豊洲市場の地下大気中から水銀7倍検出

2016年10月16日6時0分  スポーツ報知
  • 豊洲市場

 東京都は15日、築地市場(東京都中央区)の移転先となる豊洲市場(江東区)の地下空間の大気中から最大で国の指針の7倍にあたる水銀が検出されたと発表した。この日、土壌汚染対策を検討するために都が再設置した有識者による専門家会議が築地市場内で開催され、公表された。会議には約100人の市場関係者も出席していたが、新たな汚染の発覚に「このままでは移転することはできない」と声を大にした。

 問題が山積する豊洲市場の今後を正しい方向に導くために設置された専門家会議が、初回から「地下空間での水銀の検出」というショッキングな報告を行った。

 都によると、専門家会議の指示で9月29、30日と10月6、7日に市場の空気を測定した結果、青果棟の地下空間で指針値(1立方メートルあたり0・04マイクログラム)の5~7倍にあたる0・20~0・28マイクログラムの水銀を検出。水産卸売場棟でも9月の測定で指針値を超える数値が確認された。空間内にたまった地下水は、指針値の10分の1である定量下限値未満の「不検出」とされた。

 検出された要因については、会議でさまざまな検討がされたが、座長を務める放送大学和歌山学習センターの平田健正所長は「原因は現時点では判明しない」と述べるにとどめた。コンクリートや砕石層に由来することは考えにくいとし、微量の水銀を含む地下水からの気化や施工中の発生の可能性なども含め、今後さらなる調査が必要とした。

 この日は、平田氏の「市場関係者の方は、汚染問題などに不安を抱いている。その人たちと膝を突き合わせて話をしたい」との意向から、関係者ら約100人が出席。当初は最後に質疑応答の時間が設けられていたが、会議開始から間もなくして、関係者から手が挙がると同時にヤジが飛び始めた。

 これまでの経過が淡々と報告されていると「もう、みんな知っていることだから!」「もっと話し合う大事なことがあるだろ」などの声が。平田氏は「情報共有が必要なので、我慢してください」と必死になだめた。結局、会議は予定を2時間オーバー。仲卸業の酒井衛さん(61)は「我々が声を発する場所を作ってくれたのはありがたいが、このままでは移転できない。我々は切実なんです」と話した。

 平田氏は「この会議は責任追及の場ではなく、どうしたら安心安全な市場になるかを考えるのが役割」と話したが、水銀検出という新たな問題が加わった。この日付で中央卸売市場長に就任し、会議に出席した村松明典氏とともに、いばらの道が続く。

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