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2016年10月15日 (土)

それ、法律の規定通りです

韓国政治研究の第一人者である木村幹さんのツイートに曰く、

https://twitter.com/kankimura/status/786780989993340929

非常勤先にて。学部長様「木村君、いい話がある」自分「何でしょう」学部長「うちの大学では非常勤を10年すると特典がある」自分「ひょっとして、じょ、常勤に」学部長「いや、70歳まで非常勤をする権利が与えられる」自分「(乾いた声で)や、やったー…」学部長「ということで頑張ってくれ給え」

https://twitter.com/kankimura/status/786781495717265408

永世非常勤の権利を得ました(-_-)。

いや、それ法律の規定通りですから。別段、特典でも何でもありません。

労働契約法(平成十九年十二月五日法律第百二十八号)

(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)

第十八条  同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。

大学の教員等の任期に関する法律(平成九年六月十三日法律第八十二号)

(労働契約法 の特例)

第七条  第五条第一項(前条において準用する場合を含む。)の規定による任期の定めがある労働契約を締結した教員等の当該労働契約に係る労働契約法 (平成十九年法律第百二十八号)第十八条第一項 の規定の適用については、同項 中「五年」とあるのは、「十年」とする。

2  前項の教員等のうち大学に在学している間に国立大学法人、公立大学法人若しくは学校法人又は大学共同利用機関法人等との間で期間の定めのある労働契約(当該労働契約の期間のうちに大学に在学している期間を含むものに限る。)を締結していた者の同項の労働契約に係る労働契約法第十八条第一項 の規定の適用については、当該大学に在学している期間は、同項 に規定する通算契約期間に算入しない。

要するに、普通の有期契約労働者は5年以上反復更新したら無期契約労働者になる。大学の教員はそれが10年以上となるだけ。

圧倒的に大部分の無知な評論家がわざわざ見落として、「5年経ったら正社員にしろとはけしからん」とやたら息巻くのが、労働契約法第18条の括弧書き。「現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件」と明記してあります。

ですから、例えば週1コマ1回1万円の「非常勤講師」という名称の人は、その契約期間が無期になるだけで、以前と同じく週1コマ1回1万円の期間の定めのない「講師」になるわけです。

なんと素晴らしい『特典』でしょう。

つか、上述の通り、それは法律の規定通りなのです。

それを「非常勤講師」と呼ぶか、「常勤講師」と呼ぶかは、少なくとも法律上はどっちでも関係ないことです。

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コメント

何をおっしゃりたいのでしょう?毎度疑問な・・・は以下に。
セクター別にその有り様は、需要側と供給側にある特有の問題は一律でもなく、限界効用逓減(収穫逓減)に全面依存してしまえばそれはそれで理論構築できますし、逆にその逓増も抽象論に従えば空想上では双方ありですので、ご専門の「法」の”今現在地”をブログ訪問者に対しておっしゃられておられるのでしょう。
「法」を今(エントリ)にいわば知らざる人々への現代語訳されるのであればすばらしいことだと存じますが、ツイートのような放り投げとそれを本能ではなくとも機能に頼り自覚とは別とバリアを張ったうえでの受動反応情報受給であるとしてもそれはそれでも有益なものもあります。しかしHPではないにしろ、出自もご著書も素材にされ、そのフィードバックに訴えかけられるであろう趣旨としては、あきらかにツイート方法論とは一線を画してらっしゃると理解する私(一人かもしれませんから)にすると、その性向をことさら題材としたエントリに、内容とは別な(これが出自収穫逓増ですね)、余剰=供給が需要を呼び込む技術的帰着の一翼でしかないようにも感じられ、しかし私もまあそんなもんだろうし、とは思いながらもコメントする私がそもそもバカなのだとつくづく思う心境になりつつあります。
コメントが純化しない多様性にこそ、本ブログの社会的有益性への希望を見いだしたいとは思いますが。

投稿: kohchan | 2016年10月15日 (土) 19時11分

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