砂川市付近の「日本一長い直線道路」。手前の交差点で家族5人が死傷する事故が起きた=北海道砂川市で2015年6月29日、本社機「希望」から手塚耕一郎撮影
北海道砂川市で昨年6月、一家5人のうち4人が死亡、1人が重傷を負った交通事故で、自動車運転処罰法の危険運転致死傷罪や道路交通法違反などに問われた谷越隆司被告(28)と古味(こみ)竜一被告(27)の裁判員裁判初公判が17日、札幌地裁(田尻克已裁判長)であった。両被告は危険運転の起訴内容を否認した。
起訴状によると、両被告は2015年6月6日夜、それぞれが運転する車で速度を競い、100キロ超の速さで赤信号の交差点に進入。酒気帯び状態の谷越被告が運転する車が、歌志内市の会社員、永桶(ながおけ)弘一さん(当時44歳)ら5人が乗る軽ワゴン車に衝突し、永桶さんら4人が死傷。さらに、車外に投げ出された長男昇太さん(同16歳)を、谷越被告の車の直後を走っていた古味被告運転の車が約1・5キロ引きずって死亡させたなどとしている。
この日の公判で谷越被告は、自動車運転処罰法の過失致死傷罪に当たると主張し、同法の危険運転致死傷罪を否認。古味被告も同罪を否認した。
検察側は両被告に「赤信号をことさらに無視してでもスピードを出して競い合う」という暗黙の意思疎通があったと判断し、全国でも珍しい「危険運転致死傷罪の共謀」を適用した。両被告は「共謀していない」などと否認した。
公判前整理手続きで両被告の弁護側は、意図的な赤信号無視はしておらず共謀もしていない、と主張していた。【安達恒太郎】