IS支配のモスル奪還作戦進む 激しい抵抗も
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イラク軍は、過激派組織IS=イスラミックステートが2年以上にわたって支配するイラク第2の都市モスルの奪還作戦を開始し、まずは市の周辺部を制圧する作戦を進めていますが、IS側も激しく抵抗しているもようです。
イラクのアバディ首相は日本時間の17日朝、国営テレビで演説し、「残虐なISからモスルを解放する作戦を始めた」と述べ、大規模な奪還作戦の開始を宣言しました。モスル周辺にはイラク軍のほか、クルド人部隊なども含めた2万人規模の部隊が展開し、まずはモスルの周辺にある村などを攻撃して、これまでに9つの村を包囲したということです。
またイラク軍によりますと、イラク軍とアメリカ軍などの有志連合がモスル市内に空爆を加え、ISの戦闘員およそ40人を殺害したほか、イラク軍のパラシュート部隊が降下して、モスルの南にある化学工場を制圧したということです。
イラク軍やクルド人部隊によりますと、IS側は、一部の地域で戦闘員が撤退する動きがみられる一方、自爆攻撃などで激しく抵抗しているということです。作戦に参加しているクルド部隊の兵士の間には死傷者が出ていて、臨時に設けられた野戦病院に運び込まれています。
ISはおととし6月、モスルを電撃的に制圧して、イラクでの最大の拠点としてきただけに、イラク軍がモスルを奪還できれば、ISへの大きな打撃となります。しかし、モスルやその周辺には今も百数十万人の市民がいて、戦力で劣るISは、市民を盾にして抵抗を続けるおそれがあります。このため、イラク軍や空爆の支援を行うアメリカ軍などは市民の犠牲を避けるため慎重に作戦をすすめるものとみられます。
またイラク軍によりますと、イラク軍とアメリカ軍などの有志連合がモスル市内に空爆を加え、ISの戦闘員およそ40人を殺害したほか、イラク軍のパラシュート部隊が降下して、モスルの南にある化学工場を制圧したということです。
イラク軍やクルド人部隊によりますと、IS側は、一部の地域で戦闘員が撤退する動きがみられる一方、自爆攻撃などで激しく抵抗しているということです。作戦に参加しているクルド部隊の兵士の間には死傷者が出ていて、臨時に設けられた野戦病院に運び込まれています。
ISはおととし6月、モスルを電撃的に制圧して、イラクでの最大の拠点としてきただけに、イラク軍がモスルを奪還できれば、ISへの大きな打撃となります。しかし、モスルやその周辺には今も百数十万人の市民がいて、戦力で劣るISは、市民を盾にして抵抗を続けるおそれがあります。このため、イラク軍や空爆の支援を行うアメリカ軍などは市民の犠牲を避けるため慎重に作戦をすすめるものとみられます。
モスルはイラク最大のIS拠点
イラク北部のモスルは、首都バグダッドに次ぐ第2の都市で、ISと同じスンニ派の住民が多い地域に位置しています。
国内各地やシリアなどにつながる交通の要衝となっているほか、周辺には油田が点在する経済面でも重要な都市で、ISはおととし6月に制圧して以来、モスルをイラク最大の拠点として勢力を拡大してきました。
ISは市民に対して厳しい統制を行い、市内に多くの検問所を設けて移動を制限したり、女性は顔を隠さなければ外出を禁じるなど、イスラム教の極端な解釈による統治を行ったりしてきたほか、内部の情報が外に漏れることをおそれて、携帯電話の使用を禁止するなどしてきました。
また、税金と称して住民から金を集めていたほか、市内の銀行を略奪するなどして、ばく大な資金を得てきました。
これに対してイラク軍は、ことし3月から有志連合の支援を受けながら、周辺で大規模な軍事作戦を行い、モスルの奪還を目指してきました。
国内各地やシリアなどにつながる交通の要衝となっているほか、周辺には油田が点在する経済面でも重要な都市で、ISはおととし6月に制圧して以来、モスルをイラク最大の拠点として勢力を拡大してきました。
ISは市民に対して厳しい統制を行い、市内に多くの検問所を設けて移動を制限したり、女性は顔を隠さなければ外出を禁じるなど、イスラム教の極端な解釈による統治を行ったりしてきたほか、内部の情報が外に漏れることをおそれて、携帯電話の使用を禁止するなどしてきました。
また、税金と称して住民から金を集めていたほか、市内の銀行を略奪するなどして、ばく大な資金を得てきました。
これに対してイラク軍は、ことし3月から有志連合の支援を受けながら、周辺で大規模な軍事作戦を行い、モスルの奪還を目指してきました。
米の支援のもと作戦実施
