ライチョウ天敵捕獲検討 南ア北岳 国が来年度試行
大町市で2日間開かれた「ライチョウサミット」は最終日の16日、専門家による会議が行われた。東邦大理学部(千葉県)研究員の小林篤さん(29)が、南アルプス北岳(山梨県、3193メートル)近くで、ケージ(かご)で保護したライチョウのひな15羽を今夏に放したが、追跡調査で10月上旬には2羽に減った―と報告した。テンやキツネに捕食された可能性が高く、環境省は、来年度にテンなどを試験的に捕獲する検討を始めた。
北岳一帯は、1981(昭和56)年に63あったライチョウの縄張りが、2014年には8に減少。国内の生息地で最も絶滅が危ぶまれている。環境省などは15年度、悪天に弱く外敵に捕食されやすいふ化後の約1カ月間、ケージでひなを保護し、生存率を高める事業を始めた。
2年目の本年度は、6月27日にケージ保護を始め、7月20日にひな15羽を放した。約1カ月後の8月18日には3羽まで減ったことを確認。9月9日には3羽を維持したが、10月5日は2羽になっていた。
放鳥前日の夜中には、テンがケージを襲う様子がセンサーカメラで撮影された。小林さんは、一帯で頻繁に姿や痕跡が確認されるテンやキツネ、鳥類のチョウゲンボウが「捕食している可能性が高い」と指摘。15年度に放鳥したひな10羽も昨年9月以降に行方が分からなくなっており、「ケージ保護は捕食者の捕獲対策と並行して実施する必要がある」と訴えた。
捕食者の高山帯への侵入が進み、ケージ保護策が効果を上げられない状況になっている恐れがある。環境省は、来年1月に開く予定の同省の「ライチョウ保護増殖検討会」で関係者の理解が得られれば、来年度にわなを仕掛け、テンやキツネの試験捕獲を実施する方向で検討を始めた。
南アを担当する同省関東地方環境事務所(さいたま市)野生生物課の黒沢純課長補佐は「捕食の可能性が高く、食い止める方向で検討したい」としている。
(10月17日)
北岳一帯は、1981(昭和56)年に63あったライチョウの縄張りが、2014年には8に減少。国内の生息地で最も絶滅が危ぶまれている。環境省などは15年度、悪天に弱く外敵に捕食されやすいふ化後の約1カ月間、ケージでひなを保護し、生存率を高める事業を始めた。
2年目の本年度は、6月27日にケージ保護を始め、7月20日にひな15羽を放した。約1カ月後の8月18日には3羽まで減ったことを確認。9月9日には3羽を維持したが、10月5日は2羽になっていた。
放鳥前日の夜中には、テンがケージを襲う様子がセンサーカメラで撮影された。小林さんは、一帯で頻繁に姿や痕跡が確認されるテンやキツネ、鳥類のチョウゲンボウが「捕食している可能性が高い」と指摘。15年度に放鳥したひな10羽も昨年9月以降に行方が分からなくなっており、「ケージ保護は捕食者の捕獲対策と並行して実施する必要がある」と訴えた。
捕食者の高山帯への侵入が進み、ケージ保護策が効果を上げられない状況になっている恐れがある。環境省は、来年1月に開く予定の同省の「ライチョウ保護増殖検討会」で関係者の理解が得られれば、来年度にわなを仕掛け、テンやキツネの試験捕獲を実施する方向で検討を始めた。
南アを担当する同省関東地方環境事務所(さいたま市)野生生物課の黒沢純課長補佐は「捕食の可能性が高く、食い止める方向で検討したい」としている。
(10月17日)
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