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マスター:STANZA
シナリオ形態:ショート
難易度:非常に難しい
形態:
参加人数:10人
サポート:0人
リプレイ完成日時:2016/10/10


みんなの思い出

1
1

オープニング


 島根県出雲市。
 出雲大社の裏手には、八雲山の森が広がっている。

 しかし、その森の奥に古代の遺構が眠っていることを知る者は多くなかった。
 その殆どがV兵器の研究開発に携わる研究者や技術者達。

 科学室の主、門木章治(jz0029)もそのひとりだ。
「もっとも、俺は現場に行ったことはないんだが……」
 その遺構が発見されたのは、もう10年以上も前、門木がまだ天界で引き籠もっていた頃のことだ。
 造られたのは遙か昔、女王卑弥呼が現役で活躍していた時代だという話だが、真偽の程は定かではない。
 定かではないが、かなり古いものであることは確かだ――人間にとってはもちろん、天使にとっても。
「それが造られた当時に生きていた者は、天使の中にも存在しない。だから天界でも殆ど忘れられた存在になっていたんだろう」

 しかし最近、遺構の周辺が急に騒がしくなった。
 その近くで天使の姿を見かけることが多くなってきたと警戒していた矢先、小規模ではあるが天界勢の襲撃を受けたのだ。
 幸いそれは遺構を守っていた者達によって撃退されたが、天使達がそれに興味を示し始めたことは間違いない。
 しかも襲って来たのはザインエルら王権派に属する者達だという。

「ザインエルって、どっちでしたっけ? 反逆したほう?」
 その場に集まっていた生徒のひとりが尋ねる。
「王権派とかエルダー派とか、正直よくわかんないんだけど」
「大丈夫だ、俺もよくわからん」
 待て、先生がそれでいいのか。
 それは全然大丈夫じゃないだろう。
 あちこちからそんなツッコミが入るが、門木は開き直っていた。
「はっきりしているのは、彼等がより多くのエネルギーを欲しがっているということだ」
 天界の覇権を得るためか、或いはもっと大きなことを考えているのか、それはわからないが。
「王権派にしろエルダー派にしろ、それ以外の何かにしろ……この遺構が他の勢力に奪われることは、人類にとって大きなダメージになるだろう」
 殆ど致命的と言っても良いくらいに。
 逆に言えば、人類がそれを利用することに成功すれば大きなアドバンテージを得るということだ。
「つまり、その遺構には何かのエネルギーがある?」
「恐らくな」
 エネルギーそのものか、或いはそれに関する技術的な何かだろう。
「恐らくってことは、その遺構ってまだ調べてないんですか? 確か発見されたのは10年以上前って、さっき聞いたけど」
「ああ、だから今からそれを調べに行く」
 生徒達に集まってもらったのは、そのためだ。

「もっとも、大部分は既に調査を終えてるんだが……」
 実のところ、V兵器に関する基礎技術など、現在の撃退士を支える技術の一端は、この遺構の調査研究が実を結んだものだった。
 しかし5年ほど前、遺構の最深部を残して調査は打ち切られていた。
 原因は、調査によって得られるめぼしい成果が殆ど出尽くしていたこと、それに、もうひとつ。

 当時の技術や撃退士のレベルでは、最深部に仕掛けられた自衛システムに対応することが難しかったのだ。
「最深部に辿り着くまでにも、様々な自衛システム……簡単に言ってしまえば罠だな、それが張り巡らされている。もちろんサーバントの数も多い」
 だがそれは、現在ではさほどの障害にはならないだろう。
「問題は最深部だ。その入口には固く閉ざされた扉があるらしいんだが……」
 破壊することは不可能。
 開けるためには鍵の解除装置を作動させる必要がある。
 解除に必要なのは、強力なアウルパワーだ。
 それを一気に流し込むことで鍵が外れる仕組みになっている。
「今なら、鍵を外すこと自体はそう難しくないだろう。ただ……その後が問題でな」
 どれほどレベルの高い撃退士でも、それによって殆どのアウルパワーを失ってしまう。
 数日間の休息を取れば元に戻るが、一時的には全ての能力が元の一割程度にまで低下してしまうのだ。
 最深部で遭遇するであろう敵の強さを考えれば、それは殆ど戦闘不能に等しい。

「それは、一人いれば充分?」
 誰かが尋ねる。
「そうだな、奥義が修得できるレベルなら一人、そこに届かなくても二人か三人いれば充分だろう」
 ただし人数が増えれば、それだけ戦闘不能者が増えるということだ。
 おまけに内部は狭く、一度に送り込める人数は多くても15人程度だろう。
「それに、今回はな……」
 門木は言いにくそうに口ごもり、壁やら天井やら、あちこちに目を泳がせた末に、ようやく言葉を継いだ。
「調査目的ということで、つまり……俺を含めた非戦闘員が数名、同行することに……なって、いて、うん」

 知ってた。

 仕方ない、戦える研究者が出払っているのだから、仕方ない。
 彼等の手が空くのを待っている余裕はないのだ。


 というわけで。
 今回の任務は門木と他二名の一般人研究者を連れて遺構の最深部に到達し、何かしらの成果を持ち帰ること。
 見てすぐにわかるものではないだろうから、調査には出来るだけ多くの時間が欲しい。
 そのためには道中はもちろん、調査中も安全を確保することが求められる。
「かつての調査で内部の様子は殆どわかっている。今回も大きな変化はないだろう」
 ただし最深部だけは未知の領域だ。
 そこに何があるのか、何が待ち構えているのか、全くわからない。
「危険だと判断したら、撤退も視野に入れて行動してくれ」
 実際、当時はまだ未熟だったとは言え、過去の調査ではかなりの犠牲を出している現場だった。

 遺構そのものが敵の手に落ちない限り、調査はやり直しが利く。
 周辺は地元の精鋭達が守りを固めているから、たとえ調査中に外部からの襲撃があっても落とされる心配はないだろう。

 まず第一に、犠牲者を出さないこと。
 先生との約束だぞ!



