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中国人エリートが慶應よりも圧倒的に早稲田を目指す理由

中島 恵 [フリージャーナリスト]
2016年10月14日
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 国立大学しか存在しない中国に住む中国人にとって、国立と私立の違いや日本での偏差値の高さは、大学選びをする際の最重要項目ではない。もちろん、ハーバード、スタンフォードといった世界の一流校を目指すわけでもない「ちょっと優秀な中国人学生」にとって、世界の大学ランキングも関係ない。それよりももっと重要なのは“中国における知名度”や“ブランド力”で、その点で早稲田大学は中国で人気、知名度、ブランド力ともにダントツのナンバーワンなのである。

 中国に行けば、内陸部の田舎に住む学生に聞いても「日本の早稲田大学」は名前がとどろいているほどで、「早稲田に進学できれば、親戚や同級生たちに自慢ができて、鼻が高い、帰国後の就職にも有利だ」からである。

 日本人からしてみれば、「多くの中国人が知っている日本の大学といえば、極端ないい方をすれば、東大と早稲田のほぼ2つ」と聞くと、ちょっとびっくりしてしまうが、東大はともかく、それほどに早稲田は中国で名前が浸透している稀有な日本の大学なのである。日本人の中国駐在員たちも、そのことを肌で感じている。早稲田出身者は中国にビジネスに行くと、早稲田出身であることが雑談のよいネタとなり、中国人から尊敬のまなざしで熱視線を送られた経験があるからだ。

「ビリギャル」で最近有名になった慶應だが
知名度は低く、留学生ランキングでは13位

 では、「早稲田と並ぶ私学の名門、慶應義塾大学はどうなの?」と思うが、中国人留学生たちに話を聞いてみると、「あぁ、慶應。慶應は早稲田ほどの人気はないですね」とバッサリ。

 「名前を聞いたことがない人も多いと思います。来日した留学生はもちろん知っていますし、日本でいいイメージの一流大学だとよく理解していますけど、中国に住んでいる一般の人々の間では、知名度は低いです」という意外な答えが返ってきた。前述した「外国人留学生受入数の多い大学」ランキングでは慶應はベスト10ランク外の13位であり、これもデータにちゃんと表れている。

 ただ、昨今は人気が急上昇しているという声もあった。そのきっかけは、ヒットした日本映画『ビリギャル』だ。16年春に中国でも公開され、SNSを通じて中国の若者の間にも「慶應義塾大学」の名前が一気に知れ渡ったのだ。中国では落ちこぼれが一流校に合格するケースはほとんどない。だから「日本ではこんなに感動的な話があるのか」と若者の間で話題になったのだ。

 さて、早稲田がここまで中国でメジャーになった背景には、事務方の戦略と努力もある。

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中島 恵[フリージャーナリスト]

なかじま・けい/山梨県生まれ。中国、香港、台湾、韓国など東アジアのビジネス事情、社会事情などを新聞・雑誌などに執筆。著書に『中国人の誤解 日本人の誤解』『中国人エリートは日本人をこう見る』(共に日本経済新聞出版社)などがある。


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