいける。うどんが一番好きだね。ラーメンもいけるよ」

 ところで、来季も広島でプレーを?

 「今季で契約終わるからフリー。今、日本シリーズ控えて、大事な時期。日本シリーズが終わってから、契約の話になるのかな。愛着があるし、広島にとどまりたいという気持ちはあるよ」

 来日2年目の13年オフに解雇が濃厚だったが、当時の野村謙二郎監督の強い要望で残留。残留の報を広島市内のお好み焼き屋で伝え聞いたエルドは号泣したという。その後、持ち前の真面目さで猛練習に取り組み、翌14年には37本塁打でホームラン王を獲得。インタビューは軽いノリになってしまったが、かなりの苦労人。見た目の大らかさとは裏腹のひたむきさと繊細さ。だから、同僚から「カントリー」と親しみを込めて呼ばれる。

 取材が終わると、「シュッシン ドコ(出身、どこ)?」と日本語で問い掛けてきたエルドレッド。私が「日本の南のカゴシマというところ。田舎者だよ」と答えると「ボクモ イナカネ」と答えた。なんだか、日本語、しゃべりたそうだった。今度、イナカモノ同士、うどんでも食いに行こう。その時は、日本語で−。

<ブラッド・エルドレッド> 1980年7月12日生まれ、米国フロリダ出身の36歳。196センチ122キロ。右投げ右打ち。フロリダ国際大−パイレーツ−ロッキーズ−タイガース。12年、広島入り。14年、37本塁打でホームラン王に。今季は95試合、打率2割9分4厘、21本塁打、53打点。今季推定年俸1億2600万円。

 

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