プレイング

思い繋ぎし紫光の藤姫・星杜 藤花(ja0292)
高等部3年3組 女 
…この間の戦闘ぶりですね、出雲
遺跡の探検など興味深いのですが…安全にすませたいところです
無事に帰って、成果を報告するまでが依頼ですから

隊列関係
門木先生や研究者さんたちの近くで護衛中心
蛇などが急に沸いてもまずいので状況に応じ星の輝き使用

落とし穴対策
飛べる人に運んでもらうのが正解かな…?
ガス対策
自衛としては濡れたタオルやマスク

下層のゴーレム
emethの頭文字の「e」を削って動きが止まるかを確認
無理なら強行突破

最下層
先に突入するだろう人の情報を得てから文具セットの中にある三角定規使い
発射角の法則を割り出したい
発射角30度ならば三平方の定理が適用される可能性もあるいは
そうすれば恐らくどこにいるとどこからレーザーが飛んでくるかの予測も可能になるので
それを指摘しつつ自分自身は援護を中心に直接攻撃も
魔法攻撃を望めそうな人には祝福
回復は祝福>ライトヒール>その後適宜スキル入替
出来る限りレーザーの停止タイミングが長くなるよう40の目玉を別れて攻撃


赫華Noir・黒百合(ja0422)
高等部1年3組 女 
※アドリブ可

○心情

遺跡の探索ねェ、ワクワクするわァ…どんな危険が潜んでいるのかしらァ♪

○行動

可能なら事前に仲間達と作戦・行動内容を相談
差異がある場合は行動修正を実施する

事前の用意として防毒マスク、ヘッドライトを持ち込む

一般人を守る様に中央よりで行動
他の参加者・一般人の行動の邪魔にならない様にネビロスのフレキシブルワイヤーを通路の壁に這わせる様に展開
蛇やサソリが出てきた場合、即座にワイヤーで拘束して切断する

爆弾など他の参加者の妨害、調査を突破、発動した場合は浮遊盾で防御、または「防壁陣」で一般人を防御(防御スキルが使用回数0の場合は活性化変更で他のスキルに変更

毒ガスの危険性がある場合はガスマスクを被り、即座にその場から離れる(他の参加者を行動を観察、狭い場所で身動きが困難な状況にならない様に注意、仲間に声かけを忘れずに実施する

落とし穴などで床面を移動できない場合は「壁走り」で床や天井を移動する(その場合もトラップに警戒

正面の迎撃は「破軍砲」、側面・背面や「尻尾ドリル」で迎撃

生命力の低下30%以下の場合は「ヒール」で回復

敵の発見時は近接戦時にはロンゴ〜、遠距離戦時にはG3装備に切り替えて攻撃
「分身」を使用して攻撃を加えさせ時間稼ぎと様子見を行う
基本的に一般人を守りつつ遠距離攻撃で敵を削る

周囲警戒は厳に行い、他の参加者と協力、混乱状態にならない様に冷静に行動
休憩する場合は携帯食料で回復

天と人に灯る次代の幕開け・大炊御門 菫(ja0436)
大学部3年5組 女 
・罠対策
味方に準ずる
一番危険なのは催眠ガスとゴーレムの組み合わせ
暇は無いので、急いで仕留めにかかる
破片が消えないのであれば埋めてもいいかもしれない

落とし穴&ゴーレムならば、夬月で穴に落としてしまおう

落とし穴は、幅跳び
味方が寝たら頬ビンタ(←
「おい、起きろ!!寝ても死ぬぞ!!」

前衛は他にいなければ自分が買ってでる
負傷度やスキル残量次第で交代を行い、均等化を

中衛に回れば、味方動き注目
腰や肩の動きで次の動きを予想し槍の射程を生かし突き攻撃

研究員保護を優先
爆弾が飛んできた場合や他者対応困難時朧月霞桜使用
ミサイルは先んじて槍で当てれそうならば槍で殴って爆破
無くなれば花鳥朧月入替
肉壁ぐらいにはなるだろう


・最下層対策
罠が無い事なんてなく…
味方NPCが突撃しそうなら首根っこをひっつかんで後ろに引く

まず自分が入り罠の所在を確認
恐る恐るまず一歩侵入
味方に何か変化があれば後ろに引く等依頼しておく
さっきのどう思う?と味方に問いかけ情報を落とし込む

突入前に生命回復を行うが、味方スキル使用せず、剄吹入替使用

目の向きから自身に攻撃が来ているか判断
味方に注意がいっていれば、達磨落としの要領でフルメタルインパクト使用し思いっきり横から殴る
もしも崩せた場合目玉の向きを壁に向ける
1本当たり何人かで分担してダメージを受けれそうならばその場で提案

基本は仲間のカバー

歴戦勇士・龍崎海(ja0565)
大学部7年9組 男 
目的
依頼の達成

動機
ことによれば以後は機密とかで内部にはいったりできなくなったりしそうだし、好奇心に駆られて参加

事前
加圧式の罠の囮用のボールを用意
またガス系の対処の為のマスク等も用意

行動
阻霊符使用

殿で主に後方の対処に気を配る
爆弾は向かってくる数や速度に余裕がないのなら浮遊盾で受けたり、撃ち落としたりする
蛇やサソリは星の輝きを他の使い手と分担して使い対処
「目をくらませれば近づきにくいのでは?」
数が多かったりするならVジャベリンで一掃

罠を飛び越えたりする必要があるなら陰影の翼を使用し、研究員を抱えて飛ぶ
回数があるのでスキル使用は仲間と分担

アウルDは味方の庇護の翼の回復
生命の芽は研究員用

地図を製作し罠等に対してそれぞれ目印を記載
出来れば通路にも書く
「帰りも通るのだから罠の位置とか種類が分かっていれば帰りやすい」

最深部では入り口の前を陣取り、後ろから敵とかが入ってこないように気を付ける

休憩時間を取るなら携帯品も使用

戦闘
防御優先で基本浮遊盾
近は槍、遠は本
魔法攻撃をする時は本の使用考慮

Lヒールは0でヒール
アウルDは0でアウルの鎧、研究者用
「新米撃退士程度の防御力は得られるからいざという時の気休めぐらいにはなるかもしれない」
Vジャベリンは0でインパクト
スキル交換は連携で

補足
臨機応変
怪我人は手当

奇術士・エイルズレトラ マステリオ(ja2224)
中等部3年1組 男 
先行偵察及び囮が役目

基本的に他の仲間よりかなり先行し、危険がないか確認
ボーリングの玉等重い玉にロープをつけ、左右に広く前方に転がしながら加圧式の罠を探る
ガスの罠はガスの噴出口だけ確認して一旦即座に撤退
そしてスクジャケを準備し再び侵入し呼吸を止めて噴出口に突っ込んで詰まらせる
難しいようなら息を止めて噴出口を攻撃、息が続かなくなったら一旦戻って息継ぎ
固定砲台は発見次第破壊
罠の破壊、無力化を図る際、そこまでの道のりで加圧式の罠のチェックが済んでないなら飛行する
途中のゴーレムは囮となってミサイルを撃たせないよう相手のパンチが届く間合いで戦い、
飛行を使用しemethの最初のeを削ってみる
ダメだったら他の仲間と協力して破壊
最下層ゴーレムは自分が囮になって攻撃ひきつけ、その間他の仲間にどうにかしてもらう

ブレイブハート・若杉 英斗(ja4230)
大学部3年3組 男 
■準備
かつての調査でわかっている事は漏らさず情報共有をお願いする
罠の位置、種類も最深部まで行った事があるなら記録にあるんじゃないですか?
ガス罠あるならガスマスクしてこうよ

罠対策:遺構周辺の大きい石を持っていく

■行動
光纏後、阻霊符発動

罠は床の加圧で起動らしいから、隊列前のひとが重いモノを転がしたり
魔具で床を叩きながら進めば罠発見できそう
と提案
撃退士を対象に罠発動させた方がなんとかなりそう

