べっぴんさん 一週間 第2週「しあわせの形」 2016.10.16


・「『雨上がりの空に七色の虹が架かる』」・「ってそんなに単純じゃない」・「この夢想家でもそれくらい理解ってる」
(ゆり)私ずっとアメリカに行きたくて英語の勉強頑張ってたんです。
でもこのご時世でしょ。
坂東営業部で働きたいてお父様に言うたんです。
(潔)ほう。
そやのにあかんて。
こんな時代なんやから家にいてくれ。
幸せな結婚してほしいて。
でも私はこんな世の中だからこそやりたい事やるべきやと思うんです。
すごいなゆりさんは。
ほんまですか!?向上心がある。
すてきや思うわ。
縁談?
(五十八)華族の家柄でなぁ次男さんやねんて。
そやから婿に入ってくれるて。
この人やねんけどな。
会うた事もない相手とそんな結婚して幸せになれるとは思いません。
ゆり…。
私は自分のやりたい事やる人生を諦めてません!
(ゆり)失礼します。
ゆり?野上社長これをご覧下さい。
(正蔵)何ですか?これ。
経済学の論文を英語で書きました。
私の能力を見て下さい。
英語なんか読めませんし分かりまへんわ。
それやったら英語のできる人呼んでこれを読んでもらって下さい。
(五十八)ええからお前もう帰れ。
約束もせんといきなり入ってきて…。
お前にはそういう常識もないんか?
すみれは幼い頃からなじみの靴職人麻田の店をよく訪ねていました
(君枝)おいしい!そやろ?
(良子)甘くてちょっと刺激があってまるで恋の味やわ。
恋の味?オートバイの君が頭に浮かぶわぁ。
何で恋したいうのが分かるの?相手の顔がまっすぐ見られなくなるの。
おうこじょうちゃん。
ほんまに相手の顔がまっすぐ見られなくなるんやね。
(はな)
そうこれが恋というものです
急に麻田さんと話しとうなってな。
フッ。
来たのか?
(潔)来てもうた。
おめでとう。
こじょうちゃんはこれからどないするんや?これから?そや。
女学校かて今度卒業やろ。
うん…。
これからは夢みるどころか生きてくだけでも大変な日々になるかもしれへんしな。
聞いたで。
はい赤紙もろうてしもて。
(ゆり)失礼します。
会社の大事な話してんねや。
2人とも向こう行ってなさい。
私も入れて下さい。
会社の事はお前が考える事やない。
お前にはもっと大事な事があるやろ。
私の人生は私のものです。
自分の愛する人と結婚したいと思うてます。
愛する人?ええ。
誰や?そいつは。
潔さんです。
(正蔵)潔お前…。
(五十八)許さん…許さんぞ!
(正蔵)堪忍して下さい!潔さんとは何にもありません!全くの片思いで潔さんをお慕い申し上げてるんです。
私の正直な気持ちを潔さんに受け止めてほしいんです!
(五十八)何をふざけた事を…!ふざけてないです!潔君連れて帰ってくれ。
はい!潔…。
お送りします。
ゆり!お前はうちから一歩も出るな。
お父様はいつまで私を子どもやと思うてるんやろ?これ潔さんに届けてほしいのやけど。
うん。
(ゆり)「先日は驚かせてしまって本当にすみませんでした。
私は潔さんに自分と同じにおいを感じています。
一生を共に過ごすならあなただと私の本能が告げていたんだと思います。
同じ志を持つ相手だと」。
(潔)こじょうちゃん。
わしはゆりさんに惚れた。
せやけどゆりお嬢様とはないな。
結婚はない。
ゆりさんに諦めてくれって言うてくれ。
何でやろ…。
潔君養子やからな。
野上夫婦は親戚に頼み込んで赤ん坊やった潔君を養子にしたんや。
実の子のようにいやそれ以上に跡取りとして大事に育ててきたんや。
そんな潔君を何で婿に出さなあかんのや。
しかし数日後
(正蔵)ゆりお嬢様と潔を結婚させて頂きたくお願いに上がりました。
坂東家あっての我々いう事を忘れたらあかん思うてます。
潔に我が子になってもらった事はとてつもない幸せや思うてます。
これからも親子である事は変わりません。
そやったら結婚して坂東の家にと。
潔君はどう思てんねや。
ゆりさんに惚れてます。
こないな人と一緒におったら幸せや思います。
ゆり。
はい。
お前が嫁に行け。
お父様…。
潔君。
どないな事があっても必ず生きてゆりのもとに帰ってこい!娘を…よろしく頼む。
はい!
