あらすじ:高校生の加藤勝は、地下鉄で起きた事件によって死ぬ。ところが次の瞬間、マンションの一室にいた。加藤はそこで、リーダーが不在の東京チームと一緒に火の手が上がる大阪に転送され、サバイバルゲームに参加することになる。大阪チームと遭遇し、妖怪型の星人軍団=百鬼夜行と戦いを繰り広げる加藤。一人で待つ弟のもとへ生還するため戦い抜く加藤の前に、大ボス“ぬらりひょん”が現れ……。(シネマトゥデイ)
製作国:日本 上映時間:96分 製作年:2016年
総監督:さとうけいいち 監督:川村泰 原作:奥浩哉
キャスト: 小野大輔 / M・A・O / 郭智博 / 早見沙織 / 池田秀一 / 津嘉山正種 / 小野坂昌也 / 津田健次郎 / 小川輝晃 / 吉田尚記 / 梶裕貴 / ケンドーコバヤシ / レイザーラモンHG / レイザーラモンRG 等
ようやく日本がGANTZに追い付いた!
どうも、アバウト男です!
今年の春、漫画『GANTZ』を読み直したタイミングで、たまたま『フル3DCGアニメーションで映画化』決定のニュースが解禁されてから、楽しみにしていた【GANTZ O/ガンツオー】を鑑賞して来ました。
本作はGANTZの中でも、良いとこ取りで人気のある『大阪編』を抽出して映像化!ネタバレなしの感想は、
不満も無くはないけど概ね満足!面白かった!
関心の3DCGのクオリティ!アニメーションならではの世界観の構築力、GANTZビギナーにも入りやすい親切設計。
そして1本の作品として秘めたポテンシャルを担保したまま、適度に端折ってまとめた原作からの改変など、なかなか良いんじゃないか!
その前に軽く漫画『GANTZ』の設定について。
死んだ人間が、星人と呼ばれる正体不明の怪物を倒すミッションに強制的に参加させられて、怪物を倒し点数が100点貯まれば現世に蘇られる… ザックリ説明するとそんな話。
まず3DCGアニメーションのクオリティはさすがでした!一度実写化で失敗している人気漫画シリーズをこのタイミングで引っ張り出して、一本の作品として敢えて『フル3DCGアニメーション』で映像化しただけの事はある、納得の映像美でした。(…何様)
本来、漫画『GANTZ』の墨1色だけで塗られた世界に色が付けられ、目の前でその世界観が躍動感を持って暴れ出す。
キレッキレのアクション!武器やマシーンなどのガジェットのテカり感やディテール、星人のおぞましさ、破壊される大阪の街、飛び散る血飛沫、そして揺れるおっぱい!にいたるまで、クオリティが高い!想像以上にイイ!
特に『アクション』が良かった。パワードスーツを着て特殊な銃器を装備した人間 vs 星人とのサバイバル・バトルが売りの漫画なので、映像になるとその設定がより映える!
バトル漫画でよくある『相手が強すぎて攻撃が一切当たらない』描写を、本作ではぬらりひょんとジョージが闘う場面見せるんだけど、本人達の動きとカメラワークを意識した見せ方で、今まで映像として観たもの中で1番納得させられた。超人的な動きと速さが3DCGで滑らかに繰り広げられている!
個人的にアガったとのが、上下に繋がったゴツメの銃から放たれる、重力バスター(勝手に命名)のシーンですね。
敵の真上からエネルギーの塊を落とし相手を押しつぶす攻撃なんだけど、あれは漫画の止め画よりも映像として観る方がよりカッコいい!
他にも、街のネオンや発光するスーツが魅力的に見えたりと、舞台となる『夜』という時間帯を上手く活かしてました。逆に誤魔化せてる部分もあるだろうし、この辺りは同じくロボが出てくる【パシフィック・リム】を参考にしたのかな?
GANTZビギナーも安心の親切設計!