自分なら三日月槍で床を叩きながら進む
落とし穴は飛び越える

隊列
門木先生、研究者を【庇護の翼】の射程内に入れる位置取りで進む
ディバが複数人いるので手分けしてもいいかも

●戦闘
戦闘開始時はフローティングシールドα1『飛龍』を活性化
『飛龍』による物理攻撃が基本
敵の攻撃は『飛龍』で受防御
下手にかわして研究者に攻撃がいくとまずいし
門木、研究者への攻撃は己の身体を盾にして守る、それが無理なら【庇護の翼】で守る

効果ありならゴーレム額「emeth」の最初のeを削るように攻撃

●最下層
「ここからが本番って事でしたね」
ゴーレムはとりあえず、よく目立つ目を狙う
破壊できそうなら破壊を狙う
ゴーレム四体なら、堅い四人がそれぞれ盾になれば、その隙に調査できないかな?
その場合もちろん自分も盾役やります
【天翔撃】【水晶閃】ガンガン使用

BSは【聖なる刻印】で回復
生命力半分以下時に【不死鳥】使用
【オニキスセンス】で不死鳥、庇護の翼を回復


思い繋ぎし翠光の焔・星杜 焔(ja5378)
大学部2年1組 男 
護衛対象必ず護る
非常時光翼使用

炎蝶で回復

以前の攻略情報調べ皆で共有

先行と本隊連携可能程度に別れ
先行で罠探知し進む

護衛対象撃退士で囲む
飛行できる者上部護る


本隊護衛足る場合
先行フォロー配置
先様子本隊伝達

爆弾ガス等から逃げ先の罠に嵌らぬ様
罠早期発見努め

大型武器は持ち方振り方工夫

加圧式罠
重い玉を転がす
床を射程2以上武器で叩く等で探知
床の音の違いでも判別

落穴
小天使の翼<梯子で対応
飛行時飛べぬ者抱え
護衛対象撃ち落とされぬ様護る

固定砲
護衛対象通過時盾構え射線塞ぐ
発射口ごと考慮

ガス
先に注意しつつ走る

蛇蠍
ショットガンで掃除

下層ゴレ
額のe消し試す/効果無⇒攻撃し倒す
タウント使用盾役/盾役交代制(一体倒す毎
注目効果無⇒双斧で小内刈風攻撃
執拗に足攻撃行い頭部の隙作りや体勢崩し狙う
後列時アハトで足狙撃
又は隙見て飛行やゴレに登り槍でe削り狙う

最下層鍵開け後
内部罠に警戒まずは石投げ入れ
無反応⇒連撮モードデジカメ(調達可:ラジコン系不可:長棒/事前)に固定し外から見えぬ部分やそれっぽい中央部確認調査時短狙う
反応有⇒攻撃パターン観測分析

罠?は目付柱と判断(某ARPG目ビーム柱から連想
配置から最低部屋四隅と判断
射線通る柱を部屋外から狙撃目破壊可能判断
1つずつ破壊し自動復活察知
散弾銃で5目同時破壊狙う
奥の二柱⇒手前と処理
手前目死角横壁から斧で
30度判明⇒槍で床堀ハメ試す

調査中楽園降臨

先生だけ狙われず⇒種族天使攻撃対象外と判断
射線妨害頼

優しく誇り高い戦士・黒井 明斗(jb0525)
高等部1年4組 男 
目的:最奥まで仲間の疲労を抑える

準備:市販の坑ウイルスマスクを人数分
   登山用ロープ
   伸縮式携帯梯子

役割:研究者の護衛(研究員の前を歩く)
   最深部への鍵の解除装置を起動させる

行動:研究員を護衛しながら罠・敵を警戒する
なお、罠対策等は仲間の行動が優先、駄目なときやスキル切れの時に自分の方法を試す
上層階敵対策、[生命探知]行い探知したら[星の輝き]を使用し撃破
警戒行動、曲がり角や十字路、T字路では所持アイテムの手鏡で顔を出さずに警戒
罠(落とし穴)発見は、所持アイテムのサッカーボールを転がし作動するか見極める
罠(催眠ガス)対策、気休めにマスクを配り着用し走り抜ける
罠(固定砲台)対策、発見次第攻撃撃破
罠(針)対策、通り抜ける時は、フローティングシールドと鮮血の盾の二枚の盾で2方向を防ぎ、残りの箇所を仲間に任せて通り抜ける
罠(落とし穴)対策、伸縮式梯子を橋にしロープを命綱にし渡る
下層階敵対策、白兵戦は仲間に任せ魔法で支援し3割以上のダメージを負った仲間に回復スキルを使用

最奥の鍵を開ける前に怪我をしてる仲間を治療し、アウルディバイドで仲間の強力なスキルを回復させる
準備が整ったら、最奥の鍵の解除装置を動かす

鍵を開けた後は、仲間が最奥の探索を終えるまで最奥入り口で待機

全ての探索が終わって変える前に残っている回復スキルを使用し仲間を治療

アドリブOK



月に群雲、花に風、されど・ファーフナー(jb7826)
大学部3年7組 男 
龍崎と共に殿を務める
研究者に被害が行かぬよう壁となり警戒を払う

かつての調査で、最深部までの内部の様子は殆どわかっているとのことなので
事前に過去の調査報告書で、判明している罠の位置や、罠の対処法を読んでおき、参考にする
また、罠の出現に規則性等がないかも注意をしておく

出雲は神が集う国というが
サーバントが遺構を守っているし
大昔に天使が作った、ということなのだろうか?
遺構を作った作成者(天使)本人が再深部へ行く際に罠にかからないよう、回避する方法はないのだろうか
罠を避ける歩き方があるのか
もしくはCRでセンサーが作動するのか
どこかに解除スイッチがあるのか

感知式の罠は索敵範囲を探り
センサーに反応しない位置や方法を考えたい
ちょうど研究者もいることだしな、頭を使ってもらおう

加圧式は武器等で前方を払う

落とし穴は、研究者に命綱をつけておけば、もしもを防げるか

爆弾は弾んでくるということは、衝撃で爆発するのではなく、時限式か
蹴り飛ばして遠くにやったり、岩や遮蔽に引っ掛かるように弾き飛ばしたり

過去の犠牲者の血痕等がある場所には罠があると警戒

研究者の体力次第では、部屋で適宜休憩

ゴーレムは額のeの文字を削る

再深部では、ゴーレムは壁に沿ってしか動けない、角は曲がれないことから
透過は不可だが飛行できる天使ならゴーレムを止めるスイッチが天井等にある?
破魔の射手でCR+にして飛行し、防御スキルで攻撃を防ぎつつ周辺を探る

負けた方が、害虫だ・エカテリーナ・コドロワ(jc0366)
大学部4年9組 女 
「奴らが目を付けたからには、余程のものがあるはずだ」

目的は遺跡内部の調査。
調査優先だが、邪魔する敵は容赦しない。

調査員と門木を護衛しながら中を進む。
通路の壁や天井、床をよく観察し、異変がないか確かめる。
違和感を感じたら「サーチトラップ」で調べる。
床面を撃つなり叩くなりしてあえて誤作動させる。
罠となるものは速やかに排除。
ガス対策に濡れタオルやマスク持参。

