今月7日に中国漁船が韓国海洋警察の高速ボートを攻撃して沈没させた事件について、中国政府は12日、「韓国海洋警察の行動には法的根拠がないと確認された」と主張した。中国の邱国洪駐韓大使が11日、「中国政府は問題解決のために真摯(しんし)かつ責任を持って取り組んでいる」と述べたのとは異なり、開き直りとも取れる主張を行った格好だ。韓国外交部(省に相当)は直ちに「正当な措置だった」と反論し、両国の対立はエスカレートしている。
中国外務省の耿爽副報道局長は12日の定例会見で、韓国政府が前日に邱大使を呼び出して抗議したことについて、「韓国関連部門の主張には明確な根拠がない」とした上で、「韓国側が提供した位置情報によると、今回のいわゆる沈没事件の発生地点は北緯37度23分、東経123度58分56秒で、同海域は韓中漁業協定で漁業活動が認められた場所だと確認された」と主張した。中国側は中国漁船が韓国側海域で違法操業を行っていた事実には触れず、海洋警察の高速ボートが沈没した地点は海上の境界線画定がなされていない地点であることのみを強調した格好だ。
耿副報道局長は「協定によれば、韓国海洋警察が同海域で法執行を行う法的根拠がなく、中国側は既に外交ルートを通じ、冷静かつ理性的な問題解決を韓国側に求めた」と説明した。さらに、「韓国は法執行の過程で武力使用を辞さないとしているが、それでは根本的に問題を解決することができず、むしろ対立を高めるだけだ」とも述べた。
韓国外交部は中国漁船が違法操業を行っているのを海洋警察が発見した地点は韓国側海域内であり、国際法に基づき他国の船舶を追跡する権利があるため、合法的な措置だったと反論した。
韓国外交部は「韓国海洋警察が行使した追跡権は韓中両国がいずれも加入している国連海洋法条約で認められている権利だ。中国漁船の違法操業行為と公権力への挑戦行為に対する韓国側の対応措置は確立された国際法と韓国の国内法に基づて取られた正当な措置だ」と主張した。
韓国国民安全処によると、中国漁船が違法操業を摘発された地点は北緯37度21分17秒、東経124度2分28秒で韓国側海域内だった。国連海洋法条約は外国船舶が領海や排他的経済水域(EEZ)で沿岸国の法令に違反して逃走した場合、公海上まで追跡して拿捕(だほ)する「追跡権」を認めている。
外交部関係者は「中国漁船が韓国海洋警察の正当な法執行に真っ向から挑戦した事実には一切言及せず、沈没地点の位置のみを根拠に主張することは事件の本質を著しくごまかすものだ」と指摘した。
一方、中国紙・環球時報は12日、「中国漁船への砲撃を認めた韓国政府は狂ったのか」と題する社説まで掲載。「韓国メディアが興奮したため、韓国政府が中国漁船に艦砲射撃を行うことを認めた。国家全体の民族主義の集団発作だ」などと主張した。