2016.10.16.Sun.
■[漫画] つくしあきひと “メイドインアビス”
ウェブ連載中。単行本は現在4巻まで。
- 設定
- 直径1,000m、垂直に地下20,000m以上へ続く巨大な縦穴。
地勢と生態系の差異によって7層に大別され、最深部は今なお未知。 - 逆行を厭う力場が存在することが最大の特徴。光をも捕らえるため上方からの観測ができず、直接内部に進むことでしか調査できないが、力場は深度に応じて甚大な効果を及ぼし、帰路の生体にかかる負荷は深層に降りるほど即死的となる。
- 内部では魔法のような力を持つ「遺物」が見つかり数多くの者が探索に誘引される一方、第5層以遠へ往還できる者はごくわずか。
- 直径1,000m、垂直に地下20,000m以上へ続く巨大な縦穴。
- 物語
- ほのぼのした絵柄で緩く無害な冒険物のように始まるが、深層への降下に比例して苛烈な描写・残酷な物語へ変貌する。
昨今のアニメで第3話目がフックとしてつくられる傾向にも似て、この漫画も1巻・2巻は本性を隠した序盤に過ぎず第3巻こそが真のスタート。読者としてはここで決定的に心を抉られ、作品の志向をはっきりと悟ることになる。第4巻では更なる衝撃が重なり、止まらぬ加速を感じたときには既に作品に捕らわれている。
- ほのぼのした絵柄で緩く無害な冒険物のように始まるが、深層への降下に比例して苛烈な描写・残酷な物語へ変貌する。
- 表現
- 縦穴の絶景や生態の豊かな描写。
- 地名や遺物のネーミング。
- 深部の恐怖。同時に、先がどのようになっているのかを知りたいという思いの惹起。それは作中の登場人物たちと完全にパラレルのはず。
- ファンタジー的デフォルメ絵のキャラクターたち。技術的ではない意味で実写化不可能な作品。つまり「不可能」にもさまざまな水準があって、ここではデフォルメ絵と実写/写実描写との閾で成り立っている。
[以下 36話『黎明の箱庭』までのネタバレ]
考察メモ
- どうやって6層に降りるか
- 『白笛』を使って正当に降りるのか、もしくはそれ以外の方法で降りるのか。
- ボンドルド絡みで『白笛』のトピックにこれだけ時間を割いてる以上、『白笛』の問題をそのまま避けて行くのもなさそうな気がする。
- 『白笛』がここで使われるとしたなら、どの白笛が使われるのか。
- 新たに『白笛』を入手する?
→ナナチあるいはレグ? ナナチはいずれどこかで死ぬ可能性は非常に高いと思ってるけど、今のところナナチ→リコの愛慕がそこまで強いとは思えないし。ナナチ→レグならまだしも可能性はありそうだけど、すべてを委ねるほどとまでは言えないような。 - あるいは、ライザの『白笛』?
せっかく持っているライザの『白笛』だから、どこかで必ず何か役に立つはず。ここで使うのはまず順当。しかし本人以外は起動不可と明言されている。
レグはライザと似た話し方・体捌き → 単にライザから影響受けただけでなくライザ本人との何らかの同一性を示唆するものであるとしたら、レグがライザの『白笛』を起動できるという展開もあり得るかも? - もうひとつの可能性としては、リコが自分自身を供物にするという選択肢か。
ボンドルド同様に『精神隷属機 』を使う、あるいは『呪い除けの籠』が命を付与することを何らかのかたちで利用する、といったような。……この漫画、自分の予想を超える衝撃的展開を平気で繰り出してくるので、そのぐらいのことが起きてもぜんぜんおかしくない気がしている。
- 新たに『白笛』を入手する?
- 『白笛』を使って正当に降りるのか、もしくはそれ以外の方法で降りるのか。
- 『白笛』
- 『白笛』は6層へ降りる鍵である他、遺物の真の役割を引き出す機能を持つ。
- →今後まちがいなくリコがそのような使い方をしてパワーアップするはず。そうでないと今後は冒険にせよ他の白笛との対峙にせよさすがに今のままでは厳しい。
- 楽器ではなく、呼び子。
- 本義は注意喚起や危機を知らせるための道具。
→『白笛』が呼ぶ対象は遺物の真の力? 深層の超常的存在、あるいは魂を呼び起こすようなものでもあるかも?
- 本義は注意喚起や危機を知らせるための道具。
- オーゼンが『呪い除けの籠』を開けるとき、白笛に触れている。
- 『
命を響く石 』の原料は、使用者にすべてを捧じた人間。- →愛慕を持つ者が呪いを一手に受け愛慕の対象者が祝福のみを得ることとの類比?
- 『白笛』は6層へ降りる鍵である他、遺物の真の役割を引き出す機能を持つ。
深層の超常存在を呼ぶもの? 魂を呼ぶもの?