敵に遭遇したら躊躇なく攻撃し排除。
群れには「オンスロート」の範囲攻撃で蹴散らす。
ゴーレムに遭遇した場合、最下層に備えてその形状を記憶しておく。

最下層の部屋に到着したら、その形状で判断しゴーレムを先制攻撃。
無力化に成功したら調査員を目標地点に送る。
その間ゴーレムの動きに注意し、動き始めたら即座に攻撃。
目の破壊を狙うが、時間がない場合ショットガンに持ち替え、1sq攻撃で一気に吹っ飛ばす。
タイムロスを防ぐため4体同時攻撃。
「アウル炸裂閃光」で大幅な生命力ダウンを狙う。
ピタゴラスの定理をヒントに対応し、発射角の範囲に調査員を入れない。
ゴーレムの額の「emeth」の文字の「e」の字を削り、死を意味する「meth」の文字へと変換する作戦も試みる。
なお遺跡の崩落の危険があれば速やかに撤退する。
「残念ながらこの遺跡の秘密は貴様らには渡せん。欲しければ貴様らの命と交換だ」
「石像風情が、さっさと砕けろ!」







リプレイ本文

 これは急を要する調査だが、一分一秒を争うレベルの緊急度ではない。
 従って、出発までには多少の余裕があった。

「かつての調査で色々わかっているなら、内部の見取り図なんかもある筈ですよね」
 準備の為に用意された一室で、若杉 英斗(ja4230)が言った。
「最深部まで行った事があるなら、罠の位置や種類も記録にあるんじゃないですか?」
 そう考えるのは、もっともだ。
 そして実際、罠の種類や対策は判明している。
 しかし、位置はどこにも記載がなかった。
「どうやら、罠はランダムで移動する上に、壊される度に新しい場所で復活するらしい」
 門木の答えに、英斗は「そんなズルい」とでも言いたげな表情をして見せる――が、すぐに思い直した。
「なるほど、わからないからこその難度設定か」
 同じ事を考えていたのだろう、ファーフナー(jb7826)が呟く。
 予測可能な攻撃から一般人を守る事は、例え人数が倍に増えたとしてもそう難しくないだろう。
「規則性も存在しないと考えるべきか」
 ただ以前の記録を見る限りでは、罠は複合的に設置されている場合が多い様だ。
 ひとつの罠ばかりに気を取られる事なく注意を払う必要があるだろう。
「でも種類はわかってるんだから、そこは対策しておきたいよね」
 英斗が皆に向けて言う。
「ガス対策なら、坑ウイルス用のマスクでどうでしょうか」
「あらァ、どうせならガスマスクの方が良いんじゃないかしらァ♪」
 黒井 明斗(jb0525)の提案に、黒百合(ja0422)はそう返した。
「でもガスマスクなんてコンビニでは買えませんし…」
「そこは学園からの依頼なんだしィ、少しは融通が利くんじゃないのォ?」
 ごもっともです。

 今回は特別に学園の倉庫などからすぐに取り出せる備品は貸出可能となった。
「んー、でもここにはガス対策として、走れって書いてあるんだよね〜」
 星杜 焔(ja5378)が首を傾げる。
 マスクが有効なら、そう書かれていても良い筈なのだが。
「そうですね…でも、対策は多いほうが良いでしょうし、無駄にはならないと思いますよ?」
 そう言った妻、星杜 藤花(ja0292)は何枚ものタオルとポットに入れたお湯を用意していた。
 現場で濡れタオルを作っても良いし、休憩の時にはお手ふきにもなる。
 万が一の時には包帯代わりにも――勿論、それが必要な事態にはさせないけれど。
「全員、必ず護り抜くよ」
「はい」
 応えた藤花は夫と絆を結ぶ。
 これも一種の内助の功だ。


 それぞれに必要な準備を整えた一行は、遺跡の中に足を踏み入れた。
 先頭には斥候役のエイルズレトラ マステリオ(ja2224)、少し遅れてエカテリーナ・コドロワ(jc0366)が続き、その後ろには門木と二人の研究員を挟み込む様に残るメンバーが続く。
 前には黒百合、明斗、大炊御門 菫(ja0436)が、後ろには焔と藤花、英斗が付き、少し離れた殿には後方を警戒する為にファーフナーと龍崎海(ja0565)が付いた。
「遺跡の探索ねェ、ワクワクするわァ…どんな危険が潜んでいるのかしらァ♪」
 黒百合が楽しそうな声を上げる。
 まるで遊びに来た様な言葉とは裏腹に、自在に動くフレキシブルワイヤーを壁に沿って這わせて警戒する様子は真剣そのものだった。
「…この間の戦闘ぶりですね、出雲」
 藤花は興味深そうに周囲を眺めながら、研究員達に歩調を合わせて進む。
 内部は床や壁に描かれた幾何学的な文様が淡く発光しているせいで、互いの顔が見分けられる程度には明るかった。
「この文様は何かの文字の様にも見えますね」
 そう感じるのは自身が書家であるせいだろうか。
 それに、子どもの頃に見た冒険小説や映画の影響か、こうした事にはつい胸が高鳴ってしまう。
「護衛任務でなければ、うっかりよそ見して罠にかかってしまうかも…」
 恐らく緊張しているであろう研究員達の気持ちを解そうと、そんな話をしながら少しずつ前へ。
(「袖触れあうも多生の縁、人間関係の構築も大事ですから」)
 なお二人は田中くんと佐藤さんと言うそうだ。
 二人とも世間一般に認められている真面目な学問に秀でているのは勿論だが、その傍らでUMAや超古代文明などに興味津々な、某月刊誌の愛読書であるらしい。
「ところで、これは何です?」
 田中が自分と佐藤の腰に繋がれたロープを見下ろす。
 その先はファーフナーの手に握られていた。
「もしもの時に、落とし穴に落ちるのを防げるかと思ってな」
「それは良い、飛び出し防止にもなりそうだ。研究者というものは大抵、夢中になると周りが見えなくなるものだからな」
 自分の猪突猛進ぶりを棚に上げつつ、菫が大真面目に言った。
 だが殿で背後を警戒する者が持つのは何かと不自由だろう。
「良ければ私が持つが」
「そうだな、では頼んだ」
 差し出された手にロープを預け、ファーフナーは背後に意識を集中した。
「超古代文明か、俺もそういうのはちょっと興味あるな」
 隣で海が呟く。
「この任務を買って出たのも、ことによれば以後は機密とかで内部にはいったりできなくなったりしそうだって理由で」
「奴らが目を付けたからには、余程のものがあるはずだ。出入りは制限されて当然だろうな」
 その声が聞こえたのか、前方のエカテリーナが周囲に鋭い目を配りながら返した。
 いや、目を付けたと言うより、取り戻しに来たと言った方が良いかもしれない。
「すると、ここは大昔に天使が作った、ということなのだろうか?」
 ファーフナーが質問とも独り言ともつかない調子で言った。
 サーバントが遺構を守っている事から考えれば、恐らくはそうなのだろう。
「出雲は神が集う国というが、古代の人々は彼等の姿に神を見たのかもしれんな」
 しかしここが天使の遺構なら、造った本人が罠にかかっては本末転倒だ。
 何か回避する方法はないのだろうか。
「罠を避ける歩き方があるのか、もしくはCRでセンサーが作動するのか、どこかに解除スイッチがあるのか――或いは天使ならば罠が作動しないのか…」
「ふむ〜、試してみる価値はありそうですね〜?」
 その声に、焔が門木を見る。
「先生に一人で先行して貰って、何事もなければ…なんて、冗談ですよ〜?」
 護衛対象にそんな危険な事をさせる筈がない。
 それに門木は発現していないとは言え天魔ハーフ、システムが純粋な天使と認識する確証はなかった。