こうしてすみれの初恋は終わりました
(トク子)おお…。
おわ〜っ!
近江に住む五十八さんのお母さんです
おばあ様お待ちしておりました。
すみれよう大きゅうなったなぁ。
(五十八)お兄ちゃんもよう来てくれたな。
うまい事やりよったなぁ。
立派なもんや。
やっぱり才能やったんやな。
八方美人も。
この2人にはすみれの知らぬ昔からの因縁があったのです
(五郎)やあ坂東さん。
ハッハッハッハ。
田中先生。
お忙しいのにわざわざどうもありがとうございます。
(五郎富美)おめでとうございます。
幼なじみの紀夫君です。
初恋の人すみれに会えると緊張しながらやって来ましたが…
こんにちは。
こじょうちゃんこれからは義妹やな。
おめでとう。
(ゆり)ありがとう。
失恋ですか?えっ?潔君の事を思ってたんやないですか?お姉さんの結婚相手やのに…。
何やの?僕には分かります。
意味分からん…。
う〜んけど五十八はよう長女を嫁にやる気になったなぁ。
すみれのお父さんはな次男坊やっただけに理不尽な思いしてな一人でここまで頑張ってきたんや。
兄ちゃん祝いの酒です。
飲んで下さい。
何や疲れたわ。
休ましてもらうで。
(トク子)すみれのおじいちゃんはな近江で布の売り買いをなりわいとしてたんや。
五十八はほんの少しのお得意先を分けてもろて小さく店を開いたんや。
商売に向いてたんかなあ?あっという間に兄を抜いてしもたんやけど…。
(長太郎)お前の持ってる得意先を本家に譲ってもらお思うとるんや。
わしが自分の力で広げてきたのに!
(トク子)傾いてる本家を助けるために得意先を泣く泣く譲ったんや。
そんな事があってうちを飛び出しよった。
あんたのお母さんも体も弱いのに身を粉にして働いて…。
はなさんが近江から送ってくれた品を五十八が大阪で売る。
そんな2人の頑張りがこの家の始まりやった。
そうやったの…。
夫婦二人で築いたものを引き継いでもらいたいという気持ちは人一倍強かったと思うで。
潔君はすぐに出征しました。
ゆりは正蔵さんのもと気丈に働いていました。
そして半年が過ぎ…
昔からうちの婿にどうやて言われてる話や。
男ばっかり3人兄弟の三男やからな。
私…その人と結婚します。
ええんか?お父様とお母様が築いてきたこの家を絶やしたくないんです。
おばあ様に聞きました。
お父様とお母様のためだけやなく自分のためにもこの家を継ぎたい思うてます。
おおきに。
彼なんや。
その相手は紀夫君でした
女学校を卒業したすみれは紀夫君と結納を交わしました
(麻田)思いを表に出すのが下手なだけの人もおります。
すみれお嬢様かてよう出さんかったけど心ん中では強いもん持ってましたやろ?大丈夫。
奥様が見守って下さってます。
すみれお嬢様のために嫁入り支度の靴作るんは奥様との約束でした。
精魂込めて作らせてもらいます。
ありがとう。
(喜代)奥様の形見です。
お似合いになると思います。
回想すみれこのお母さんのドレスすみれも着てな。
すみれのウエディング姿が楽しみやわ。
(喜代)お支度できました。
(紀夫)き…きれいです。
坂東家に婿入りした紀夫君は会社を継ぐために坂東営業部で働く事になりました
それから数か月後
あの…。
はい。
赤ちゃんができました。
あああ〜!どうしたの?喜んでいるのです!
しかしすみれが妊娠7か月を迎えた昭和19年の春
坂東紀夫さんはおられますか?
