国連 次の事務総長にグテーレス氏任命

国連 次の事務総長にグテーレス氏任命
k10010729201_201610140615_201610140617.mp4
ことしいっぱいで任期を終える国連のパン・ギムン(潘基文)事務総長の後任にポルトガル出身のグテーレス前国連難民高等弁務官が任命され、グテーレス氏は、「人間の尊厳を取り戻すことが私の仕事の中心だ」と述べ、国連のトップとして紛争の解決や難民の救済に取り組む決意を示しました。
国連総会は、13日午前日本時間の13日夜遅く、安全保障理事会の勧告を受け、ポルトガルの元首相で前の国連の難民高等弁務官だったアントニオ・グテーレス氏を、満場一致で第9代の事務総長に任命しました。

演壇に立ったグテーレス氏は、「この10年間紛争地や難民キャンプを訪れ、最も弱い立場にある人々が苦しむ姿を見てきた。私には人間の尊厳を取り戻すことを仕事の中心に据える重い責任がある」と述べ、国連のトップとして、紛争の解決や難民の救済に優先的に取り組む決意を示しました。

一方、パン・ギムン(潘基文)事務総長は、「不安定で不確実な今日の世界にあって、私が10年間率いた国連のかじ取りを彼に任せるのはすばらしい選択だ」と述べ、グテーレス氏への期待を示しました。

グテーレス氏の任期は来年1月1日から5年間で、各国から強い期待が寄せられる中、緊張が続く中東情勢や難民問題、それに地球温暖化など、国際社会が直面する難問の解決に向けて指導力を発揮していけるのか、注目されます。

米大統領「国連トップにふさわしい」

国連の第9代の事務総長に、ポルトガル出身のアントニオ・グテーレス氏が任命されたことについて、アメリカのオバマ大統領は13日、声明を発表し、「グテーレス氏が選ばれたことを祝福する。アメリカ政府は全力でグテーレス氏を支援していく」と歓迎しました。そのうえで、「地球温暖化やイスラム過激派の問題など、いまほど国際社会が国連を頼りにしているときはないだろう。国連難民高等弁務官などを務めたグテーレス氏は、この重要な局面で、国連を率いるのにふさわしい人柄、洞察力、技能を備えている」と述べ、グテーレス氏の手腕に期待を示しました。
また、オバマ大統領は、ことしいっぱいで任期を終えるパン・ギムン事務総長に対し、地球温暖化や地域紛争、人権問題などの解決に向けてリーダーシップを発揮してきたとして、謝意を示しました。

フランス大統領「強い国連が必要」

安全保障理事会の常任理事国の1つ、フランスのオランド大統領は13日、声明を発表し、「テロや地球温暖化、人道危機などに直面する国際社会はいま、平和や安全保障、開発、それに人権保護に向けて、これまで以上に実効性のある、強い国連を必要としている」と述べました。そのうえで、「ポルトガルの首相や国連難民高等弁務官という職責を通じて、信念と行動力を発揮してきたグテーレス氏ならば、こうした困難を克服できると確信している」として、グテーレス氏の手腕に強い期待を示しました。