日本が世界に誇るもの。
それは日本食。
2013年には「和食:日本人の伝統的な食文化」としてユネスコ無形文化遺産にも登録されました。
私は海外(ドイツ)の日本食レストランで働いているので
外国人が日本食を食べている所を見る機会が多いのですが
いつも気になるのがその食べ方。
海外でも日本食はとても人気なので食べ方を知っている人も多いのですが
中には、日本人からすると「え?」と思わざるを得ない食べ方をする人もチラホラ。
今回は
ドイツの日本食レストラン勤務の私が見た、外国人のヘンな日本食の食べ方について
ランダムで紹介したいと思います。
※下に挙げる例は、もちろんすべての方ではないです。あくまでも私が実際に見た一部の例です。
みそ汁をスプーンで飲みたがる
「日本では、お椀から直接飲むんですよ~」と教えると大体の人は分かってくれますが
どうしてもスプーンを欲しがる人はいます。
海外だとお皿に直接口をつけて食べる料理がないので、人によっては抵抗があるようです。
特に年配の方に多い印象です。
ちなみに
日本だとご飯と一緒に食べるみそ汁ですが
海外だと前菜として食べる方が多いです。
カレーは箸で食べる
な ぜ な の か。
日本のカレーは今や海外でも結構な知名度がありますが
スプーンを出しても、頑なに箸で食べようとする人もいます。
「スプーン、使ってもいいんですよ、、、?」
と言っても、箸でカレーをすくって食べてる。
逆に、すごい。
日本食=箸のイメージが強いのかな?
割り箸を割らずに食べる
「これ、割って使うんですよ、、、?」とか
「スプーンお持ちしましょうか、、、?」とか
いろいろ聞いてみたんですが
逆にイライラされました。
「オレ、箸使えっから。大丈夫だから。(イラッ)」
みたいな感じで。
えー。
それからは、見ても何も言わないことにしました。
その人はよくちらし丼を食べていたんですが
割ってない割り箸で、器用に刺身を挟んで食べてました。
枝豆を殻ごと食べちゃう
海外でも枝豆を取り扱っている日本食レストランは多く
外国人にも人気のメニューです。
英語では「Soya Beans」
ドイツ語だと「Sojabohnen(ゾーヤボーネン)」ですが
みんな結構日本語名を知っていて「EDAMAME」と言って注文してくれます。
知名度が高めなので、食べ方を知っている人も多いのですが
知らずに殻ごと食べちゃう人も居ます。
食べ終わった皿を見て、ビックリ。
な、何も残ってねぇ、、、!
それからは
枝豆を出す際には一言
「殻は食べられません!」
という言葉を添えるようにしています。
揚げものの衣を取っちゃう
食べ終わったお皿を見ると、エビフライの抜け殻が、、、!
というのも結構あります。
外国人に人気の天ぷらなんかも、たまに同じ目に合っています。
なぜなのか。
揚げ物って、衣がおいしいのに、、、。
ご飯に醤油をかける
私の働いているレストランでは、醤油はテーブルに備え付けて置いてあるんですが
外国人はとにかく醤油の乱用が目立つ。
中でもよくあるのが、ご飯に醤油をかける行為。
海外の人は味のない白いご飯がニガテな人が多く、とにかくごはんを汚したがる。
で、目の前にあった醤油ね、、、。
使っちゃうよね。
ソースもご飯にかける
とんかつやエビフライはソースと一緒に出すんですが、ソースをごはんにかける人も多いです。
料理を持っていく時に説明はしてるんですけどね、、、
「このソースは、豚肉(エビ)にかけて使ってね!」って。
ツウともなると
とんかつとか頼んでないのに「ソースくれ」って言います。
で、ごはんにかけて食べてる。
やめて、、、!
そんでもって
一緒に来た同僚にソースご飯のおいしさを力説しないで、、、!
家でやる分には全然いいんですが
レストランでやるのはちょっと違う、、、かな?
