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スカーレット家の召使い 作者:海神 楓
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1話

 「......うぅっ、ここは......」

 少年は痛む頭を押え、果の見えないくらい広い高野の真ん中に立ち尽くしていた。

 「ここは何処なんだ...なんで何も無いところに...」

 ...考えても何も浮かばない、と言うよりこの状況に思考が追いつかない、なぜここに居るのかも...

 ...グルルルゥ...

 ...い、今、何か聞こえたような...?

 ...グルルルゥ...

 「だ、誰?...誰かいるんですか...?」

 ...バウッ!!

 ーーう、後ろ!!

 危険をいち早く察知した少年は力の限り全力で回避行動をとった。

 ーーあぶねっ!!

 鋭利な刃物のようなものが少年の背中から数ミリのところをかすめてった。

 少年はすぐに振り返り自分を切り裂こうとしてたものの姿を確認した。

 全身に毛が生え、鋭い牙を持ち、赤く光る目にかなり大きな爪、四速歩行で少年の三倍近くある身の丈、そして、その大きな爪を天高く振り上げる獣のような化け物の姿を...

 「に、逃げないと!!!」

 ーーザンッ!!ーー

 少年はなんとか服一枚ですんだが、振り下ろされた地面の方はバターに熱した刃物を通すくらい簡単に裂かれていた。

 ーー?!

 少年が事態を把握するのとほぼ同時に化け物の前足は振り上げられ...そして、振り下ろされる。

 くそっ!?かわせない!!

 ザシュッ!!っと、肉を裂く音が聞こえた。

 ...ん?痛くない...死んだ..のかな?けど、まだ土の感触があるし...?

 「...あなた、だいじょぶ?生きてるわよね...」

 声が聞こえる...?さっき誰かいただろうか…

 「あなた生きてるのよね?返事くらいしなさいよ」

 「あ、は、はい!生きてるとおもい、ます!」

 「く、ふふっ、何よその返事?すこし笑ってしまったじゃない...もうそろそろ目を見せてくれてもいいんじゃないかしら?」

 少年は恐る恐る、ゆっくりと目を開いた。...そこには、前足を振り上げる化物の代わりに倒れた化物の見るも無残な姿と、黒い羽を生やした美しい女性の姿があった。

 「私の名前はレミリア、レミリア・スカーレットよ♪...あなた、名前は?」

 レミリアと名乗った女性は、人懐っこそうな笑みを浮かべて、少年を見下ろしていた。
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