「早速お出迎えですよ」
 暫く行くと、生命探知で反応を捉えた明斗が声を潜めて囁いた。
「蛇と蠍か、レベルもそう高くなさそうだし、星の輝きで目をくらませれば近づきにくいのでは?」
 交代で使えば長時間保つと、まず最初に海がそれを使う。
 清らかな光が辺りを照らすと、壁や床の隙間から這い出たものの多くはそれを嫌う様に再び闇に戻ろうとする。
 しかし中には気にせず近寄って来るものもいた。
 黒百合はワイヤーを調整して即座にそれを切り刻み、逃れたものもすぐ後ろで明斗が投げた春雷のルーンに触れて動きを止める。
 蛇や蠍は前ばかりではなく、横からも後ろからも、天井からも湧いて来るが、その度にいち早く見付けた誰かが確実に仕留めていった。
 と、一行が通り過ぎたその後を追う様に、後ろの通路から不規則な物音が近付いて来る。
「来たか」
 ファーフナーが振り返り、身構える。
「壁や床を弾んで来るということは、衝撃で爆発するのではなく、時限式か」
 ならば遠くに蹴り戻すか、どこかに引っかけて止めてしまえば良さそうだ。
 そう考えて蹴り返してみた――が。

 ボンッ!

 足が触れた直後、それは弾け飛んだ。
 その間にも、通路の奥から次々と爆弾が転げ落ちて来る。
「生体に反応しする仕掛けか」
「なら片っ端から壊していくしかなさそうですね」
 ファーフナーと海は通路を塞ぐ様に立ち、先に行けと仲間達を促す。
「大丈夫、一個も後ろに逸らしたりしないよ」
 海は次々と転がってくる爆弾を盾で押し返し、或いは近付く前に雷の槍を放って撃ち落としていった。

 その頃、先行したエイルズレトラはネットにボウリングの玉を入れ、それにロープを結んだ「罠探知機」を転がしながら進んでいた。
 加圧式の罠なら、これを左右に往復させるように転がすことで反応する筈だ。
 同時に目はガスの噴出口を探る。
 と、その目が捉えるよりも早く、壁の模様に紛れた小さな穴からガスが吹き出して来た。
「これはまた巧妙に隠されていますね」
 一旦退いたエイルズレトラは荷物からジャケットを一枚取り出し、丸めて持った。
 息を止めて再び噴出口に近付き、丸めたジャケットを突っ込む。
 しかしガスの圧力は高く、詰め物をボロ雑巾の様にした挙げ句に弾き出してしまった。
「これは壊してしまう他になさそうですね」
 息を止め、壁ごと打ち砕こうと妖刀を振り下ろす。
 途中で僅かにガスを吸い込んだ様だが、どうやら自分にはさほど影響はない様だ。
 機能停止を確認し、次へ進む。
 直後に設置された落とし穴を飛び越え――
「ん? これは…」
 重さを感じた瞬間だけ開く仕組みか。
 穴が閉じてしまえば、そこに罠があることを目で確認するのは不可能だった。
「誰か、何か目印になる様なものは持ってませんか?」
 後続の仲間に声をかける。
「それなら、これはどうでしょうか?」
 藤花がピンク色の濡れタオルを差し出した。
 それを畳んで穴の上手と下手、両側を挟む様に置いておけば、薄暗い中でも良く目立ちそうだ。
 ある程度の重さもあるから何かの拍子に飛ばされる事もないだろうし、帰りも安心して通れるだろう。
「それは良いね」
 次から次へと転がって来る爆弾の処理をしながら海が頷く。
「帰りも通るのだから罠の位置とか種類が分かっていれば帰りやすい」
 本当は地図を作りながら攻略したかったのだが、こう忙しいのでは手を休める暇もなかった。

 エイルズレトラは次に固定砲台を攻撃して潰そうと試みるが。
「そこは私に任せておけ」
 エカテリーナが前に出て、アサルトライフルを構えた。
「お前の得物はその刀のみの様だが、向こうは長射程だ…それに何でも一人で片付けようとするものではない」
 しかも砲台は目視で確認出来るだけでも四ヶ所にある。
 その言葉にエイルズレトラは軽く肩を竦め、「では囮役にでもなりますか」と通路の真ん中に飛び出した。
「さあ、ショウ・タイムの始まりです」
 四つの砲台が一斉にそちらを向き、射線が一箇所に集まる。
 それを身軽にかわす間にエカテリーナが一つずつ無力化していくが――流石に手が足りないか。
「大丈夫、加勢するよ〜」
 焔が後方からアハト・アハトを撃ち放った。

 ホモクレェ!

 そんな奇声と共に白銀の┌(┌ ^o^)┐が飛んで行く。
 これを使うと緊張感やシリアス、その他諸々の大事なものが迷子になる気がするけれど、その威力と射程の長さには替えられなかった。

