【日本ハム】大谷史上初のDHから抑え!「あると思っていた」165キロ連発、魂の15球!
◆日本通運 クライマックスシリーズ パ最終S第5戦 日本ハム7―4ソフトバンク(16日・札幌ドーム)
大谷が異次元の剛球で試合を締めた。日本ハムは、クライマックスシリーズ(CS)最終ステージ(S)第5戦で、ソフトバンクに逆転勝ち。対戦成績を4勝2敗(アドバンテージ1勝含む)とし、4年ぶり7度目の日本シリーズ進出を決めた。「3番DH」で先発していた大谷は9回に登板し、自身の持つプロ野球最速を更新する165キロを連発、プロ初セーブを挙げた。MVPには中田が選ばれた。チームは22日開幕の日本シリーズで広島と対戦し、10年ぶり3度目の日本一を目指す。
信じられないようなフィナーレだった。大谷は万雷の拍手の中、何度も右手にガッツポーズを作った。超満員の札幌Dはスタンディングオベーション。4年ぶりの日本シリーズへの道を“胴上げ投手”として切り開いた。
「とりあえず勝ってホッとしています。すごくうれしいし、チームも逆転して勝った。日本シリーズへいい形で入れる」
3点リードの9回、「指名打者の大谷が、投手に入ります」と場内アナウンスが流れると、地鳴りのような大歓声に包まれた。チームメートがベンチ前で“花道”を作る中、さっそうとグラウンドに現れた。
「投げ心地がものすごく良かったわけではないけど、すごい声援で送り出してくれた」
球史に残る15球となった。自身の持つ日本最速を1キロ更新する165キロは、1死からの吉村への初球だった。うなりを上げるボール。空振りを奪った。直球全8球のうち最も遅い球が163キロ。花巻東高時代から目標に掲げていた165キロを3度計時した。フォークが151キロ、切れ味十分のスライダーが145キロという“超人”ぶり。全てが異次元だった。
「すごい雰囲気でマウンドに上げてもらって、いいパフォーマンスを出せた。ただ、投球のクオリティーは低い。もっと良くなる球が多い。自分ですごく成長したとは思わないです」
抑えとして日本シリーズへ導く―。その構想は栗山監督から14日に「なんとなく」告げられていたという。当初は先発メンドーサが予定されていた第6戦限定プランだったが、この日、マーティンが9月上旬の左足捻挫の影響でベンチから外れ、先発の加藤が初回4失点。谷元、宮西と勝ちパターンを次々につぎ込む展開だったため、守護神プランが発動した。
3点リードしていた5回あたりだった。ロッカールームで厚沢ベンチコーチから9回に起用する旨を告げられた。
「本来はマーティンが守護神。今日はいなかったので。『おそらくある』と思ってました。言われた時も『いきます』の一言だけ。ビックリしたことはなかった。今日勝てば良かったので。DHで出ていたので体が軽い状態ではなかった。逆にそれが良かった」
ブルペンでキャッチボールして徐々に肩を温め、7回先頭で左飛に倒れた後、本格的に投球練習した。7回102球、1安打無失点だった第1戦から、中3日での登板は初めて。野手先発からのDH解除は13年8月18日のソフトバンク戦以来だった。
どんな手を使ってでも勝つ―。栗山監督は試合中、大谷の情熱を感じ取っていた。「『僕、いきますよ』と、こっちを見ていた。あんなの初めて。ここだけは無理をさせようと思っていたが、本人も投げたがっていた。それを止めるのは最悪。この試合はいくべきだと。野球少年の心を止めてはいけなかった。こんな使い方はもうしない。来年も」。ホークスの息の根を止める15球に「球場を支配してくれた。(大谷なら)167、168キロは出る。スピードになびかず、自分の心をコントロールしてくれた」と賛辞を惜しまなかった。
憧れの投手から刺激を受けていた。ドジャースのエース左腕カーショーが13日(日本時間14日)のナ・リーグ地区シリーズ・ナショナルズ戦で中1日で救援した。9回1死一、二塁を抑える熱投。その試合をロッカールームで同僚とテレビ観戦した。
「翔平も中1日でいけたらな…」。チーム関係者がつぶやいたというが、その言葉に反応したのが22歳だった。「全然いけますよ。僕は(登板から)中0日で野手で出てますし」。「8番・投手」で出場した第1戦後、野手スタメンが続いたが、そんな中でも試合後の筋力トレは継続。爆発的なフル稼働につなげた。
22日から、広島との自身初の日本シリーズに臨む。当然、初戦での先発が有力視される。
「すごい楽しみにしてます。日本シリーズで投げるのもワクワクしている。自分がしっかりした状態で、いいパフォーマンスを出せるようにしたい」
二刀流の集大成と位置づけた16年。漫画のような大谷のドラマはまだまだ続く。(小谷 真弥)