みそ汁に醤油を入れる
とにかく濃い味が好きなドイツ人。
みそ汁に醤油を入れる人もよく見ます。
ドイツ人の味覚に合わせて濃いめには作っているはずなんですが、、、
みそ汁に醤油+ワサビを入れる
みそ汁に醤油はね、許そう。
百歩譲って許す。
みそ汁がみそ汁の色じゃなくなっちゃってるけど
醤油も味噌も大豆製品だしね。(←広い心)
でも
みそ汁にワサビは、違うと思うの。
てゆーか
みそ汁のためだけにワサビ頼むのはヤメテクダサイ。
ワサビからしても、きっと不本意。
刺身しか頼んでないのに「ガリ忘れてるよ」
いいえ、忘れていません。
そもそも刺身とガリは一緒には食べません。
「なぜ?」と聞かれると困っちゃうんですが、、、
でも、お刺身とガリは一緒には食べないですよね。
どうしても刺身とガリを一緒に食べたいお客さんには、別でオーダーしてもらっています。
ちなみに
ガリは日本人にとってはお寿司の後に食べるものですが、ドイツでは前菜としても人気です。
握り寿司の上に、ワサビ&ガリタワー
旦那もそうなんですが、、、
握り寿司を食べるときにとんでもない量のワサビ+ガリを寿司の上に乗せて食べます。
「素材の味がぁぁぁ」
と思いながらも、どうすることも出来ません。
少し前に、外国人にだけワサビを多く入れていた寿司屋が問題になったことがありましたが
日本人に比べて外国人がワサビ好きなのは本当です。
ワサビの追加なんて、本当に日常茶飯事だし。
「こんなんじゃワサビ全然足りないよ~」
と、料理を持って行った直後に言われることもしばしば。
まだ食べてもいないのに、、、。
ワサビが嫌いな人ももちろんいるので
お客さんに聞きもせずにワサビを2倍多く入れるのはさすがどうかと思いますが
このお店のしたかった事は、なんとなく分かる気がします。
握り寿司・海鮮丼のネタだけ食べる
これは日本でもありますが
子どもがやっていることが多いですよね。
海外では、大人もよくこれをやります。
上だけきれいに剥がされたお寿司や海鮮丼を見ると、ちょっぴり悲しくなります。
だったらお刺身頼めばよかったのに、、、。
寿司屋だからって、アメリカ風の寿司があるわけじゃない
黒いものを食べない欧米人向けに、海苔を内側に巻いた「カリフォルニアロール」なんかは有名ですよね。
私の働いている日本食レストランでも
カリフォルニアロールはあります。
ただ、カリフォルニアロールが限界。
あくまで日本食レストランなので
メインは日本のお寿司です。
「スパイシー・ツナロールないの?」
ないです。
まず何だ。そのお寿司は。
これしょっちゅう聞かれるので
多分アメリカ風お寿司の中では人気メニューなんだと思います。
「フィラデルフィアチーズの入ったお寿司ないの?」
ないです。
まあ、あれはあれで美味しいんですが、、、
頼むからそれ、寿司職人さんに直接頼まないで(泣)
「ドラゴンロールないの?」
天ぷらが入ったお寿司ですね。
ないです。
「揚げたお寿司ないの?」
え?と思われる方もいると思いますが
(主にカリフォルニアロールなどの)お寿司に衣をつけて揚げたお寿司というものが、こちらでは結構人気です。
私も食べたことがありますが
あれはあれで、いけないこともない。
ただし、日本食をウリにしているうちのレストランにはありません。
そもそも
日本のお寿司は揚げませんよね。
寿司職人さんに頼むのは、出来ればやめていただきたい。
お寿司に醤油以外のものをつけたがる
お寿司を持っていくと
「TERIYAKIソースくれ」とか
「チリソースはどこ?」
とか聞かれます。
外国人はテリヤキソース大好きですね。
スーパーで売っていたりもします。
でもね。
日本ではお寿司にテリヤキソースやチリソースはつけないんだ。
出来れば、素材の味を楽しんで欲しいんだ。
雑炊・お茶漬けを前菜として頼む
日本だと「シメの一品」ということになるんですが
