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■小さないのち 奪われる未来

 赤ちゃんが「乳幼児揺さぶられ症候群」になり、深刻な被害を受ける児童虐待が後を絶たない。

 母親と長女が風呂に入っている間、父親は生後2カ月の次女を抱っこしながらスマホでゲームをしていた。泣き出すと、持ち上げて強く前後に揺さぶった。

 母親は、なるべく子どもと父親だけにしないよう気を付けていて、風呂に入る時もドアを少し開けていた。泣き声がした後、すぐにやんだので、おかしいと思った。見ると次女はぐったりとしていた。

 2014年末、関西地方で事件は起きた。次女は急性硬膜下血腫など頭に大けがを負い、重い障害が残った。自宅で母親の介護を受けて暮らす次女は、鼻から入れたチューブでしか栄養をとることができない。1日に数十回もてんかんの発作が起きる。発作を抑える薬の副作用で、一日中もうろうとしている。

 次女の事件の1カ月前、兄である長男は1歳7カ月で命を閉じていた。

 13年春、母親が生後2週間の長男をベビーベッドに寝かせて買い物に出かけると、夜勤前で自宅にいた父親から携帯に電話がかかってきた。「(長男が)バウンサー(ゆりかご)から落ちてたんこぶができた」。急いで帰ると、左後頭部が大きく腫れ上がっていた。

 病院に連れて行ったが、脳挫傷や頭蓋骨(ずがいこつ)骨折などの大けがだった。その後の警察の調べで、泣きやまない長男にいらいらした父親が、床にたたきつけたことが分かった。

 母親は、目や体に重い障害を負…

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