 そうして幾つかの関門を抜けた先にあったのは、針が飛び出す加圧式の罠。
 ボウリングの玉が床に乗った瞬間、それは上下左右から飛び出して来た太い針に刺し貫かれ、粉々に砕け散ってしまった。
「なかなか、えげつない罠だな」
 菫がぽつりと感想を漏らす。
「だが加圧式ならば、この床を踏まなければ作動しないという事だろう?」
 撃退士ならば幅跳びの要領で飛び越え、研究員達は誰か翼のある者が抱えて飛べば良いだろう。
 しかし、事はそう簡単には行かなかった。
「この場所は罠が連続していますね」
 最初の罠を越えて投げられた明斗のサッカーボールがポンと弾んだ直後に床が消え、辛うじてその先へ転がった所で串刺しトラップが発動、ボールは風船のように弾け飛んだ。
 しかもその先には毒ガスと砲台、更に向こうでは巨大な石が通路を塞いでいる。
「先にあれを片付けないことには先生達を向こうへ渡すわけにはいかないね」
 英斗が言い、外で拾って来た大きな石を取り出した。
「これを置いた瞬間に針が出て来るだろうから、そこを狙って攻撃すれば壊せないかな?」
「やってみる価値はあるな」
 菫が穂先から焔を噴き上げる短槍を構えた。
 そうしている間にも砲台からの攻撃が飛んで来るが、そちらは黒百合が盾を構えてガードする間にエカテリーナが攻撃、更に翼を活性化させたエイルズレトラが罠の向こうに飛んで、ガスの噴出口を壊しにかかる。
 海とファーフナーは休むことなく転がり落ちる爆弾の処理に専念し、藤花は星の輝きに耐性を持つ蛇や蠍を黄金のシンボルから撃ち出される炎の矢で一匹ずつ焼き払って行った。
 菫が槍の一閃で針を粉々に打ち砕くと、次には落とし穴が待ち構えている。
 更にその向こうには針の罠が隙間なく並んでいた。
「攻撃するにも足場が必要ですよね」
 明斗が落とし穴の上に伸縮式の梯子を渡す。
 荷物になるかと思ったけれど、持って来て良かった。
 渡された梯子の重さで奥の針トラップまで一緒に作動したが、却って好都合。梯子を足場にした菫が、飛び出した針を氷柱でも叩き折るかの様に薙ぎ払う。
 どうやら加圧式の罠はそれで終わりの様だが、まだ危機は去っていなかった。
 その先ではゴーレムが通路を塞いでいる。
 向こう側が全く見えない為に、肉眼では勿論、エカテリーナのサーチトラップでも罠の存在を感じることは出来なかった。
「こいつの後ろに催眠ガスがあるパターンは考えたくないな」
 菫が呟くが、そうした最悪のパターンこそ守る側にとっては最強の布陣だ。
「それを使って来ない筈はない、急いで仕留めるぞ」
 ガスは皮膚から吸収される場合もある為、マスクがあると言っても油断は禁物。
 菫が前に出、爆弾処理と直衛の数人を残し、他の者達も人型に変形したゴーレムと対峙する。
 案の定、その背後から催眠ガスが漏れ出して来た。
「噴出口は破壊出来るんでしたね」
 明斗が言い、通路の向こうを伺う。
「僕が向こう側に抜けて壊して来ます」
 人型になってもやはり通路の殆どを塞ぐその巨体は足が短く、横に広がった体型で、とても機敏に動けそうには見えなかった。
 足の間などは簡単に潜り抜けられそうだ。
「ちょっと待ってェ、抜けた直後に落とし穴にドボンなんてこともありそうよねェ?」
 ここは自分に任せろと、黒百合が壁に立つ。
「床さえ踏まなければ良いんでしょォ?」
「わかりました、では僕は援護に回ります」
 少し後ろに下がり、明斗は弓を構えた。
「動きが鈍そうってことは、逆に言えば動かずに済む様な攻撃方法を持ってるって事だよね〜」
 焔が言ったそばから、石の腕が蛇腹の様に伸びて来る。
 それを叩き付けて来るのかと身構えたが、攻撃はそれだけではなかった。
 肩口に開いた発射口から二発のミサイルが撃ち出される。
 一発は明斗が咄嗟に射落としたが、もう一発は前衛の間をすり抜けて後方へと向かって行く。
「でも残念、ここの壁は崩せないよ」
 英斗が浮遊盾『飛龍』を展開させ、庇護の翼を広げた。
「ディバインナイトの本領発揮ってとこかな」
 自分がいる限り、守るべきものには掠り傷ひとつ付けさせない。
 それに、前衛の仲間がそう何度も撃たせる筈がなかった。
「腕が届く距離で挑発してやれば、こっちを潰すのに夢中になりそうですよね」
 飛び出したエイルズレトラが再びショーを開き、自分に注目を集める。
 狙い通り、ゴーレムはそのちょこまかと動き回る目障りな相手を押し潰そうと、両腕を振り回してきた。
 しかし同時に肩口の発射口にも次弾が装填され、今にも発射されようとしている。
 目の前の敵に対処しつつ遠距離の敵も狙う、そんな高度な処理が出来る頭脳を持ち合わせている様には見えないのだが。
「もしかすると、こいつはただ生命反応を関知して動いているだけなのかもしれんな」
 発射口に向けて攻撃を撃ち込みながらエカテリーナが呟く。
「意思がある様に見えて、実は砲台やガス罠と同じ…という事か」
 頷きながら、菫が発射口から顔を出したミサイルに向けて全力の一撃を喰らわせた。
 あわよくばミサイルの自爆と合わせた威力で砕いてしまおうと思ったのだが。
「硬いな」
 ゴーレムはビクともしない。
 その時、後ろから藤花の声が飛んで来た。
「ゴーレムの額にemethの文字があります、最初のeを削れば動きが止まるかも…!」
「わかった、やってみるね」
 焔が応え、腕の攻撃をかいくぐってゴーレムの身体に取り付く。
 そのまま肩までよじ登り、額の文字を狙ってバトルシャベルを振り下ろした。
 ザクッと音がして、その部分が削り取られる。
 途端、ゴーレムは大小様々な石の塊に分かれて崩れ落ちた。
「こっちも任務完了よォ、ガス穴は全部壊したわァ♪」
 瓦礫の向こうから、黒百合の声が聞こえた。

 瓦礫の山を乗り越えて、噴出口や砲台を壊し、魔具でコツコツ叩いてみたり銃撃で圧力をかけてみたりしながら足下や周囲を確認し、一行は更に奥へと進んで行く。
「古い遺跡と言うから、内部はもっと薄汚れているかと思ったが…」
 相変わらず後ろから転がってくる爆弾を処理しながら、ファーフナーが呟く。
 周囲の耳を気遣ってソフトな表現を使ったが、想像していたのは飛び散った血痕や白骨死体などが累々と連なる光景だった。
 罠の修復ついでに、それも掃除されたのだろうか。
 しかし短時間で修復が可能なら、帰りには既に復活している事も考えられる。
 休憩を取る暇はなさそうだった。
「大丈夫、異常はない様です」
 曲がり角の向こうに手鏡を差し出し、とりあえず危険はないと判断した明斗が告げた。
 それを確認して、エイルズレトラが角を曲がる。
「またさっきと同じパターンですね」
 複合トラップへの対処は先刻と同じ、英斗がゴーレムの残骸から持って来た石を置いて針の罠を発動させ、壊す。
 先程の現場から回収した梯子を渡して、落とし穴も同じ要領でさくっと無力化。
 二度目ともなれば、もう慣れたものだ。
 奥で待ち構えるゴーレムに対しては、今度は焔が囮になってエイルズレトラが文字を削る。

