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成功する英語教育のための4つの課題

効果を最大化し、リスクを減らすアプローチ

2016年10月15日(土)

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 本格的なスピーキング力を身に付けるのはとても難しいです。前回のコラム「英語の学習は『ゼロサムゲーム』か?」でもお話ししたように、そのためには海外に留学して4~5年にわたってみっちりと勉強し、日常生活でも積極的に使用する必要があります。

 ですから、あなたが「思うように話せない」としても、まず「それが当たり前だ」と考えてください。また、中学・高校・大学と英語を学んでも話せないというのも、ある意味では仕方のないことだと思って下さい。

 しかし、このコラムで紹介しているように、日本語を活用するという発想で取り組めば、そしてあなた自身に動機や意志があれば、一定のレベルまでは確実に到達することができます。

中国人・韓国人の英語力

 さて、最近、スピーキングについて話をしていると必ず話題になるのが、中国人や韓国人の英語力です。私も、大学に多くの中国人や韓国人の留学生を迎えるのですが、彼らのスピーキング力には驚かされます。同年代の日本人学生とは全く比較になりません。

 これらの華々しい成果を見ていると、つい「彼らを見習うべき」と考えてしまいます。つまり、スピーキングを大幅に取り入れた授業を実施するという方向での教育改革です――でも、どうでしょうか。ここは、慎重に議論した方が良いと思われます。

 なぜかというと、中国や韓国の人たちが高いレベルで英語を使いこなすといっても、それはあくまでも過酷な競争の結果だからです。また、それは、決して学校の教育の成果だけではありません。英会話の塾や学校に多くの時間を費やした結果なのです。

 しかし、ここまでなら「どこかで聞いたような話」とも言えます。ところが、英語の場合には、その背後にとてつもなく大きな問題があるのです。それは、これだけ英語の学習に集中的に時間と労力をかけると、他の科目や、大きな意味での教養、さらに重要な点として、母語が犠牲になる可能性が高まるということです。実際、中国においてもこの問題が指摘され始めています(※)

(※)興味深いことに、全く同じことが英語を公用語とするフィリピンでも問題となり始めています。

母語の意味を知る

 そもそも、どうして「母語」と「外国語」という言葉があるのでしょうか。なぜ私たち、そして何より学者たちは、この二つを区別するのでしょうか。それは、母語というものは私たちの思考を「根底」から組み立てるツールだからです。

 「根底」というのは、文字通りの「根底」で、母語は私たちの思考だけでなく、社会生活のあらゆる面を支えています。母語を通じて様々な体験をし、教育を受けることによって、社会・文化が成り立っているのです。

 特に日本はほぼ単一民族という特殊な国ですので、母語の持つ意味はとても大きいと考えられます。ですから、もしアプローチを間違えると、その分、失うものが大きいということになります。

成功する英語教育の戦略

 このコラムのテーマは英語教育論ではありませんが、そういった面でもきっと参考になる点があると思いますので、簡単に触れてみます。私が見るところ、日本の英語教育には少なくとも4つの課題があると思います。

①文法をどうにかする

 あなたは「中1ショック」という言葉をご存知でしょうか。これは小学校で楽しく英語に触れ、興味をもって中学に入った子供たちが、そこで「文法の壁」に突き当たり、落ちこぼれることを指します(※)

(※)私の場合は、中1のときに、「I-my-me-mine」のあの表でいきなり英語から落ちこぼれかけました。その後、大学では「der-des-dem-den」でドイツ語をあえなく敗退。憧れてチャレンジしたフランス語も、「代名動詞」「複合過去」「半過去」の連打で沈没。付け加えるなら、高校時代に古文は「下~段活用」で、漢文は「返り点」で退場しています。どのケースでも、言葉そのものには興味がありましたので、全くもって、笑えない話です。

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「成功する英語教育のための4つの課題」の著者

池田 和弘

池田 和弘(いけだ・かずひろ)

大阪観光大学国際交流学部准教授

「学習者に優しい」をコンセプトに、認知言語学、レキシカル・グラマー、エマージェント・グラマー、並列分散処理など最新の知見を駆使して、受験英語と実用英語を融合。日本有数の英語学習法のスペシャリスト。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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