- 生物の精神性、呪い/祝福との適合性
- レグにも「意識」はある。(ナナチあるいはタマウガチが力場を読めた)
- 力場はレグの意識に反応するが、レグ自身は「呪い」は受けない。精神に作用していないのではなく、身体に作用していないだけ?
- ボンドルドの増殖した精神は生物を逸脱し、祝福を与えることができない。
- しかしボンドルドは呪いであれ祝福であれ、受け取る側にはなれる。
- リコは生物という扱いなのか、それとも別の存在なのか。
- レグにも「意識」はある。(ナナチあるいはタマウガチが力場を読めた)
- 祝福
- 祝福の形態は人によって違うのか、それとも同じなのか。
- ボンドルドの祝福発現の姿を見るかぎり、やはりナナチと同じように獣の姿? でもナナチは哺乳類的、ボンドルドは爬虫類的?
- 獣の姿に意味があるのかないか
- 単に人間以外の形象に変化しているだけとも思うけど、もしかしたらアビス内の特定の生物種に変化していってるという可能性もあるかも? たとえば奈落の底に至る道に棲む『門番』の形象とか……。
それもちょっと矮小的な気もするし、ナナチ的な姿だったら「得体の知れない」とまでは言えないか。
- 単に人間以外の形象に変化しているだけとも思うけど、もしかしたらアビス内の特定の生物種に変化していってるという可能性もあるかも? たとえば奈落の底に至る道に棲む『門番』の形象とか……。
- 呪いと祝福というセットは各層ごとにそれぞれ生じ得ることなのかどうか。
- 6層では「人間性の喪失」と「呪いへの耐性」というセット。だとすると7層では「致死」に対して「甦生」ぐらいのことがもたらされたりするかも。
- ボンドルドはここで脱落すると思うけど、完璧に祝福を受けた最強の白笛とかも今後出てきそう。
- 祝福の形態は人によって違うのか、それとも同じなのか。
- 探窟者の資質
- ボンドルドとリコの類似性は1巻でリコがレグを調べるところでも表れている。ボンドルドのように相手を破壊するほどではないにせよ、徹底した探求心は同一。
- アビスの歴史
- アビスは1,900年前に発見された。
一方で、お祈り骸骨は2,000年ごと。→どういう人たち? アビスの先住民なのか外界の先行文化?? - 遺物は単に先行文明の科学によるものなのか、アビスの力場と何かしらの関係があるのかどうか。
- アビスは1,900年前に発見された。
- 時間
- 『
時を止める鐘 』はどこかで登場し実際に発動するはず。 - 遺物あるいは『待ち人』現象に関連して時間跳躍やループとかが出てくる可能性もあるかも。
- 時間に関わる超常事象の他、重力異常も今後出てきそう。7層『最果ての渦』あたりで。『星の羅針盤』は重力異常でアビス軸方向がわからなくなる場所で効力を発揮するもの、とか。
- 『
- 奈落の底
- 実際に底があるのかどうか。無限に続いてるとか、他の世界に続いてるとか。
- 時間の遅延が深度とどのような相関にあるのか。もし漸近的に遅くなっていく場合、奈落の底は時間が止まる特異点?
- 最深部が不可逆性の極致であり物体/光/情報すべて逆行不能となる地点なら、それはあらゆるものを飲み込み続ける場所だとも言える。
主要な概念
- 不可逆性
- 生の逸脱 … 機械人形 / 籠に命を与えられた者 / 増殖・転移する精神
- 呪いと祝福 … 愛慕で結ばれた者に呪いを集中させると、残る者には祝福が付与される。
- 自己犠牲による資格 … すべてを捧げる者。
- 時間の歪み
- 手紙 … 情報、便り、約束。白笛の報せは「事実」となる。
- 笛 … 何かを呼び覚ますもの。
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[アニメ][映画] “君の名は。”
[読書][音楽] ジェフ・チャン “ヒップホップ・ジェネレーション”
[ART][読書] “Mona Hatoum”
[音楽][.Jazz][.Hip Hop] Steve Lehman & Sélébéyone “Sélébéyone” (2016)
[漫画] 得能正太郎 “NEW GAME!”
[映画] “シン・ゴジラ”
[読書] 山本貴光, 吉川浩満 “脳がわかれば心がわかるか”
[音楽][.Electronica][.Experimental][.Post Rock] Tyondai Braxton “Oranged Out E.P” (2016)
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“でも、これはごまかしよ、ね。つかまったと思ってるだけ。ほら。わたしがここに合わせると、あなたはもう環 (ループ) を背負ってない”
―Angela Mitchell
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“でも、これはごまかしよ、ね。つかまったと思ってるだけ。ほら。わたしがここに合わせると、あなたはもう環 (ループ) を背負ってない”
―Angela Mitchell