【バンコク西脇真一】フィリピンのドゥテルテ大統領は16日、18日からの中国訪問などを前に南部ダバオの空港で記者会見し、習近平国家主席との首脳会談で南シナ海問題に触れる考えを示した。これまでは議題としない考えを示していたが、ドゥテルテ氏は一転して「我々の主張を押し通す。取引はしない」と強調した。
ドゥテルテ氏は中国訪問に先立ってブルネイを訪問。中国は6月末の大統領就任後、初の東南アジア諸国連合(ASEAN)域外への訪問先となる。
会見でドゥテルテ氏は「(中国と領有権争いのある島は)我々の島であり、仲裁裁判所の判決を受け入れるよう主張し続ける」と明言。「領土に関して取引はできない」とした上で「我々は(取引ではなく)ただ(中国と)話をすることを望む」と語った。
国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所は7月、南シナ海における中国の権益主張を全面的に退ける判決を出した。だが中国は「判決は紙くずだ」と受け入れを全面拒否している。
ドゥテルテ氏は就任後、米国と距離を置く発言を続ける半面、中国への融和的な姿勢を鮮明にしていた。今月10日には南シナ海で中国が実効支配するスカボロー礁(中国名・黄岩島)の領有権問題について「触れない」などと話しており、どこまで明確に言及するかは未知数だ。