東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 10月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

一票の不平等 参院選再び「違憲状態」 合区後3.08倍「不十分」

参院選「一票の不平等」訴訟の判決を受け、「違憲判断」などと書かれた紙を掲げる原告側の弁護士ら=17日、名古屋高裁金沢支部前で

写真

 「一票の格差」が最大三・〇八倍だった七月の参院選は憲法違反だとして、富山、石川、福井三県の住民が選挙無効を求めた訴訟の判決で、名古屋高裁金沢支部(内藤正之裁判長)は十七日、「違憲状態」と判断した。無効請求は棄却した。二つの弁護士グループが全国十四の高裁・高裁支部に起こした十六件の訴訟で二件目の判決。十四日の広島高裁岡山支部と同じ「違憲状態」の判断となった。

 この選挙では隣り合う県の選挙区を統合する「合区」が初めて導入され、格差は前回の一三年参院選の四・七七倍から大幅に縮小した。

 内藤裁判長は「投票価値の不均衡はなお看過し得ず、著しい不平等状態を解消するには足りない」と指摘。

 一方で「都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する従来の方式を一部改めた」として合区導入などの是正策を一定程度評価、国会の裁量権は逸脱していないと判断した。議員の定数配分規定については「憲法違反とは認められない」とした。

 広島高裁岡山支部判決は今後の是正策について「合区を二つにとどめるのは適切でない」としていたが、名古屋高裁金沢支部は言及しなかった。

 原告側は判決を不服として即日上告した。

 一連の訴訟の判決は十一月八日の名古屋高裁まで続き、その後、最高裁が統一判断を示す見通し。

 最高裁は一三年参院選を「違憲状態」と判断。請求は棄却したものの、国会が不平等是正のために適用した選挙区定数「四増四減」の取り組みを不十分と指摘した。その上で投票価値の平等を実現するには「都道府県単位で定数設定する選挙制度は見直すべきだ」として抜本的改正を求めていた。

 総務省によると、参院選投票日の議員一人当たりの有権者数は、最少の福井と比べ、富山は一・三八倍、石川は一・四六倍の格差があった。

<参院選一票の格差訴訟> 選挙区ごとに議員1人当たりの有権者数が異なり、一票の価値に不均衡が生じるのは憲法違反だとして選挙無効を求める訴訟。不平等が著しい場合は「違憲状態」、その状態が合理的な期間内に是正されなければ「違憲」となる。最高裁は1992年、2010年、13年に実施した参院選の格差をそれぞれ「違憲状態」と判断していた。

 

この記事を印刷する

PR情報