卵巣の環境を人工的に再現 iPS細胞から卵子作り体外受精
九州大学などの研究グループが卵子が作られる卵巣の中の環境を人工的に再現し、実験室のシャーレの中でiPS細胞から卵子を大量に作り出すことに世界で初めて成功しました。この卵子からマウスの赤ちゃんを誕生させることにも成功していて、研究グループは、卵子の複雑な成長過程全体を直接、観察できるようになり、不妊の原因解明などにつながるとしています。
この研究を行ったのは九州大学の林克彦教授などのグループです。
グループは、マウスのiPS細胞をメスのマウスのホルモンや特定のタンパク質で出来た培養液の中に入れ、培養液の成分を徐々に変えることでマウスの卵巣の中の環境を人工的に再現しながら、細胞を培養しました。
その結果、1か月程度の培養を行う実験1回で、iPS細胞から成熟した卵子およそ1000個を作り出すことに成功したということです。
さらにこの卵子とオスのマウスの精子を体外受精させマウスの赤ちゃんを誕生させることにも成功しました。
iPS細胞から卵子を作り出す場合、これまでは卵巣の中にいったん移植する必要がありましたが、卵巣内の環境を人工的に再現し、iPS細胞から卵子を大量に作り出したのは世界で初めてだということです。
林教授は、「卵子の複雑な成長過程をすべて観察できるようになり、不妊の原因の解明にもつながる」と話しています。
グループは、マウスのiPS細胞をメスのマウスのホルモンや特定のタンパク質で出来た培養液の中に入れ、培養液の成分を徐々に変えることでマウスの卵巣の中の環境を人工的に再現しながら、細胞を培養しました。
その結果、1か月程度の培養を行う実験1回で、iPS細胞から成熟した卵子およそ1000個を作り出すことに成功したということです。
さらにこの卵子とオスのマウスの精子を体外受精させマウスの赤ちゃんを誕生させることにも成功しました。
iPS細胞から卵子を作り出す場合、これまでは卵巣の中にいったん移植する必要がありましたが、卵巣内の環境を人工的に再現し、iPS細胞から卵子を大量に作り出したのは世界で初めてだということです。
林教授は、「卵子の複雑な成長過程をすべて観察できるようになり、不妊の原因の解明にもつながる」と話しています。
専門家「ヒト卵子ができるかはわからない」
今回の研究について、再生医療に詳しい国立成育医療研究センターの阿久津英憲部長は、「卵巣に移植することなく、人工的な環境で卵子が作れたことは科学的には大きな成果だ。ただヒトとマウスでは、卵子になる過程で働く重要な遺伝子が異なり、ヒトの卵子がすぐにできるかどうかはわからない。国の指針では、研究のためにヒトのiPS細胞から精子や卵子を作ることは認めているが受精は認めておらず、実際にヒトでの研究を進める場合には慎重な対応が必要だ」と話しています。