今回のモスル奪還作戦は、アメリカの強力な支援のもとで実施されました。
オバマ大統領はアメリカ国内でもISの影響を受けたテロが相次ぐ中、ISの壊滅を安全保障上の最重要課題と位置づけていて、先月、イラクのアバディ首相と会談して、早期のモスル奪還に向けた取り組みを進める方針を確認していました。
アメリカ軍は作戦の主体となるイラク軍の強化のため、今月までにイラク軍の部隊12旅団、数千から数万人の兵士の訓練をほぼ終えたとしています。
また、後方支援の強化のため、先月、イラクに展開するアメリカ軍の兵士を600人余り増員し5200人の規模にするなど、準備を進めてきました。
アメリカ国防総省は、モスルの奪還作戦は数多くの一般市民が住む都市部での戦闘になるため、相当の時間がかかる可能性があるとしています。
一方でオバマ政権は、対ISの軍事作戦で大規模な地上作戦の前面にアメリカ軍が立つことはないとしており、引き続き、空爆による支援や地上作戦の後方支援を中心に関与を強め、モスル奪還を目指すものと見られます。
オバマ大統領はアメリカ国内でもISの影響を受けたテロが相次ぐ中、ISの壊滅を安全保障上の最重要課題と位置づけていて、先月、イラクのアバディ首相と会談して、早期のモスル奪還に向けた取り組みを進める方針を確認していました。
アメリカ軍は作戦の主体となるイラク軍の強化のため、今月までにイラク軍の部隊12旅団、数千から数万人の兵士の訓練をほぼ終えたとしています。
また、後方支援の強化のため、先月、イラクに展開するアメリカ軍の兵士を600人余り増員し5200人の規模にするなど、準備を進めてきました。
アメリカ国防総省は、モスルの奪還作戦は数多くの一般市民が住む都市部での戦闘になるため、相当の時間がかかる可能性があるとしています。
一方でオバマ政権は、対ISの軍事作戦で大規模な地上作戦の前面にアメリカ軍が立つことはないとしており、引き続き、空爆による支援や地上作戦の後方支援を中心に関与を強め、モスル奪還を目指すものと見られます。
クルド人部隊も作戦参加
モスルの奪還作戦に参加しているクルド人部隊は16日、声明を発表し、クルド人部隊はモスルの東部と南部で、イラク軍と協力しながらISの掃討に向けた作戦に参加しているとしています。
このうち、東部ではモスルから50キロ余り離れた地点から、およそ4000人の兵士がISが支配する村に向けて部隊を進め、有志連合の空爆による支援を受けながら作戦を展開しているということです。
このうち、東部ではモスルから50キロ余り離れた地点から、およそ4000人の兵士がISが支配する村に向けて部隊を進め、有志連合の空爆による支援を受けながら作戦を展開しているということです。
作戦は長期化も
今回の作戦は長期化することも予想されていますが、その背景には、市民を巻き込んで抵抗しようというISの戦略があります。
ISは市街地の建物や自動車など、至る所に簡易爆弾をしかけたうえ、市民を「人間の盾」として利用したり、市民に紛れて攻撃を行ってくることが予想され、モスル奪還に向けては慎重に作戦を進めることを余儀なくされます。
また、軍事面で劣勢に立たされて以来、ISは首都バグダッドを中心に、市場や結婚式場など、多くの市民が集まり、警備が比較的手薄な「ソフトターゲット」を狙った自爆テロを繰り返していることから、今回の作戦を受けて、こうした反撃に出る可能性があります。
さらにISは、空爆作戦などに参加している国々に対して、テロを行うよう呼びかけ、これに応じた支持者たちが、これまでフランスやベルギー、それにバングラデシュなど、世界各地でテロを実行していて、今後、こうしたテロの脅威が一層広がることも懸念されています。
ISは市街地の建物や自動車など、至る所に簡易爆弾をしかけたうえ、市民を「人間の盾」として利用したり、市民に紛れて攻撃を行ってくることが予想され、モスル奪還に向けては慎重に作戦を進めることを余儀なくされます。
また、軍事面で劣勢に立たされて以来、ISは首都バグダッドを中心に、市場や結婚式場など、多くの市民が集まり、警備が比較的手薄な「ソフトターゲット」を狙った自爆テロを繰り返していることから、今回の作戦を受けて、こうした反撃に出る可能性があります。
さらにISは、空爆作戦などに参加している国々に対して、テロを行うよう呼びかけ、これに応じた支持者たちが、これまでフランスやベルギー、それにバングラデシュなど、世界各地でテロを実行していて、今後、こうしたテロの脅威が一層広がることも懸念されています。
ISの支配地域は減少
シリアとイラクにまたがる地域を支配する過激派組織IS=イスラミックステートは、イラク軍やアメリカ主導の有志連合などの攻撃を受け支配地域を減らしています。