(紀夫)私です。
召集令状です。
(懐中時計の音)これ裁縫道具なんやけどボタンが取れたり服が破れたりした時にきっと便利よ。
(紀夫)子どもの名前の事なんやけど…女の子やったらさくらという名前にして下さい。
さくら…。
学生時代すみれの事を見かけた事がある。
子どもの頃から君を思っていたけれど大人になって桜の花びらが舞う中を歩く君に心を奪われた。
母であるすみれのようにそしてすみれのお母さんのように花を咲かす人生を送ってほしい。
僕とすみれの子をしっかり頼みます。
はい。
こうして紀夫君は出征しました
(産婆)もうじきですよ!頑張って!・
(赤ちゃんの産声)ハハハッ!
(喜代)かぁいらしいこと。
(産婆)元気なお嬢様ですよ。
さくらちゃん…こんにちは。
私の娘は母になりました。
しかし戦時中の子育てには想像以上の困難が待ち受けていました
(喜代)粉ミルクもうほんの少ししかありませんわ。
栄養不足でお乳が出ない中なんとかして赤ちゃんを育てなければなりません
(クリスティーナ)スミレ!こんにちは。
サクラ…。
(英語で)こんなに…ありがとう!エキスパート?日本の育児は遅れてる。
外国とは全然違う。
はあ…。
ワンツー。
おしめ…?
そしていよいよ米軍による本土への無差別爆撃が始まりました
(サイレン)
(喜代)お嬢様!早く…早くこちらへ!喜代さんこれお願いします。
(サイレン)吸収合併…。
お父様とお母様が頑張って作った会社やのに…。
統廃合はお国の指示や。
あらがいようがない。
今後の処理はきっちりわてがやります!心配せんように。
近江に行こうかなと思うとる。
疎開いう事?ゆりお前もや。
野上も近江やったら安心やて言うてくれてる。
(ゆり)それは持っていけないでしょ。
大事なものやから置いとき。
そやね。
大勢ですんません。
どうかよろしくお願いします。
他人のうちやないんやからゆっくり過ごし。
(節子)ゆりさんすみれさん。
初めましてやなぁ。
節子です。
息子の肇はお国のため出征しとります。
こちらは嫁の静子。
孫の慶一や。
よろしくお願いします。
困った時に頼れる場所があってよかったな。
こないな田舎料理ハイカラな皆さんのお口には合わへんのとちゃうか?おいしいです。
(ゆり)ほんまありがとうございます。
うんそれはよかった。
家族みんなで畑仕事して育てたもんやからな。
家族みんなで働いてな。
うん。
食べ。
(ゆり)明日から私たちも畑仕事手伝う?そうやね。
(子どもたち)アハハハハ!まだほんのちょっとしかやっとらんのに…。
すいません。
ありがとう大丈夫。
そのころ五十八さんは神戸にいました
(サイレン)
(爆撃機の飛行音)
(せきこみ)お父様!忠さん!神戸で空襲があったんや!えっ?
(玉音放送)「其の共同宣言を受諾する旨通告せしめたり」。
日本は終戦の日を迎える事となりました
大切な家はもうそこには存在しませんでした。
ですがすみれには守るべきさくらがいるのです
紀夫さんは絶対に帰ってくる!
本当に大変なのはここからなのです。
それでもすみれは母として前に進んでゆくのです
生字幕放送でお伝えします2016/10/16(日) 11:00〜11:20
NHK総合1・神戸
べっぴんさん 一週間 第2週「しあわせの形」[字]

坂東すみれ(芳根京子)は、潔(高良健吾)とゆり(蓮佛美沙子)の披露宴で聞いた父・五十八(生瀬勝久)の家への思いに共感。五十八からきた縁談話を承諾するが…

詳細情報
番組内容
坂東すみれ(芳根京子)は幼なじみの潔(高良健吾)に思いを寄せていたが、姉のゆり(蓮佛美沙子)と結婚することになり、失恋する。潔とゆりの披露宴の時、祖母のトク子(中村玉緒)から聞いた父・五十八(生瀬勝久)の家への思いに共感し、五十八からきた縁談話をすぐに承諾。相手は幼なじみの田中紀夫(永山絢斗)だった。その後、幸せな夫婦生活を送っていた2人だが、紀夫に召集令状が届き…
出演者
【出演】芳根京子,生瀬勝久,菅野美穂,高良健吾,蓮佛美沙子,谷村美月,百田夏菜子,土村芳,名倉潤,市村正親,中村玉緒,永山絢斗,本田博太郎,山村紅葉,曽我廼家文童,宮田圭子,三倉茉奈
原作・脚本
【作】渡辺千穂

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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