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【千葉】

朗読劇で被爆体験を次世代へ 女子高生や主婦ら語り部に

朗読劇「伝えたいあの日のことを」を披露する主婦ら=市川市で

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 広島、長崎への原爆投下から七十一年が過ぎ、県内でも被爆者の語り部が少なくなっている。そんな中、主婦らや女子高校生が朗読劇を通じ、被爆体験を語り継ぐ動きが広がり始めている。被爆体験を次世代に伝える新たな取り組みとして、被爆者団体も期待を寄せている。 (服部利崇)

 「教室にいた私の方に窓の外からものすごい閃光(せんこう)が迫ってきました」

 市川市で今月一日に開かれた平和を願うイベント。横一列に並んだ六十代から八十代の被爆体験のない主婦ら五人が、一人ずつ前に出て、せりふを語る。朗読劇は約二十分。気持ちが高ぶり、泣きながら朗読する女性の姿もあった。会場の約四十人は静かに聞き入っていた。

 朗読劇は「伝えたい あの日のことを」。被爆者団体「県原爆被爆者友愛会」が被爆五十年の年に作った朗読劇を基に、戦後七十年の昨年、新たに体験談を付け加えるなどしてまとめ直した。ナレーターと被爆者四人が一九四五年八月の広島、長崎での原爆投下の状況に加え、その後も続く後遺症や就職・結婚差別、発症への不安の日々などを紹介する内容だ。

 編集に携わった県原爆被爆者友愛会事務局長の児玉三智子さん(78)=市川市=は「もともと原爆投下時の記憶が不鮮明だったり、一人では語れなかったりする被爆者向けに用意したが、それ以外の人たちからも『ぜひ使いたい』という声が寄せられた」と話す。

 朗読劇に参加した「新日本婦人の会」市川支部の青木政子さん(73)は「体験者が減り続けると、被爆体験が伝わらず、知らない人も増える。私たちでもできることがある」と話す。一カ月練習して朗読劇に臨んだという。

 不二(ふじ)女子高校(市川市八幡四)では昨年十一月、演劇部員十四人が同じ朗読劇を演じた。偶然、手にした朗読劇のシナリオに強烈なインパクトを感じ、顧問の小野寺弘教諭(53)が生徒たちに声をかけたのがきっかけだった。

 三年生で現部長の五十嵐愛実(まなみ)さん(18)は「事前に聞いた被爆者の語りを参考に、感じたこと、思ったことを伝えようとした」と振り返る。三年の羽中田(はなかた)李菜さん(18)は「戦争を繰り返さないため、劇の内容を家族に伝えた」。二年の加藤瑞月(みづき)さん(17)も「世界から核兵器をなくすために行動していきたい」と語った。

 児玉さんは「被爆者はいずれいなくなる。シナリオを熟読すれば、被爆者の気持ちが少しは分かってもらえると思う。登場人物になった気持ちで語ってほしい」と話している。

 

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