電通社員過労自殺 労働局 労務管理に問題ないか調査

電通社員過労自殺 労働局 労務管理に問題ないか調査
k10010730541_201610150455_201610150456.mp4
大手広告会社、電通の新入社員の女性が過労のため自殺した問題で、東京労働局は14日に電通に調査に入り、社員に違法な長時間労働をさせていないかなど労務管理に問題がないか調べを進めています。
電通に去年入社した高橋まつりさん(当時24)が、長時間労働による過労のため自殺した問題を受けて、東京労働局の過重労働撲滅特別対策班などは14日、東京・港区の電通の本社に抜き打ちの調査に入りました。

電通は、高橋さんのいた部署では労働組合との間で残業時間の上限を月70時間とする協定を結んでいたということですが、高橋さんはそれを上回る月105時間の残業を行っていたとして、労災が認められています。

東京労働局は、電通が社員に対して労使の協定を上回る違法な長時間労働をさせていないかなど、労務管理に問題がないか調べを進めています。

今回、厚生労働省は、電通の本社だけでなく、全国すべての支社を対象に調査を行うという異例の対応をとっていて、違反が見つかった場合、是正勧告をするほか、特に悪質なケースについては刑事事件として書類送検することを検討することになります。

弁護士「企業全体が本気で考え取り組むこと強く求める」

電通では、平成3年にも入社2年目の24歳の男性社員が過労のため自殺し、平成12年、最高裁の判決として初めて、過労自殺について会社の責任が認められました。
このとき男性の遺族の弁護士を務めた川人博弁護士は、今回、高橋まつりさんの件でも、労災を認定してもらうため支援を行いました。

電通で若い社員の過労自殺が繰り返されたことについて、川人弁護士は「最高裁の判決を受けて、電通は改善に向けて取り組んだはずだった。しかし、その後また長時間労働や過重労働がまん延するようになり、職場は元に戻ってしまったと思わざるをえない。調査の結果、法律違反があれば、厳しく企業を指摘し、法律に基づいた処置を講じてもらいたい」と話します。

そのうえで「おととし過労死防止法が制定されたにもかかわらず、このような痛ましい過労死が繰り返され、実に残念であり、悔しいという思いだ。企業の経営トップをはじめ企業全体が、今回の深刻な状況を本気になって考え、取り組むことを強く求めたい」と話していました。