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【東京】

「平和とは」劇で問いかけ 若者が見る現代社会描く 赤坂で23日まで公演

 現代社会に潜む問題を題材にしている演出家の古城十忍(としのぶ)さん(57)率いる劇団「ワンツーワークス」が、劇「遠い国から来た、良き日」を港区の赤坂レッドシアターで上演している。原爆投下から七十年たった広島市の架空の中学校を舞台に、戦争を知らない今の若者が見つめる現代社会を描き、平和とは何かを問い掛けている。 (片山夏子)

 広島在住の劇作家、上田里沙さん(24)が実体験に基づいて原案を書き、古城さんが脚本に仕上げた。上田さんは、自身があまり好きではなかった小中高の平和学習の授業を、今の子どもたちがどう思っているのかと考えたという。

 劇は、中学三年のクラスにイラクから、銃撃されて両親を失い、兄に言われて自爆テロをしようとした経験を持つ男子生徒が転校してくるという設定。彼は皆が楽しみにする夏祭りの花火の音におびえ、テロの記憶に苦しむ。一方で、彼に恋する少女の兄は就職活動に行き詰まり、居場所を見失ってテロ組織への参加を考えるようになる…。

 古城さんは「テロや戦争はもはや対岸の火事ではない」と訴える。集団的自衛権の行使が容認され、戦闘の激しい南スーダンに自衛隊が派遣されている。イスラム国に拘束された日本人が殺害される事件もあった。世界各地でテロが起きる中、日本であってもおかしくないと言う。「身近な人がテロに巻き込まれるかもしれないと考えたら、受け止め方も変わるのではないか。想像力を働かせることが大切」と話した。

 公演は二十三日まで。一般四千八百円、学生三千円。問い合わせは劇団ワンツーワークス=電03(5929)9130=へ。

 

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