 そして、そろそろ最深部に辿り着くかという頃。
「ゴーレムもこれで最後でしょうかね?」
 エイルズレトラがeの字を削る――が、ゴーレムは動きを止めなかった。
 よく見れば額には傷が付いており、emethのtの字が欠けている。
 どうやら最初から欠陥品だった様だが、お陰で必殺技が通じなくなってしまった様だ。
 その間にも誘導ミサイルが後方を狙って飛んで行くが、こちらは黒百合が防壁陣で、英斗が庇護の翼で壁を作っている。
 その後ろに控えた藤花の回復スキルが続く限り、この壁は破れない。
「こっちは大丈夫、気にせず大元を!」
 英斗の言葉に頷いて、焔は赤色の双斧を手にゴーレムの足を狙った。
「注目は効果ないみたいだし、ここはもう力押しで行くしかないね〜」
 短い足の隙間から片方の踵に斧を食い込ませ、思い切り引いて後ろへ転がそうとする。
 が、それだけではピクリとも動かなかった。
「上半身も同時に突き飛ばさないと無理そうだな」
 菫が短槍を掲げて夬月の構えを取る。
 その衝撃波がゴーレムの上半身を弾き飛ばすと同時に、焔が斧を引いた。
 巨体が僅かに傾き、それでも危うくバランスを保っていたところに、後方から黒百合が駄目押しのロケット砲を撃ち込む。
 遺跡全体が崩れるのではないかと思える様な地響きを立てて、ゴーレムは仰向けにひっくり返った。
 暫く息を潜めて周囲の様子を伺ってみたが、どうやら崩れて来る様子はない。
 これで一安心かと思ったが、ゴーレムは何かの一つ覚えの様にミサイルを放ち、腕を振り回して暴れていた。
「しぶとい奴だ」
 槍を手にゴーレムの身体に駆け上がった菫が、ミサイルの発射口をメッタ刺しにする。
 もうひとつの発射口から飛び出したミサイルは、防御の手が空いたタイミングでロケット弾を構えた黒百合が迎え撃った。
「ミサイル迎撃って言ったら、やっぱりコレよねェ♪」
 エカテリーナは最深部まで残しておくつもりだったアウル炸裂閃光を撃ち込んだ。
「石像風情が、さっさと砕けろ!」
 ここで惜しんで倒し損ねたら、何の為にここまで来たのかわからない。
「大丈夫です、スキルは突入前に僕が回復させますから」
 明斗の言葉に頷いて、もう一発――同じ場所を狙って撃ち込む。
 ゴーレムの身体に大きな亀裂が走った。
 そこに狙いを集中して、可能な限りの攻撃を加えていく。
 数秒後、それは大小の石の塊となって崩れ落ちた。


「ここからが本番って事でしたね」
 最下層の扉を前に、英斗がごくりと唾を飲み込んだ。
 扉の中心部には、いかにも意味ありげな何かの装置が埋め込まれている。
「これに手をかざせば良いのですね」
 明斗が言った。
 その仕事を終えれば、後はもう出来る事はそれほど多くないだろう。
「突入前に体勢を整えておきましょう」
 スキルを使い切るつもりで仲間の怪我を治療し、アウルディバイドで強力なスキルを回復させる。
「じゃあ俺は庇護の翼を回復させようかな」
 海は攻撃よりも防御を重視し、それを使い切った後はアウルの鎧に切り替えた。
「新米撃退士程度の防御力は得られるから、いざという時の気休めぐらいにはなるかもしれない」
 ただし使えるのは二回分で効果は十秒しか続かないから、使うのは突入の直前、研究員の二人のみに。
 門木は一応天使だし、大丈夫、多分。

 準備を整え、明斗が扉に手をかざす。
 瞬間、扉と掌の間にアウル色の火花が散ったかと思うと、明斗の全身から湧き上がった清浄な光が扉に吸い込まれていく。
「く…っ」
 痛みはないが、空気の重さが上からのしかかって来る感じがした。
 膝から力が抜け、それでも崩れ落ちる事に抗おうとしたが、まるで身体中の骨がスポンジにでもなったかの様に、ふにゃりとその場に腰を下ろす。
「大丈夫ですか?」
 駆け寄った藤花に頷き、明斗は顔を上げた。
 暫く中央の装置に留まっていたアウルの光は、やがて扉に描かれた文様をなぞる様に縦横に走り始める。
 それが四隅まで行き渡った直後、扉は音もなく、手前に向かって静かに開き始めた。

 その部屋はまるで天井から陽の光が差している様に明るかった。
 中央には祭壇らしきものが安置され、そこから黒いオベリスクの様なものが低い天井を突き破って真っ直ぐに伸びている。
 いや、部屋のその部分だけ天井に穴が開いている様だが、扉の外からではそれ以上の事はわからなかった。
 好奇心に駆られた田中が、恐らく無意識にフラフラと歩き出す。
 しかしまだ腰に巻かれていた命綱で容赦なく引き戻された。
「まさか、ここに罠がないとは思っていないだろう?」
 そう言って、菫はまず自分が入ろうとする。
 しかし、それを焔が止めた。
「あの柱、何か撃って来そうに見えないかな」
 何かのゲームで見た、目からビームを撃つ柱に似ている。
 ここからでは奥の二本しか見えないが、ああいうものは大体四隅にあると相場が決まっているのだ。
 それを確かめる為に、拾ったゴーレムの欠片を投げ入れてみる。
 が、何も起きない。
「やはりここも、無生物には反応しないのではないか?」
 ファーフナーの言葉に、黒百合が自分の分身を送り込んでみたが、それにも反応はなかった。
 やはり自分が行くと言った菫に、焔は「それなら」と連撮モードにしたデジカメを部屋に差し入れる。
 準備完了、はい撮影スタート!

 突入前に乱れた呼吸を整えて鎮め、体力を回復させた菫は、恐る恐る第一歩を踏み出した。
 腰には研究者達と同様に命綱が巻かれている、何かあったらそれを引き戻してくれるように、外の仲間に頼んであった。
 入ってすぐ内側に何かのレールの様な浅い溝が掘ってある。
 それを越えて一歩、もう一歩…そして入口と祭壇の中間点近くに達した時。
 柱に付いた目玉がギロリと動いた、気がした。
 気のせいかと思って更に一歩を踏み出そうとした途端。
「…っ!?」
 黄金色に光るレーザーが四方から一斉に掃射された――と見えたのは周囲の者達のみで、本人には自分の周りが突如として金色の光に包まれた、としか思えなかった。
 間一髪、命綱で引き戻されて部屋の外に転がった菫は、その場で尻餅をついたまま尋ねる。
「今のは何だ…?」
 では、スロー再生で見てみよう。
「やっぱりこの目が撃って来るんですね〜」
 しかも四方に一本ずつある柱は左右に移動し、そこに付いた十個の目が一斉にレーザーを放っている。
「この目、動いてますね」
 画面を覗き込んだ英斗が言った。
 更にもう一度再生したところで藤花が首を傾げる。
「目が動く角度にも、限度がある様な…?」
 文具セットから三角定規を取り出して、画面に当ててみた。
 一番下の目が上を向いている角度と、一番上の目が下を向いている角度を重ねてみると、どうやらその幅は30度に収まる様だ。
「それなら三平方の定理が適用される可能性もありそうですね」
 どこにいるとどこからレーザーが飛んでくるか、それがわかれば、目を潰す優先順位も割り出せるだろう。
「祭壇の所まで攻撃が届く目は、下から三分の二くらいでしょうか」
 それを重点的に潰せば良さそうだ。
「では僕が囮になって攻撃を引きつけますので、その間に誰かお願いします」
 エイルズレトラはそう言うが、いくら身軽な彼でも四方からの集中砲火を一手に引き受けるのは厳しいだろう。
「ゴーレム四体なら、堅い四人がそれぞれ盾になれば、その隙に調査できないかな?」
 自分もその一人になる前提で英斗が提案する。
「それも良いけど、守ってるだけじゃあんまり時間は作れなさそうだよね…」
 抑えるよりは壊してしまった方が良いだろうと、焔はアハト・アハトを構えた。
 向こうの攻撃は部屋の外までは届かない様だから、扉の外から撃てば反撃もないだろう。

 ホモクレェ!

