電通、抜き打ち調査に騒然 異例の支社まで… 新入社員過労自殺、長時間労働常態化の疑い

2016.10.15

立ち入り調査を終え、電通本社を後にする労働基準監督署の監督官ら=東京都港区(伴龍二撮影)
立ち入り調査を終え、電通本社を後にする労働基準監督署の監督官ら=東京都港区(伴龍二撮影)【拡大】

 大手広告代理店の電通(東京都港区)に勤務していた高橋まつりさん=当時(24)=が過労自殺したことを受け、東京労働局の過重労働撲滅特別対策班などは14日、残業時間など従業員の労働実態を調べるため、労働基準法に基づき、同社に立ち入り調査を行った。悪質な法令違反が見つかれば、刑事事件に発展する可能性もある。

 全社的に長時間労働が常態化している疑いもあるとして、名古屋、大阪、京都の各支社にも地元労働局が調査した。今回の調査は労基法に基づく「臨検監督」と呼ばれる抜き打ち調査で、支社まで含めるのは異例。

 遺族側弁護士によると、高橋さんは昨年4月に電通に入社。インターネットの広告部門を担当していたが、同年10月から証券会社の広告業務も担当し、12月25日に都内の女子寮から投身自殺した。今年9月、三田労働基準監督署(東京)が、過労死ラインとされる「80時間」を超える月約105時間の残業を認め、労災認定していた。

 電通は「立ち入り調査を受けたことは事実。全面的に調査に協力している」とするコメントを発表した。

 厚生労働省は昨年11月、過労死による労災請求があった企業など5031カ所に立ち入りを行い、半数近い2311カ所で違法な長時間労働を確認している。

 ■抜き打ちに騒然

 電通本社(東京都港区)には、14日午後1時過ぎに腕章をつけた東京労働局の監督官ら8人が抜き打ち調査に入った。ある男性社員は「調査が入るとは知らなかった。職場の雰囲気も特に変わった様子はない」と顔をこわばらせた。

 午後4時50分ごろ、調査を終えたとみられる監督官が玄関から出てくると、詰めかけた十数人の報道陣が殺到。同社前は一時騒然とした雰囲気になった。監督官の一人は「取材にはお答えすることができない」と述べ、同社を後にした。

【用語解説】過重労働撲滅特別対策班

 違法な長時間労働が疑われる事業所への監督指導に専従で当たるため、昨年4月に東京労働局と大阪労働局に設置された。複数の事業所が関係するケースや、労働時間の記録がなく、指導が困難なケースなどに対応する。これまでに大手の靴小売店や量販店などで違法な長時間労働があったとして書類送検している。

 

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