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新聞週間 信頼される公器として

 新聞週間が15日から始まっている(21日まで)。きょうは新聞大会が開かれ、今年度の新聞協会賞の表彰などが行われる。

     社会の分断が進み、極論が幅をきかせる時代だ。私たちは、より良い未来を築くため、国民の健全な判断を助ける材料や視点を提供していきたい。

     社会にはインターネットやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)経由で種々雑多な情報があふれている。だからこそ、新聞が公平で公正な報道や論説を提供する重要性が増している。

     既存の社会秩序が揺らぎ、国内外を問わず、社会を分断させるような動きが強まっている。日本では安倍政権の外交・安全保障政策や憲法改正、原発・エネルギー政策などを巡って、国論が二分されがちになっている。

     米国では、共和党の大統領候補であるトランプ氏に代表される排外主義が台頭している。欧州でも移民・難民を排斥する内向きな議論が強まり、英国は欧州連合(EU)離脱まで決めた。

     多様な情報の自由な伝達は民主主義社会の存立に欠かせない。しかし、根拠の乏しい情報や主張、とりわけネット上を飛び交う極論は、社会の分断を深めかねない。

     国内外の情勢が複雑化し、将来の見取り図を描きにくい時代だからこそ、幅広い意見を紹介し、そこから解決策を見いだすための公共の場として新聞の必要性が高まっている。

     毎日新聞は1977年に制定した編集綱領で、「社会の公器としての使命を果たす」とうたっている。そうした責任の自覚を示したものだ。

     一方で、行政などの公権力が情報管理を強め、メディアの取材活動を制約するケースも出ている。

     この夏、相模原市の障害者入所施設で障害者19人が元職員に殺害された事件で、神奈川県警が被害者全員を匿名で発表したのはその一例だ。県警は「遺族からの強い要望があった」と説明した。

     昨年の茨城県常総市の水害に際しては、同市が個人情報保護を理由に行方不明者の氏名を公表しなかった。そのため、安否確認が遅れた。

     実名での公表がなければ、事実の核心に迫り、社会で問題を共有することが難しくなる。行政や捜査当局などの権力行使をチェックすることも困難になる。実名の発表が原則であることを確認したい。

     もっとも、新聞の取材や報道の自由は国民の「知る権利」に応えるためのものだ。信頼が揺らげば、そうした主張も説得力を失う。日々の報道姿勢や内容で、社会的責任を果たしていきたい。

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