 うん、大丈夫。当たれば壊れるよ! 他の何かも壊れた気がするけど!
「ならば先に、ここから撃てる分は壊してしまうか」
 今の銃声(?)は聞かなかったことにして、自分が代わるとエカテリーナが前に出る。
 黒百合がロケット砲を担ぎ、英斗とファーフナーが拳銃でそれに加わった。

 やがてそこから壊せるだけの目を壊し、残るは手前の二本だけとなった時。
「気を付けて下さい、目が復活しかかっています!」
 明斗が指さした方に目を向けると、確かに最初に撃った目が殆ど元通りに復元しようとしていた。
「一定時間で復活するなら、やっぱり護り抜くしかないな、ただし壊しながら!」
 英斗の案が採用され、盾役が囮になっている間に攻撃役がひたすら壊し続ける形を取る事となった。
「では、行きます!」
 真っ先に飛び出した英斗が盾を構えつつ、自らも攻撃を加えていく。
 焔とエカテリーナは範囲内の目を一度に潰そうとショットガンで狙いを付けた。
「正直、柱ごと全部壊してしまいたい所だが…無理だな」
 菫が呟く。
 が、それを無理だとは考えない者がいた、いや、そちらの方が多かった。
「これもゴーレムなら文字を消す方法が使えるのではないか?」
 エカテリーナがそれを探してみるが、ここのゴーレムには書かれていない様だ。
「しかし先程のゴーレムは力ずくで壊したのだ、これが壊せない道理はあるまい」
「本体ごと壊してしまえば、もし復活するとしても目玉だけよりは時間がかかりそうだな」
 菫が頷き、エイルズレトラに注目していた柱に横から近付いた。
 短槍が纏う焔が倍ほどにも膨れ上がった瞬間、菫は渾身の力を込めた一閃を放った。
 真横から殴りつけられ、それは巨大な達磨落としの様にスコーンと飛び、壁に当たって崩れ落ちる。
 念の為に残骸の目のあった部分を壁に向けておけば、万が一復活したとしても何も出来ないだろう。
 そうして一段低くなった柱に、エカテリーナがアサルトライフルを向ける。
 その銃口にアウルを凝縮し、至近距離から放つと、柱は更に半分程の高さになった。
 別の場所にある柱の横に回った焔は、まずは攻撃範囲を制限しようとレールを掘ってみた。
 しかしそれはゲーム内の壊せないオブジェクトという奴らしく、全く歯が立たない。
 ならばと今度は斧を振り上げ、柱を横から叩き割ってみる。
 英斗も盾でレーザーを防ぎつつ――
「いや、狙いが分散してるし、少しくらい当たってもいいかな」
 それより攻撃に集中しようと、不死鳥でダメージを相殺しつつ本気の一撃を叩き込んだ。
「燃えろ、俺のアウル!!」
 強力なスキルを惜しみなく使い、ひたすら削っていく。
 黒百合は漆黒の巨槍を振りかざし、咆吼と共に圧縮されたアウルの塊を炸裂させた。
 低くなった柱に飛び乗り、上から尻尾ドリルで纏めて貫いて行く。

 上の方にある目の攻撃を引き付けながら、ファーフナーは天井に何か仕掛けがないかと見て回っていた。
 ゴーレムを止める手立てがあるとすれば、飛行が可能な天使にしか触れることの出来ない場所に何かがあると踏んだのだが。
「何もないか」
 すると、何か特別な許可証の様な物で識別するのだろうか。
 中心の穴を見上げると、そこには直径50cm程の黒いモノリスが天を指す様に立っていた。
 穴の大きさが鉛筆ほどだとすれば、モノリスは芯くらいの比率になるだろうか。
 下から覗き込んだ限り、天井は塞がれている様だが――後は研究者達が解明してくれるだろう。


 扉の外で海と明斗が警戒に当たり、残りの仲間は外側に盾や武器を向けて中心部を取り囲む。
 焔の幻影騎士が作った結界に咲き誇る、虹色の花に囲まれながら、調査は一時間以上にもわたって続けられた。
 花畑はすぐに消えてしまったが、お陰で充分な資料が得られた様だ。
 その場でわかった事は多くないが、成果を持ち帰って研究を重ねれば様々な事が判明するだろう。

「帰りも気を抜かずに行きましょうね」
 藤花がふわりと微笑んだ。

 無事に帰って、成果を報告するまでが依頼ですから――


依頼結果/参加キャラクター

依頼成功度:大成功面白かった!:7人
MVP一覧
 −
重体一覧
 −

思い繋ぎし紫光の藤姫・
星杜 藤花(ja0292)

高等部3年3組 女 アストラルヴァンガード
赫華Noir・
黒百合(ja0422)

高等部1年3組 女 鬼道忍軍
天と人に灯る次代の幕開け・
大炊御門 菫(ja0436)

大学部3年5組 女 ディバインナイト
歴戦勇士・
龍崎海(ja0565)

大学部7年9組 男 アストラルヴァンガード
奇術士・
エイルズレトラ マステリオ(ja2224)

中等部3年1組 男 鬼道忍軍
ブレイブハート・
若杉 英斗(ja4230)

大学部3年3組 男 ディバインナイト
思い繋ぎし翠光の焔・
星杜 焔(ja5378)

大学部2年1組 男 ディバインナイト
優しく誇り高い戦士・
黒井 明斗(jb0525)

高等部1年4組 男 アストラルヴァンガード
月に群雲、花に風、されど・
ファーフナー(jb7826)

大学部3年7組 男 アカシックレコーダー:タイプA
負けた方が、害虫だ・
エカテリーナ・コドロワ(jc0366)

大学部4年9組 女 インフィルトレイター


依頼相談掲示板

強襲調査
エカテリーナ・コドロワ(jc0366)|大学部4年9組|女|イン
最終発言日時:2016年09月26日 23:53
挨拶表明テーブル
宝井正博(jz0036)|教師0組|男|一般
最終発言日時:2016年09月26日 21:21
質問卓
星杜 焔(ja5378)|大学部2年1組|男|ディ
最終発言日時:2016年09月25日 21:20


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