GANTZって色々と細かいルールや設定があるんだけど、本作では主役である加藤をGANTZの世界に初めて来た未経験者に設定する事で、共に戦う仲間から加藤と共に観客も大まかなルールを説明してもらえるので、原作漫画を知らなくてもGANTZの世界に入りやすい作りになっている。
原作には出てた登場人物や星人を、必要最低限のメンツに絞っているので、話がトッチラかることなく、一つ一つが薄くならないように心掛けているのも良いなと。
本来漫画の主人公:玄野の存在をどう処理するかなども、後にちゃんと上手くフォローされるので、上手く整理された印象。観始めの3DCGアニメのぎごちなさもすぐに慣れます。
ちょっとした不満点
概ね褒めましたが不満点が無いわけではなくて。
原作にもある感動的なシーン。本作ではそのシーンにプラスαして乗っかる『感動げなBGM』がやたら過剰で、甘ったるく見えてしまうのは残念でした。作品のトーンもあるんだから、もうちょっとサラッと観せて〜。
加えて、登場人物の心情をご丁寧に全部台詞として言わせちゃうのも、説明的でゲンナリ…
漫画を読んでる人であれば、どういう話か分かって観てるの分まだ大目に見れるけど、知らずに観た人は結構寒い演出じゃないかな。観ていて気恥ずかしくなる。
あと『間』も気になりました。
漫画だとコマとコマの間に流れる時間って意識せずに読み進められるんだけど、映像になると絶えず時間は流れていて、加藤が銃を構えてグズグズしている時間がやたら長く感じられる。
ピンチな場面なのに、弾の無い無制限に撃てる銃をずーっと構えっぱなしの加藤に
早く撃てや加藤っーー!w
と軽くイラついちゃいました。グズグズしてるシーンに見えてしまうなら『一度撃つとチャージするまで時間がかかる』みたいな描写を入れてくれればその辺りは解消出来そうだけど。
でも、そうしてしまうと後半のひたすら撃ちまくるシーンが成立しなくなっちゃうので… 漫画から映像化する際の『見え方の差』はもう少し意識する必要があるのかな。
その諸々のウイークポイントを凌駕するルックの良さなので大丈夫です、安心してください!
フル3DCGアニメという選択肢
今年、映画【アイアムアヒーロー】が「日本でもこのレベルのゾンビ映画が作れるぜ!」と感じさせる作品だったように【GANTZ:O】は「日本でもこのレベルの3DCGアニメができるぜ!」と見せつけられているようで、【アイアムアヒーロー】の出来と同じくらい観ていて興奮した。
これくらいのクオリティで作れるなら今後、次から次へと決まる『漫画の実写化』の際に、実写として再現が難しいモノに関しては、無理して中途半端に実写化するよりも『フル3DCGアニメーション』という選択をしても良いんじゃないか?
【テラフォーマーズ】や【ジョジョ】の実写化然り、早まったんじゃないないかなと本作を観て思わされました。【ジョジョ】は実写化じゃなく3DCGアニメで観たい!
ついつい表現方法やルックに目が行きがちですが、GANTZという原作が持つ『不条理なSF世界』を十分楽しめる一本なので、GANTZに触れた事ない人にこそ是非ともオススメしたい作品でした!
まとめ
良かった点
- アクションや全体的なルックなど、フル3DCGアニメーションという表現方法の選択肢を提示する映像クオリティ!
- 手法と題材のこれ以上ないマッチング
- 原作からの的確な改変
悪かった点
- 過剰に感動げな見せ方&心情吐露の多さ
- 漫画から映像化にしてしまう際に出てくる『見え方の差』をカバーし切れてない
評価:★★★★ 結構良かったぜ!
GANTZ:OというかGANTZ:0という事で、本作を軸に今後、前後のストーリーも新たに3DCGアニメで作って欲しいな。
[ 予告編 ]
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