6年前に生前退位の意向 元参与がやり取り明かす

6年前に生前退位の意向 元参与がやり取り明かす
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皇室の重要事項についての相談役である「参与」を去年まで9年にわたって務めた、東京大学名誉教授の三谷太一郎氏がNHKのインタビューに応じ、天皇陛下が6年前の「参与会議」と呼ばれる会合の席で「生前退位」の意向を示された際のやり取りなどを明らかにしました。
三谷氏によりますと、6年前の平成22年7月、両陛下のお住まいの御所に、当時の宮内庁長官や侍従長、それに三谷氏ら3人の参与などが集まって開かれた「参与会議」の席で、天皇陛下が突然、「生前退位」の意向を明らかにされたということです。

76歳だった天皇陛下は、冒頭から真剣な表情で話を切り出し、「高齢になって天皇が十分に務めを果たせなくなった場合には、それに対する新しい制度が必要だ」と述べながら、はっきりとした口調で、80歳を迎えるころを目安に、天皇の位を退く考えを示されたといいます。

これについて三谷氏は「天皇陛下は『譲位』という言葉を使われた。中世とか近世の『上皇』を持ち出して、『天皇制の長い歴史において、異例のこととは思われない』とも述べられた。そうした意向を初めて直接伺って、大変驚がくしたというのが率直な印象でした」と振り返りました。

天皇陛下の強い意思の表明に、会議の場は緊張に包まれ、この日の議論は夜遅くまで続いたということです。
三谷氏は「天皇の位のまま、お務めは皇太子さまに委ねてはどうかというのが出席者の意見だったが、天皇陛下は『象徴であることと象徴の務めを果たすことは不可分だ』として譲られなかった」としたうえで、「いったん会議が終わりかけたあとも、すべての参加者が立ったまま議論を続けた」と会議の様子を語りました。

その後、「参与会議」は以前より頻繁に開かれるようになり、天皇陛下の「生前退位」が主な議題になりましたが、天皇陛下が考えを変えられることは無かったということです。
そして、天皇陛下が80歳を迎えるころになると、「平成30年までは頑張りたい」と口にされるようになったということで、三谷氏は「そこまでは象徴天皇像というものをより確かなものにしていくというお気持ちではなかったかと思います」と話しています。

参与とは

「参与」は天皇陛下の意向を受けて、外部から皇室の重要事項についてアドバイスをする「相談役」です。

宮内庁長官や侍従長の経験者のほか、元高級官僚や学識経験者などから選ばれます。常時、数人が名を連ね、宮内庁長官や侍従長などとともに両陛下のお住まいの御所で、1、2か月に1回程度開かれる「参与会議」と呼ばれる会合に出席しています。

両陛下と1つのテーブルを囲んで夕食をともにしたあと、天皇陛下からその日の議題が示され、時には数時間にわたって自由かったつな議論を交わすということです。