はじめに
聴力と自閉症の関係について調べていたら、耳の仕組みがかなり素晴らしかったので、今日は耳の仕組みについて書いてみたいと思います。
ざっくり語っても、繊細な耳の仕組み
耳鼻科に行って、耳の断面図のようなものを見てもスルーしていたのですが、ちょっと調べてみたところ、すごくワクワクしてきました。
耳 - Wikipediaより出典後、一部改変。
うるさい音は耳を塞ぐしかない。世界最強レベルの耳栓
ステップ1 空気を媒介して音は鼓膜に届く
音は、まず「耳(耳介)」で集音し、3の「外耳道」を通って、4の「鼓膜」を振動させます。
ステップ2 鼓膜から先は、テコの原理で振動を3倍に増幅
その後、鼓膜につながっている5,6,7の3つの小骨が振動を増幅させ、10の「蝸牛(かぎゅう)」という器官に伝えます。
ステップ3 音の振動は「空気」から「液体(リンパ)」に移動
内耳の「蝸牛(かぎゅう)」のパイプにはリンパ(液体)が入っています。それで、音の振動は空気ではなく、今度はリンパ液を伝わって振動します。
ステップ4 蝸牛(かぎゅう)内では、周波数ごとに音をキャッチする
ちなみに、10番の「蝸牛(かぎゅう)」は、ホルン状になっていて、蝸牛の入口付近では高音をキャッチ、奥に行くに従って低音をキャッチします。
出典:hearing | sense | Britannica.com
ステップ5 水の揺れを、「毛」、つまり「有毛細胞」が捉え、神経信号に変換。信号が脳に到達し、「音」と認識される。
10番の蝸牛の中はさらに神秘的です。
具体的にキャッチするのは「有毛細胞」。下図にあるように「有毛細胞」は約1万5000個あると言われ、蝸牛のパイプの中で綺麗に並んでいるのですが、周波数エリアごとにある有毛細胞の「毛」の部分が揺れると、興奮し、神経伝達物質を放出します。それが、脳内(聴覚中枢)に送られて、音と認識するわけです。
まさに神がかっている耳の仕組みですが、神秘に触れたい方にオススメの動画(英語ですが、動画だけで十分楽しめます)
これ、一瞬で処理していることを考えると、本当に驚くべきことですよね。
耳が音を拾うと、耳は別の音で返している
というわけで、音が有毛細胞に届くとき、有毛細胞が揺れることがわかりました。
そして、もっと興味深いのは、音を有毛細胞が拾った時、有毛細胞自体から音が出ていること。つまり、耳が音を拾うと、耳は音を返しているというわけです。
この特性を利用すると、1,000ヘルツの音を耳に送ると、それ用の音が返ってきます。2,000ヘルツの音を耳に送っても、2,000ヘルツに対して反応した別の音が返ってきます。つまり耳はそれぞれの周波数に対して、個別に音を返しているのです。
「耳が出す音を測定」する。つまり、有毛細胞の働きを測定する
音に対する「主観的な感じ方」とは関係なく、「有毛細胞から出る音」を「客観的に測定」する聴力検査を「耳音響放射(OAE)検査」と言います。耳が返す音が正確か、音量は適切かを測定するのです。そうすることで、周波数ごとにある有毛細胞の健康度も分かるというわけです。
この動画も英語なのですが、動画だけでこの検査のしくみが十分理解できますので興味のある方はご覧になってみてください。
Neuro-Audio-Screen: Hearing Screening Techniques
おわりに
今日は「耳」の世界をちょっとのぞいてみました。しかし、「脳に問題があると考えられている」発達障害のブログで「耳」について考えたのはなぜでしょうか。「耳音響放射(OAE)検査」で、発達障害について何か新しい発見はあるのでしょうか。そのことについては、次の記事で取り上げたいと思います。