昭恵夫人の発言で話題となった「鳥取大麻」 実はすごい可能性を秘めていた!?
鳥取県南東部の智頭町で行われている大麻草(麻)の栽培が注目されている。2015年7月に現地を訪れた安倍晋三首相の妻、昭恵さんが自身のフェイスブックなどで紹介。「すべての部分を有効に使え、医療用としても活用できる」と“大麻を高く評価”したことで、大きな話題となった。大麻草というと「ダメ。ゼッタイ。」のイメージがあるが、いったいどのようなものだろうか。
智頭町は人口約7500人、面積の9割以上を山林が占める山あいの町だ。高齢化率は37%超の過疎地域だが、自然を学び舎とする「森のようちえん」や森林セラピー、災害時の避難場所を提供する「疎開保険」といった独自の取り組みが受け、都市部などからの移住者が増えている。
全国で約30人、中四国でたった1人という産業用大麻の栽培者である上野俊彦さん(36)も移住者のひとりだ。群馬で自給自足の生活を送るグループに参加していたが、東日本大震災後の11年10月、森のようちえんにひかれて移り住んだ。13年5月に大麻栽培者免許を取得し、現在、面積1.2ヘクタールの畑で、麻薬成分のない産業用大麻を栽培している。
今でこそ悪いイメージが付きまとう大麻だが、戦前の日本では当たり前に栽培され、神社の祭礼の道具や衣服、魚網、和紙、郷土料理、漢方薬などに重宝されてきた。しかし戦後、大麻取締法の規制により、都道府県知事の許可がないと栽培できなくなったのだ。
昭恵夫人と同様、上野さんが注目しているのもその汎用性だ。1990年代以降、イスラエルやアメリカ、イギリスなどで大麻の調査や研究が盛んになり、現在、その用途は食物や衣料、医療用、燃料など5000から2万5000通り、一説によると5万通りもあるといわれている。麻の実は漢方にも使われているが、中国には、実を常食し、100歳以上で寝たきりの人がゼロだという地域もある。
そして大麻は、古くから日本の神道と密接にかかわっている。“ケガレ”をはらうのに必要なものとして、おはらいの道具などにも使われてきた。上野さんによると、麻畑に入ると「びりびりした感じ」がするといい、程度の差はあれ、訪れた人は同じような感想を抱くそうだ。
「神主さんから大麻でないと祭事をとり行えない、という話も聞く。いろいろなものに使える大麻の栽培は、産業の空洞化を防ぐだけでなく、日本古来の文化を守るという点においても意味がある」(上野さん)
智頭町での取り組みが話題となったことから、行政の視察も増えているという。上野さんが以前所属していた群馬のグループも栽培免許を持ち、大麻を栽培していた。しかし、上野さんは免許取得の難しさを知っていたため、移住当初は大麻を栽培する気はなかったという。
だが、大昔に智頭町で大麻を栽培していたおじいさんと出会い、話の流れで60年以上前に作られた麻のひもと100年前の麻袋を受け取った。その時に体に電流が走るような衝撃が起こり、「これは自分に(麻の栽培を)やれ、ということか?」と感じ、免許取得への挑戦が始まった。
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