・前新潟県知事は、原発再稼働に真っ向から反対していた泉田氏であり、4選が確実視されていたのに、告示直前になって取り消すという異常な事態に陥っていた
・なぜ、負けるはずのない自民党推薦候補者が負けたのか、少し考えてみる。
まず、新潟県知事選挙の結果から
米山氏が 528,455票 得票率52.2%と過半数を制していることがわかる。全くもって危なげのない勝利であるが、実際はどうであったか。大本営新聞の報道を時系列的に紹介する。
新潟県知事選、野党3党に推され東大卒の医師が出馬表明 前長岡市長と一騎打ちへ
2016.9.23 16:35 産経新聞
民進党の新潟5区総支部長で医師の米山隆一氏(49)は23日、新潟県庁で記者会見し、任期満了に伴い29日に告示される知事選(10月16日投開票)に立候補すると表明した。共産、生活、社民の3党の推薦を受ける見通し。これまで出馬を明らかにしていたのは前長岡市長の森民夫氏(67)だけで、無投票となる可能性も浮上していたが、告示6日前になって新人同士が事実上の一騎打ちで争う構図が固まった。
知事選をめぐっては、4選を目指す考えを明らかにしていた現職の泉田裕彦知事(54)が8月末になって出馬を突如撤回。森氏が自民党と公明党の推薦を受けるなど着々と準備を進める一方、共産と生活、社民の3党は独自候補の擁立に向け調整を急いでいた。
・・
共産、生活、社民の3党は今月17日、米山氏の擁立を民進党県連に要請したが、同県連は申し出を断り自主投票を決めていた。米山氏は民進党に離党届を既に提出しており、無所属で知事選に出馬する方向。
米山氏は同県魚沼市出身で東大医学部卒。米ハーバード大付属病院研究員の経験があるほか、弁護士の資格も持つ。衆院選新潟5区や参院選新潟選挙区で計4回立候補したが、いずれも落選。次期衆院選は民進党の新潟5区公認候補に内定していた。
再選が有力視されていた現職が8月下旬に急遽撤回。野党系の候補が決まったのは、9月23日と明らかに出遅れている。ある程度知名度がある候補とはいえ、マスコミ関係ではなく、しかも選挙に強いとはとても言えない人物(経歴、灘高卒、東大医学部卒の医師、かつ弁護士 は凄すぎるのではあるが)であり、正直開始する前から勝負あったと言える状況。安倍内閣の支持率を考えれば、少なくとも半年前から準備をしていなければとても勝てない。しかも、野党の民進党は、早々と自主投票と白旗を揚げている。これでは勝てるはずがないと思うのが、一般的な常識である。事実、このときの大本営新聞の書きぶりは大変に余裕がある。2016.9.23 16:35 産経新聞
民進党の新潟5区総支部長で医師の米山隆一氏(49)は23日、新潟県庁で記者会見し、任期満了に伴い29日に告示される知事選(10月16日投開票)に立候補すると表明した。共産、生活、社民の3党の推薦を受ける見通し。これまで出馬を明らかにしていたのは前長岡市長の森民夫氏(67)だけで、無投票となる可能性も浮上していたが、告示6日前になって新人同士が事実上の一騎打ちで争う構図が固まった。
知事選をめぐっては、4選を目指す考えを明らかにしていた現職の泉田裕彦知事(54)が8月末になって出馬を突如撤回。森氏が自民党と公明党の推薦を受けるなど着々と準備を進める一方、共産と生活、社民の3党は独自候補の擁立に向け調整を急いでいた。
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共産、生活、社民の3党は今月17日、米山氏の擁立を民進党県連に要請したが、同県連は申し出を断り自主投票を決めていた。米山氏は民進党に離党届を既に提出しており、無所属で知事選に出馬する方向。
米山氏は同県魚沼市出身で東大医学部卒。米ハーバード大付属病院研究員の経験があるほか、弁護士の資格も持つ。衆院選新潟5区や参院選新潟選挙区で計4回立候補したが、いずれも落選。次期衆院選は民進党の新潟5区公認候補に内定していた。
新潟県知事選 “脱原発”米山候補が猛烈な追い上げで大接戦
2016年10月5日 日刊ゲンダイ
泉田路線を受け継ぐ脱原発候補VS原子力ムラの戦いとなっている新潟県知事選(16日投開票)。共産、社民、生活と脱原発派の市民が支援する米山隆一氏(49)は告示ギリギリの出馬表明だったこともあり、自公が推薦する前長岡市長の森民夫氏(67)が優勢とみられてきた。しかし、ここへきて風雲急を告げている。米山氏が猛烈な追い上げを見せ、大接戦になってきたのだ。
「森陣営は『楽勝』ムードで緩みっぱなし。自民党の調査では、先々週末は森さんが7ポイントのリードでした。ところが、告示後の先週末はナント、0・3ポイントまで差が詰まってきているというのです」(地元関係者)