ISはおととし6月、イラク第2の都市モスルを制圧したあと、イラクや隣国シリアで続く内戦の混乱の隙を突いて支配地域を広げ、イラクとシリアにまたがる「イスラム国家」の樹立を一方的に宣言しました。
これに対し、イラクの政府軍やクルド人の部隊、それにシリアでも、アサド政権や反政府勢力などの地上部隊が各地で戦闘を続けてきました。
おととし8月には、アメリカ主導で、ヨーロッパや中東の国々が参加する有志連合がイラクで空爆に乗り出し、翌9月にはシリアでも空爆作戦を始めたほか、ロシアも去年9月にシリアでISへの空爆を始めました。
こうした空爆の支援を受け、イラク軍は去年12月に西部アンバール県の拠点都市ラマディを、ことし6月にはファルージャをISから奪還しました。
また、シリアでは、ことし3月にロシアの支援を受けたシリア軍が世界遺産の遺跡がある中部のパルミラを取り戻したほか、反政府勢力が北部のIS支配地域を相次いで制圧しています。
アメリカの民間の調査機関「IHS紛争モニター」によりますと、ISの支配地域は、今月初めの時点で去年の初頭に比べ28%減少したとしています。
また、トルコからシリアに入る密入国のルートを失ったことで、ISは外国から新たな戦闘員を補充することが難しくなっていると分析しています。
ISはおととし6月、イラク第2の都市モスルを制圧したあと、イラクや隣国シリアで続く内戦の混乱の隙を突いて支配地域を広げ、イラクとシリアにまたがる「イスラム国家」の樹立を一方的に宣言しました。
これに対し、イラクの政府軍やクルド人の部隊、それにシリアでも、アサド政権や反政府勢力などの地上部隊が各地で戦闘を続けてきました。
おととし8月には、アメリカ主導で、ヨーロッパや中東の国々が参加する有志連合がイラクで空爆に乗り出し、翌9月にはシリアでも空爆作戦を始めたほか、ロシアも去年9月にシリアでISへの空爆を始めました。
こうした空爆の支援を受け、イラク軍は去年12月に西部アンバール県の拠点都市ラマディを、ことし6月にはファルージャをISから奪還しました。
また、シリアでは、ことし3月にロシアの支援を受けたシリア軍が世界遺産の遺跡がある中部のパルミラを取り戻したほか、反政府勢力が北部のIS支配地域を相次いで制圧しています。
アメリカの民間の調査機関「IHS紛争モニター」によりますと、ISの支配地域は、今月初めの時点で去年の初頭に比べ28%減少したとしています。
また、トルコからシリアに入る密入国のルートを失ったことで、ISは外国から新たな戦闘員を補充することが難しくなっていると分析しています。
国連「市民150万人が標的のおそれ」
イラクのアバディ首相が、モスルの奪還作戦の開始を発表したことを受けて、国連のOCHA=人道問題調整事務所は16日、「最大で150万人に上る市民が、集中攻撃や狙撃の標的となる可能性は極めて高く、身の安全を懸念している」とする声明を発表しました。
そのうえで「子どもや女性、それにお年寄りなどは、人間の盾として利用されるおそれが強い」として、すべての当事者に対し、人道に関する国際法を順守するよう呼びかけました。
また、状況によっては100万人規模の市民が避難を余儀なくされるおそれがあるとして、関係機関が新たに25万人分の避難施設の建設を急いでいることを明らかにしました。
そのうえで「子どもや女性、それにお年寄りなどは、人間の盾として利用されるおそれが強い」として、すべての当事者に対し、人道に関する国際法を順守するよう呼びかけました。
また、状況によっては100万人規模の市民が避難を余儀なくされるおそれがあるとして、関係機関が新たに25万人分の避難施設の建設を急いでいることを明らかにしました。
マレーシア IS戦闘員の流入に警戒
イラクのモスルで奪還作戦が開始されたことを受けて、マレーシアのヒシャムディン国防相は17日の記者会見で、「ISの戦闘員らは今後、母国に戻るか、あるいは新たな活動地域を見つけ出し、移動するだろう」と述べ、ASEAN各国としても域内に戦闘員が流入することに備えて警戒していく考えを示しました。
東南アジアの国では、インドネシアから500人以上、マレーシアから200人以上がISなどの戦闘員として戦うため、中東に渡ったとされていて、戦闘員が帰国後に新たなテロを起こすことに警戒が強まっています。
東南アジアの国では、インドネシアから500人以上、マレーシアから200人以上がISなどの戦闘員として戦うため、中東に渡ったとされていて、戦闘員が帰国後に新たなテロを起こすことに警戒が強まっています。