シメという感覚がない外国人は前菜としてお茶漬けを頼む方もいます。
メニューの書き方も悪いのかもしれませんが、、、
お茶漬けだと
説明書きが「グリーンティー・ライススープ」なので
スープだと勘違いする方が多いようです。
「日本では、一通り飲み終わって、まだお腹がすいている場合に食べるものなんですよ~」とか
「スープって書いてありますけど、スープよりはライスがメインですよ~」と説明はします。
「それでも前菜として食べたい!」という方はそれで全然かまわないんですが
お客さんの思い描いているグリーンティー・ライススープとは違う場合が多く、何の説明もせずに持っていくとびっくりされることが多いです。
ベジタリアン・ベーガンのお客さん
肉や魚を食べないお客さんというのは多いです。
日本食はヘルシーなイメージなのか
ベジタリアンやベーガンの方もよく来ます。
お肉ナシならまだ簡単ですが、問題は魚。
昆布とかつおぶしの合わせだしを使っているのでだしに魚が入ってしまっています。
そうなると
もう食べられるものがない。
ベジタリアンに人気の食材であるTOFUを使ったみそ汁も揚げ出し豆腐も
だしが入っているのでダメ。
枝豆や梅干し、かつおぶしなしの冷ややっこか
かっぱ巻きなどの野菜を使った巻き寿司ぐらいしか勧められるものがありません。
グルテンアレルギー
海外にはグルテンアレルギーの人が多いです。
グルテンはなんと、醤油にも味噌にも入っています。
※種類にもよります
この2つの調味料が食べられないとなると
日本食はなかなか難しい。
私の勤務先ではグルテン不使用の醤油も用意してるのですが
お寿司やお刺身をグルテン不使用の醤油で食べるぐらいしか手がありません。
ファッションでアレルギー?
「私、グルテンアレルギーなの」と言われると
こちらとしてもお客さんが食べられるものを一生懸命探します。
だって、アレルギーなんですよね?
、、、と思ったら。
「隣の人が食べているものがおいしそう。 」
「あれが食べたい」
「グルテン入ってるの?」
「うーん。」
「いや、今日はグルテン大丈夫にするわ!同じもの1つちょうだい!」
「今日は大丈夫にする」
「今日は大丈夫にする」
「今日は大丈夫にする」
、、、、、え?食べられるの?
つまりその人はグルテンアレルギーではなく
ただ単にグルテンを食べたくないだけの人だった。
だったら最初から、そう言ってよ(泣)
食べたらアナフラキシーショックを起こすかもしれないアレルギーと
ただグルテン抜きダイエットをしているだけでは
神経の使い方がだいぶ違います。
普通の日本食レストランにおいて
グルテン抜きが難しい事を知ってほしい。
グルテンフリーをウリにしたレストランも、たくさんあることだし、、、。
こうゆう人たちを
ボスは 「ファッション」アレルギーと呼びます。
最後に
今回は
海外の日本食レストラン勤務の私からみた、外国人のヘンな日本食の食べ方
を紹介しました。
個人的には
「食べたいように食べればいいじゃないの」
というのが私の感想ですが
料理を一生懸命考案した料理人の事を考えると、なにもかもお客さんの言う通りには出来ません。
またお店としてもウリというものがあって
私の働いているお店は一応「伝統的な日本食」をウリにしています。
ケースバイケースですが
例えば
箸を割らずに食べることに関しては個人的なことなので目をつぶるにしても
お寿司しか頼んでいないお客さんにテリヤキソースを提供することは極力避けています。
なぜならそれは「伝統的な日本食」ではないから。
日本食の正しい食べ方について説明することもお店のウリになりえると考えています。
せっかくね、日本人が働いているので。
そして何より
文化の違いを知ることを楽しんでくれるお客さんもたくさんいます。
日本食は奥が深く、私もまだまだ分からないことが多いので、お客さんと共に成長していけたらないいなと思います。
おわり!