この段階では、まだ「追う」状況であるから、さすがに負けるとまでは思っていないことがうかがえる。そして、この一週間後には、いよいよ自民党の尻に火がつく2016年10月5日 日刊ゲンダイ
泉田路線を受け継ぐ脱原発候補VS原子力ムラの戦いとなっている新潟県知事選(16日投開票)。共産、社民、生活と脱原発派の市民が支援する米山隆一氏(49)は告示ギリギリの出馬表明だったこともあり、自公が推薦する前長岡市長の森民夫氏(67)が優勢とみられてきた。しかし、ここへきて風雲急を告げている。米山氏が猛烈な追い上げを見せ、大接戦になってきたのだ。
「森陣営は『楽勝』ムードで緩みっぱなし。自民党の調査では、先々週末は森さんが7ポイントのリードでした。ところが、告示後の先週末はナント、0・3ポイントまで差が詰まってきているというのです」(地元関係者)
「手足を休めたら勝利の女神から見放される」自民党・二階俊博幹事長
2016.10.12 17:35 産経新聞
自民党の二階俊博幹事長は12日、新潟県知事選(16日投開票)に立候補している推薦候補の応援のため新潟市内の選挙事務所などを訪れ、「これからが勝負だ。必ず勝利できると確信を持っている」と激励した。記者団には「手や足を休めた方が勝利の女神から見放される。『ヘッドスライディングでやっと勝った』でいい」と述べた。知事選は与野党の候補が接戦を演じている。
2016.10.12 17:35 産経新聞
自民党の二階俊博幹事長は12日、新潟県知事選(16日投開票)に立候補している推薦候補の応援のため新潟市内の選挙事務所などを訪れ、「これからが勝負だ。必ず勝利できると確信を持っている」と激励した。記者団には「手や足を休めた方が勝利の女神から見放される。『ヘッドスライディングでやっと勝った』でいい」と述べた。知事選は与野党の候補が接戦を演じている。
焦った自民党のばらまいた共産党をこけにする怪文書
新潟県知事選挙
— きむらゆい (@yuiyuiyui11) 2016年10月16日
米山隆一さん当選です。
自民党はこんな卑劣なチラシを新潟県に全戸配布したことを深く反省すべし。
新潟県民をバカにする行為だと知るべきです。
pic.twitter.com/4rB1Qzax0E
自主投票から一転、米山氏を支持…蓮舫代表
2016年10月14日 23時20分 読売新聞
民進党の蓮舫代表は14日、新潟市で街頭演説し、新潟県知事選(16日投開票)で共産、自由、社民の3党が推薦する米山隆一氏への支持を表明した。
民進党は自主投票の立場だが、米山氏と自民、公明両党推薦の森民夫氏の接戦が伝えられ、急きょ判断した。野党共闘の枠組みを重視した事実上の方針転換に、党内では反発の声も出ている。
ただ、民進党の支持団体である連合新潟は森氏の支持を決めている。同党の参院幹部は「自主投票で代表が特定の候補を応援するのは組織としてあり得ない」と不快感を示した。
ここで蓮舫が参戦。それにもかかわらず、民進党の支持母体の一つである連合は不快感を示す。この連合は電力労組が主体であるから、原子力再稼働賛成なのである。森氏を支持するのは当然と言うよりも、原発再稼働反対派は支持しない。2016年10月14日 23時20分 読売新聞
民進党の蓮舫代表は14日、新潟市で街頭演説し、新潟県知事選(16日投開票)で共産、自由、社民の3党が推薦する米山隆一氏への支持を表明した。
民進党は自主投票の立場だが、米山氏と自民、公明両党推薦の森民夫氏の接戦が伝えられ、急きょ判断した。野党共闘の枠組みを重視した事実上の方針転換に、党内では反発の声も出ている。
ただ、民進党の支持団体である連合新潟は森氏の支持を決めている。同党の参院幹部は「自主投票で代表が特定の候補を応援するのは組織としてあり得ない」と不快感を示した。
そして、投票結果は見ての通り。この敗因分析には大本営新聞に登場いただこう
与党痛恨、野党共闘に“成功体験”与えてしまい…解散戦略に影響、TPP審議にも暗雲
安倍晋三首相のテコ入れ通じず
与野党の全面対決となった新潟県知事選は、安倍晋三首相(自民党総裁)と二階俊博幹事長が直々のテコ入れを図ったにもかかわらず、与党が手痛い敗北を喫した。共産党も推薦した野党共闘の候補勝利で“成功体験”も与えた形で、首相の衆院解散戦略にも影響しかねない。
自民党では、3期12年務めた現職の泉田裕彦知事が出馬を撤回した8月末の時点で、全国市長会会長も務めた与党候補、森民夫氏の楽勝ムードが漂っていた。その慢心が悪夢を招いた。
