韓国サムスン電子の新型スマートフォン「ギャラクシーノート7」が発売からわずか約2カ月で生産・販売停止になった影響で、稼ぎ頭のスマホ事業が赤字に転落する恐れが出てきた。韓国の国内総生産(GDP)の約2割に相当する売上高を誇るサムスンが失速すれば、韓国経済にも大打撃となる。
サムスンは今月7日に2016年7〜9月期の連結決算(暫定集計)で営業利益を前年同期比5・6%増の約7兆8000億ウォン(約7220億円)と公表したばかりだったが、12日になって一転、29・6%減の約5兆2000億ウォン(約4810億円)に大幅下方修正した。
ノート7の回収や別機種への交換にかかる費用がさらに拡大しており、7〜9月期決算の確報値で、スマホ事業は「なんとか営業赤字を免れる程度」(東亜日報)との見方のほか、韓国SK証券は営業赤字となる可能性も指摘している。
朝鮮日報は「(最終的に年間)5兆ウォン前後の売り上げを損失」などと報じた。ロイター通信はクレディ・スイスなどの試算として、最大1900万台(170億ドル=約1兆7600億円相当)の販売機会が失われるとしており、サムスンは「最大の危機を迎えた」との見方が強まっている。
韓国のガリバー企業であるサムスンの失態は韓国経済全体を揺るがしつつある。スマホなど移動通信機器が国の輸出総額に占める割合は、10月上旬に前年同期比で30%以上落ち込んだ。
「サムスンが揺らげば韓国経済が揺らぐ」(東亜日報)との指摘の通り、韓国政財界は今回の問題が韓国製品全般のイメージ失墜につながる恐れを深刻に受け止めている。