フィールドワーカーやダイバーなど、攻撃してくるスズメバチやそれ以外の有剣類、ムカデやオニヒトデ、ガンガゼなどの咬傷、刺傷時の異種蛋白の体内侵入でアナフィラキシーショック対策として、エピペン(エピネフリン(アドレナリン)・オートインジェクター)を携帯すべきかどうなのか、専門にやってる病院で検査してもらえる。特に職業ダイバーはエントリーポイントまでのアプローチで毒虫攻撃もあり得るからどっちにしても、何でもありに対応する必要がある。因みに、ハチ類由来のアナフィラキシーショックは、ハチの種類、大きさに関係なく起きてるし、フィールドでコアシナガバチに刺されて昏倒された方が歴代の生態学会長の中にもおられる。そもそも抗原抗体反応って感度の良いものである故、いろいろな物質の検出などにも使われてきたわけで。
検査ではっきりしているのだが、私のように何度も刺されていてもエピペンを携帯するに能わずという判定が出る場合もあるし、劇症のアレルギー反応を特に持っていなかったり、記憶する限りハチに刺されたことなかったりする人でも、血液検査でいきなり、エピペン持ちの該当者になることはある。確率は低いが、最初のフィールドテストから人によってはリスクがかかるのだ。
最近は、ハブ咬傷やマムシ咬傷に際して、血清による早期処置が圧倒的な効果を持っていることを理解した上で、徹底したアナフィラキシー対策が施されるということを知っている人は少ないのじゃないだろうか。ハブ咬傷は悲惨で、毒液に含まれる細胞破壊因子の力の凄まじさは、ハブ咬傷で検索すればかなりきつい写真が出てくるのだけれど、アナフィラキシーショックが出れば、それはそれですぐに命のやり取りになる。そちらの方も怖い。それ故、相当色々な背景知識のものとに判断をしながら医者は治療を実施している。こちら(
朝沼クリニック-ハブ咬傷-)は奄美本場の専門医院のページなので、本当に丁寧で詳細。毒量の少ないヒメハブなどは血清治療よりも、対処療法が前提になる。地元のお年寄りなど病院に行かない人も少なくない。それ外という話ではないけれど。
因みにヤマカガシなどは、毒液の細胞・組織破壊作用が凄いわりには、血清を置いているところは全国で一箇所のみ。本当に毒液が注入される事故はほとんど起きていない。攻撃性が低いというかほとんどない蛇で、牙も注射器型になっておらず、思いっきり口を開かせて思いっきり日々を突っ込んで思いっきり噛ませないと毒液は入らない。このあたりはウミヘビ類が、同様にリスキーな毒液を持っているにも関わらず、事故が極少なのと似ている。あっちは更に強壮薬として「素手で」採集までされているが。結果的に血清を生産して置いておくだけのコストに見合うだけのトラブルが全くと行ってよいほど起きていないのだ。
要するに緊急事態はなるべく専門医に任せる以上のことを考えないほうが良いと、結論して良い社会になっている。無論自己判断で、みたいな話もあるけど、予後も全然違うので、処置してもらうのが一番よろしいかと。思い込みの民間・代替療法でドヤ顔するのは、よほどの経験値が有っても、むしろそれをドヤ顔の根拠にするならより罪が重い。まあ、自分の指から出血した僅かな血の玉を見て倒れる人が居たりするから、過剰な心配を取り除きつつというのは前提なのだけれど、適当なことをやっていながらなんでも「大丈夫、大丈夫」という人や、「やーこれは大変だ、でも安心して下さい、このレメディが」みたいなのが一番危ない。
スネークバイトキットなどのリムーバーで吸引するのは無論出来たほうが良い。リムーバーはシリンジと違って、ピストンを押しこむと、吸引される仕掛けになっている。傷口に押し付けながら力がかけやすい。ただ、キットについている毛剃用のカミソリ等、きちんと消毒できていないと二次感染などでやばくなるので、そのあたり注意が必要である。リムーバーによる傷口からの吸い出しも、思った以上に体外に毒を排出できなかったりするから、あくまで、余計なことをするよりも病院に急ぐ方が良いという頭で動いた方が、大体の場合正解である。色々細かいことを書かれていても、結論としてそのように誘導しないとあんまり細かいことを言っても意味がなくなってしまう。でも、そう書けばなんでも医者に連れていけばいいという思考停止みたいに感じる人も多いだろうけど、この手の動物とのトラブルも含め、救急医療的な局面の場合、大抵、それであってる。胸骨圧迫にしてもAEDにしても、医療のプロにつなげられることが前提の作業だ。
マムシやハチ刺されぐらい結果的にアナフィラキシーショックもなく、平気なのであれば、消毒処置後、放置で構わないが、間違ってもあっち系の「特に体の中に入れる」治療を試すみたいなのは避けた方が無難だが、民間療法は数多く、自己責任で試せばいいと思うが、理屈が破綻していながら科学的な、或いは超科学に見せかけた偽装をしているものについては遠ざけた方が安全だ。そのもの単体ですまない。それを呼び寄せるということはそれに係るソサイエティに係るということで、そちらの方のリスクも考えた方がいい場合がある。
追記ーざっと関連画像引っ張り出したが、全部自分画像遇した自前のもの。生態学徒の出自で、こっちでフィールドワークやっていれば、これくらいの生物群には普通に係るし、彼らに対してそれなりの知識を持つなんてのもそんなに特殊なことではない。ただ、彼の人のような人の言説に関わろうと思う人は居ないかもしれない。石を拾う人がいる社会は幸いだ。
ハチに刺される場合、二度目が危ないという話も、古典的推理小説「キプロスの蜂」の頃からの言説かもしれない。それぐらいの確実性がないと、殺人方法として意味を失うのだけれど、やはりフィクション。
アナフィラキシーショックとは逆に、「なあに、かえって免疫がつく」場合も少なくないので人間の体で起きたことの表面的なものを見ていて、いやオレは見たから、オレは体験したから、みたいな話がいかに滑稽かという話でもある。