告示直前に出馬表明した米山隆一氏に想定外の接戦に持ち込まれると、二階氏ら党幹部が入れ替わりで新潟入り。首相自らも泉田氏と官邸で面会して“懐柔”に乗り出したが、流れは変わらなかった。党幹部は「準備が全然できておらず、現場がフル回転しなかった」と振り返った。
「負ける理由ないのに負けた」
公明党の斉藤鉄夫選対委員長は16日夜、「国政への影響はない」とコメントしたが、額面通り受け止める向きは少ない。
与党幹部は、高い内閣支持率を背景に首相が来年1月にも衆院解散を断行するとの「解散風」を盛んに吹かす。だが、自民党幹部は「与党系候補が連合新潟の支援も得て、相手は共産党が主体。あらゆる手を打ち、負ける理由がないのに負けた」と分析。
泉田前知事を権謀術を駆使して引きずり下ろしたのに、「準備が全然できていない」はずがない。むしろ、準備が全然できていなかったのは告示直前に出馬を決めた米山陣営の方である。それを準備不足と言わざるを得ないところに、自民党の組織力の陰りが大いにうかがえる。そして、自民党幹部の分析どおり、自民、公明、さらに、連合の力まで借りているのだから、本来負けるはずのない選挙なのである。それが負けた。安倍晋三首相のテコ入れ通じず
与野党の全面対決となった新潟県知事選は、安倍晋三首相(自民党総裁)と二階俊博幹事長が直々のテコ入れを図ったにもかかわらず、与党が手痛い敗北を喫した。共産党も推薦した野党共闘の候補勝利で“成功体験”も与えた形で、首相の衆院解散戦略にも影響しかねない。
自民党では、3期12年務めた現職の泉田裕彦知事が出馬を撤回した8月末の時点で、全国市長会会長も務めた与党候補、森民夫氏の楽勝ムードが漂っていた。その慢心が悪夢を招いた。
告示直前に出馬表明した米山隆一氏に想定外の接戦に持ち込まれると、二階氏ら党幹部が入れ替わりで新潟入り。首相自らも泉田氏と官邸で面会して“懐柔”に乗り出したが、流れは変わらなかった。党幹部は「準備が全然できておらず、現場がフル回転しなかった」と振り返った。
「負ける理由ないのに負けた」
公明党の斉藤鉄夫選対委員長は16日夜、「国政への影響はない」とコメントしたが、額面通り受け止める向きは少ない。
与党幹部は、高い内閣支持率を背景に首相が来年1月にも衆院解散を断行するとの「解散風」を盛んに吹かす。だが、自民党幹部は「与党系候補が連合新潟の支援も得て、相手は共産党が主体。あらゆる手を打ち、負ける理由がないのに負けた」と分析。
一番の理由は、米山候補を民進党が推薦せず、連合が足を引っ張らなかったことにあると言えるのではないか。もし、米山候補を民進党が推薦していれば、当然連合の気に入らない政策(原発再稼働反対)を表立って唱えることはできず、原発再稼働自体が争点にできなかったはずである。つまり、野党共闘で勝つには、民進党の一部(特に連合を支持基盤とする議員)は不要どころか、有害無益。むしろ、連合の推薦は、自民党の支持基盤さえ浸食したことを意味しているのである。
そもそも、原発再稼働を国民の意思に反して決めたのは、当時民主党の党首だった野田佳彦である。民進党が、もし息の根を吹き返したければ、連合とその所属議員を切ること意外にない。原発再稼働反対を旗印にあげて、それに納得しないものは党から去ってもらって、自民党に入党させれば良いのである。連合を取り込んだ自民党は票が増えるどころか、むしろ減るのは新潟県知事選挙の結果が雄弁に物語っている。
民進党は、連合を切れ
これこそが、この新潟県知事選挙で示された「民意」である。
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あぶり出されてきた真の敵2012年09月15日
タグ:新潟県知事選挙
これが今回の知事選で米山隆一氏が勝利した最大の原因だと、当の新潟県民である自分は分析しております。
森民夫氏は元々泉田知事への対立候補として出馬表明した時点で、ただでさえ泉田贔屓の多くの新潟県民を敵に廻しましたし、その森氏のバックに付いたのが自民党ですからねぇ。で、泉田氏の突然の出馬撤回にも、その背後には現政権からの凄まじい圧力(これでもあえてソフトな書き方をしているつもりです)があったのではないか?と多くの県民が口にこそ出さないがそう推測しておりましたから。
「あらゆる手段を使ってでも国は我々新潟県民を国益のための餌食にしようとしている」
程度の差はあれど、県民は皆うすうすそう感じ始めているのですよ。
話は変わりますが、今回の知事選の結果に関して、そんな我々新潟県民を愚民扱いしているマスコミに対しては、新潟県民もそれなりの態度を取ってもいいんじゃないですかねぇ・・・?