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 7月にあった参院選の「一票の格差」が最大で3・08倍だったことは憲法違反だとして、弁護士グループが選挙の無効を求めた訴訟の判決が17日、名古屋高裁金沢支部であった。内藤正之裁判長は「違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態を解消するに足りない」として、「違憲状態」と判断した。一方、「合区」の導入などで格差が縮小されたことなどから、請求を棄却した。

 今夏の参院選をめぐっては二つの弁護士グループが全国の14高裁・支部で訴訟を起こした。この日の判決は同じく「違憲状態」とした14日の広島高裁岡山支部に続いて2番目。

 判決は参院選で最大格差が3・08倍になったことについて「投票価値の平等の重要性に照らしてなお看過し得ない程度に達している」と指摘する一方で、国会は合区導入などで「是正に向けた取組を継続」したと評価。国会の裁量権の限界を超えるとは言えない、として違憲判断は下さなかった。

 最高裁は2010年(最大格差5・00倍)と13年(同4・77倍)の参院選を違憲の一歩手前となる「違憲状態」と判断。13年参院選への判決では「都道府県を単位として定数を設定する現行制度を、速やかに見直すべきだ」とした。

 こうした指摘を受けて、徳島と高知、鳥取と島根をそれぞれ一つの選挙区にする合区の導入などで定数を「10増10減」とする改正公職選挙法が昨年7月に成立し、格差は縮小した。

 今年の参院選をめぐる最初の判決となった岡山支部も「違憲状態」と判断する一方、格差が縮小されたことなどから請求を棄却していた。(定塚遼)